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『さよならの言い方なんて知らない。』という人類の難問に挑戦する小説をよんだはなし

きょうも、500字でおしゃべりできたらいいなと思います。

きょうは、読んだ本について。

『さよならの言い方なんて知らない。』8巻を読みました。

このシリーズがすきだけれど、
その思いをどう抽出すればよいのか、わかりません。

試みに、すきなところを断片的に挙げてみます。

① 静かなところ。

文章に、静かな感じがあります。

ひんやりとしています。

文章には、ひとが口頭で語るのと同じように、温度や速度があると思います。

この物語の文章は、言葉をひとつひとつ、ひとの手で並べている気がします。

言葉を、こわさないようにつまんで、行の最後尾まで運んで、置く。

その集積がこの本なのだと思います。

② 大きな命題に挑んでいるところ。

この物語は、生きる意味をさしています。

物語の舞台が、生きる意味を見つけるために構築された空間で、

そこで活動するひとびとは、目の前の問題に対処しながら、

自覚的であれ無自覚的であれ、

生きる意味を探し、

あるいは、探すのではない、生きる意味についての立場をもっています。

そのひとびとの集合体ともいえるこの物語が、

生きる意味という、埋もれそうな一点をめざして、

進んでいるようにみえます。

結果的に、この作品のすきなところを、
表面と内容の両面から、
言葉のうえに浮き上げることができたみたいです。

抽象的なぶん、薄い霧のような記述だけれど、
たしかに、わたしの思いの片鱗です。

きょうはここまで。

おつきあいくださってありがとうございました。

またきてね。


読んだ本
『さよならの言い方なんて知らない。8』(河野裕、新潮社、令和5年)


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