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【二次創作小説】リンス/オレンジスパイニクラブ
「一本ちょうだい」
ミキの言葉ですべてわかった気がした。
乾かしていないミキのロングヘアーが朝日を受けて不健康そうに光る。
「煙草吸う人だっけ」
俺がそう言うとミキは気まずそうな顔をして「たまにね」と言った。成長期の真っ只中からヘビースモーカーだったタケルが煙草の重さを変えたのも、タケルとミキが俺の前であまり喋らなくなって随分経つのも、全部がミキの一言で繋がってしまった。まあ今までも、わかりたく
大人になれずにずっと待っていたのに
お腹が痛いなあと思う。
私の仕事上ストッキングを履くことはないが、いつの間にかストッキングを履くような年齢に辿り着いて何年も経つ。
相手に合わせてビールを頼んでも、変な遊び方でお腹を痛めても、あの子がこの窓から連れ出してくれる日ばかりを想像している。もうずっと余生だ。
傷口を抉りながら痛み止めを飲んでいる。傷痕が残るなら、傷のまま存在していてほしい。代わりなんてほしくないのに穴埋めの真似事をして