マガジンのカバー画像

人生万事塞翁が馬

30
運営しているクリエイター

記事一覧

紫陽花が教えてくれること

もう今年も6月になった。

この季節になると思い出すのは、梅雨の時期の風物詩のようにも思える、紫陽花である。

この6月1日の亡き妻の命日に、知人から贈られた大きな紫陽花の鉢。

仏壇の故人の遺影の横に、紫色の大きな花をつけて故人を護っているかのように鎮座している。

この紫陽花が、「朝夕のご焼香の際、もうこの世にはいない妻に、もっと感謝の気持ちを伝えたかった」という思いに私をさせるのである。

もっとみる
私の人生の物語

私の人生の物語

「人は、それぞれの物語を生きている」

或いは「人生は物語である」といった本の一文や誰かの名言として、耳にしたことも多いこの言葉。

最近、私も、「自分の人生の物語」について考えてみたが、「言葉としては、何となく分かるけれど、それってつまりどういうこと?」と自分の生き方に取り入れてすんなり消化できなかったというのが本当のところである。

この6月1日は、今からちょうど4年前、ハワイ島コナでの自動車

もっとみる
間違いがちな「人のために」という思いや行動

間違いがちな「人のために」という思いや行動

「人ために何かをしてあげる」、「自分は横において人のために」というのは、とても美徳のように思われているが、ここには、大きな落とし穴も存在しているように思われる。

新型コロナウイルス感染拡大によって貧困や生活苦に悩む人たちが増加する中で、その種の人たちに手を差し伸べたり、支援していこうとする人たちが増えているように思われる。

とても素晴らしいことである。

世界が危機に直面する中で「利他」という

もっとみる
想いをつなぐ

想いをつなぐ

皆さん、「風の電話」ってご存知ですか? 

会えなくなった人に想いを運んでくれる電話のことです。

東日本大震災の被災地、岩手県大槌町の海を望む丘の上にたたずんでいる白い電話ボックス。

中に置いてあるのは、電話線につながっていないただの黒電話。

この「風の電話」は、震災の2年前、庭師の佐々木格(いたる)さんという方によって作られました。

「癌」で他界した従兄弟と残された家族が、永遠につながる

もっとみる
寂しさとは何か

寂しさとは何か

長い時間一緒だった妻の突然の事故死で一人暮らしとなったことと、同時期に発生したコロナ禍での自粛生活等も重なり、昨今、寂しさというものを強く感じるようになった。

これは、若い頃には全くなかった感覚である。

特に一人暮らしなど、物理的に一人で過ごす時間が多いと寂しさを感じやすくなるように思える。

例えば、以前は、帰宅した時に「お帰りなさい」と言ってくれた人がいたのに、それが全く無くなってしまうこ

もっとみる
彼女は私である !

彼女は私である !

「コロナ禍もあって昨今、様々な事情や偶然の出来事に遭遇して、孤独や貧因に直面する人たちが増加しているといわれている。

最近の新聞記事に、昨年11月、東京渋谷区笹塚の片隅のバス停で路上生活者とみられる女性が、男に頭を殴られて亡くなった事件についての報道があった。

この女性は、昨年の春ごろから、終バス後の午前2時ごろにバス停に現れて、ベンチに腰掛けて眠り、明け方になるとどこかへ立ち去る生活を続けて

もっとみる
風の電話 心のレリジエンス

風の電話 心のレリジエンス

つい先日、ネット配信の映画「風の電話」をみた。

内容は、2011年、3月に発生した東日本大震災で家族を失い、広島の叔母のもとで暮らす17歳の少女が主人公。

ある日、突然、叔母が倒れ、自分の周りの人が誰もいなくなってしまう不安にかられた彼女は、震災以来一度も帰っていなかった故郷、岩手県の大槌町へ向かう。

そして、主人公の少女は、故郷にある「風の電話」にたどり着く。

「風の電話」とは、今は亡き

もっとみる
一様ではない、人の気持ちの複雑さ

一様ではない、人の気持ちの複雑さ

これまで気軽に会っていた知人や友人とも簡単には会えない状況が、長らく続いている。

自粛生活で自宅にいることが多くなると、一人暮らしの人間は、孤立感が強くなる。

一方で同居する人がいればいたで、これまでとは違った距離感に手惑いを感じたりする人も多いであろう。

在宅勤務が思ったよりも広がらなかったり、自粛生活という要望に応えない人達が多くいたりするのは、こうしたことが影響しているのかもしれない。

もっとみる
先行き何が起こるか全くわからない中で

先行き何が起こるか全くわからない中で

3年前までの私は、一言でいえば「自分の未来は、自分の力で切り拓くもの」的価値観の持ち主で、仕事もプライベートも順調、日々楽しく過ごし、この先も同じような状態が続くであろうと暗黙の内にも思っていた。

然しながら、現在の私は、「人生も、世の中も、先行き、何が起こるか全くわからない」という心境に達している。

理由は、3年前の2018年、ハワイ島のコナで自動車事故に遭遇し、妻は死亡、私も脳内出血と骨盤

もっとみる
入院生活からわかったもの③

入院生活からわかったもの③

毎日のリハビリと検査そしてドクターの診察等を経て、入院から52日間を経てようやく退院となった。

退院日が決まってから、毎日、これからの自分の生き方等様々なことについて考えてきた。

その結果、

・自分を取り巻く全ての状況に感謝の念をもって接する。

・自分が直面する様々な現実の中で自分では、変えることができないものについては自分の捉え方、見方を変える。

・辛い出来事や悲しいこと等に遭遇した時

もっとみる
入院生活からわかったもの②

入院生活からわかったもの②

私の入院生活は、変形した左足の股関節を切除して人工関節に置き換えるという手術を終えると、その後の日々の時間は、定期的に薬を注入する注射、レントゲンそして血液検査等を除くと後は、そのほとんどがリハビリである。

プールにおいて水中でのリハビリと室内でのリハビリそして杖で歩行訓練等がほとんどである。

リハビリが難しいのは、右肩上がりで好転せず、一進一退を繰り返して次第によくなっていくのであろう。

もっとみる
入院生活からわかったもの①

入院生活からわかったもの①

2021年1月22日、長年患ってきた「変形性股関節症」の治療のため入院した。

1月26日の手術は、私の変形した股関節を取り出し、人口関節に置換するという手術である。

入院後すぐに、各分野の担当の方々から入院・治療に向けての説明があり、また、診察してくれたドクターからは、病気の症状は末期であるが、手術すれば良くなりますからという言は、今の私には何にもまして力になった。

手術当日の1月26日、変

もっとみる
人間万事塞翁が馬−17

人間万事塞翁が馬−17

入院・手術を控えて教えられた本当の美しさ

私は、数年前から、変形性股関節症という病でここ最近は、歩行も不自由になり、痛みも増してきたので最近は、安全を考えて杖を使っている。

2年半前のハワイでの交通事故で同乗していた妻を失い、1年前は16年間、一緒に過ごした愛犬を失い、そしてコロナ禍で仕事も大幅に減少とこの3年間、立て続けの思わぬ事態との遭遇に、毎日、強い喪失感と寂寥感を抱えながら生きてきた。

もっとみる
人間万事塞翁が馬−16

人間万事塞翁が馬−16

ペットと人間

 愛犬、バズが教えてくれたこと。

2019年10月28日14時50分、16年間、私たち家族と時間を共にしてくれた愛犬のボストンテリア「バズ」がその生涯を閉じた。

その前年6月1日、ハワイ島での交通事故で私の妻が亡くなり、私自身も負傷してしまった関係で、止む無く愛犬を次女の家に預け、世話してもらっていたのである。

彼が亡くなった10月28日の朝、次女から、「昨夜からバズの状態が

もっとみる