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珈琲のおとも

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「珈琲のオトも」にしたくなるような、心を動かされた素敵なnoteを集めました。何度も繰り返して読みたい、いつでも取り出して読みたい、私の大好きなベストエッセイ集です。
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記事一覧

みんなで少しずつ間違う世界

みんなで少しずつ間違う世界

先天的な障がいを持つ方や、
性同一性障がいを持つ方など、
マイノリティな特性を持つ人に対して、
説明しにくい違和感を持つことは、
自然なことなんだと思っています。

なんて言ったら、叩かれるのだろうか。

「自然なこと」というのは、
「それでいい」という意味ではなく、
文字通り、自然なんじゃないかという話です。

たとえば、自然の中で生きる生物たち。
自然のツバメは翼のカタチが少し違って飛べないだ

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友人の孤独を陽気な天秤にかける。

友人の孤独を陽気な天秤にかける。

久しぶりの休日に友人の仕事を手伝うことにした。集められたのは別の友人と私の計二名だ。大きな工場の大きな音がする機械の試験を兼ねたメンテナンスをするという。私はもちろん機械を操作するでもなく、その試験の行方をもう一人の友人と精一杯声を出し応援する係だった。

応援とはいえ、時に囁き、時に叫び、時に頷くなど多種多様なリアクションを全力で空気を読み集中しなければならない。今どき「応援に来てくれ」と言われ

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今日は二女の21歳の誕生日✨本当にありがとう!

今日は二女の21歳の誕生日✨本当にありがとう!

障がいを持つ二女が21歳になった

病気が発症してから18年になる

あー。早いもんだな。

あの頃、今日を迎えることができるなんて思ってなかった。
…と、毎年毎年思っている。

嬉しいことです。

21年前の今日、やっぱり土曜日か日曜日だったと思う。

2歳の長女と外でシャボン玉をして遊んだ。
…まだ間の長い陣痛を感じながら💧

夕方、夫の実家へ行き、長女の保育園の事なんかを一通り説明して、義

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2月のとある水曜日の夜に、ご褒美みたいなメールが来た

2月のとある水曜日の夜に、ご褒美みたいなメールが来た

メールの受信リストに、まれに現れるタイトル、「ユーザーからお問い合わせが来ています」に、ドキッとしたことはあるでしょうか。

春に近づく気配を感じる温かな天候がつづいていた、2月のとある水曜日の夜、そのメールに気がつきました。

開けてみると、出版社の社員さんらしき挨拶が目に飛び込んできました。二度見したお名前・・もしや、この方が、あの”編集者Kさん“では・・。

答え合わせは、すぐに続いた自己紹

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ピリカ目線~ありがとうマスター

ピリカ目線~ありがとうマスター

2月某日、その日私はかなり疲れていた。

そしてご機嫌のほうも、斜めを通りすぎてほぼ垂直、という状態であった。

営業職にとっての正月は、年間の数字の締め日である。私の会社でいうと3月中旬。やっといま、一息つけているというわけだ。

来年のボーナス率が決まる月で、皆それなりに受験生さながらのピリピリ具合なのであるが、今年度私は、数字を作るのに苦戦した。

理由としては主力商品の単価が下がったこと。

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アイスが溶けた卒業式

アイスが溶けた卒業式

続くまで応援しよう…。

部活のために自宅から1時間半かけて中学校へ通うことを決意した次女。

「本当にできる?」

しつこいと思いながらも何度も同じことを聞いた。

「絶対できる!」

次女がそう言い切るのだから信じてやるしかない。

どこまで続くだろうか。無理だけはさせないでおこう。私も妻もサポートすることを約束したものの半信半疑だった。

「身体に何か無理が出たら考えましょう」

娘を受け入

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微笑みが生まれるところ

微笑みが生まれるところ

長男は気管切開していて、声が出せない。
でも今朝はにこにこしながら、声を出して笑おうとしていた。
切開してなければ「きゃっきゃっ」と笑っているような様子だった。
こんなに陽気な様子を見ることが出来て本当にありがたい。

長男の声が出ない選択をしたのは私だった。
6年前、インフルの重篤化でICUに入り、死に向かう激しい流れに流されそうになっていた時。

血液の成分バランスが崩れて用をなさなくなったと

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さよならあの日のロッテンマイヤー

さよならあの日のロッテンマイヤー

子供心。
かつて子供だった私たちが理解している感情で、例えそれを忘れ去ってしまったとしても、水底に沈んでいるだけのようなものだ。
それは、ふと心が波打った時などに戯れに水面に浮かんで来ては、一部分だけ読めなくなってしまった暗号のように、謎めいた風を装って、記憶を刺激してくる。

で、大人心という言葉があるのか知らないけれど。
大人心というものは、子供には理解がてんで及ばない。
なぜなら、子供はまだ

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お月さんの思い出

お月さんの思い出

前回使わせていただいたお月さんの写真。

こんな美しい満月を見ると思い出すことがある。

次男がまだ保育園の頃。

障害を持つ兄や姉がいると、下の子は、親も想像できないような寂しさや、割り切れなさを持つと思う。

私は、それを思いながらも毎日の長男との付き合いに疲れて、次男のことは、近くに住む実家の両親の応援に頼ることが多かった。

両親は孫可愛さと、不憫さもあって、本当によくしてくれた。

次男

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嘘かどうか

嘘かどうか

noteを書き終えてタグをつける時、#エッセイ にするか、#日記 とするか、私はあまり迷わない。

その日あったことを記録的に書けば #日記  
気持ちに焦点をあてて書いたなら #エッセイ  
にしている。
どちらもつけたくない時は、つけないというマイルール。

私が#エッセイ とタグづけしているものは、本来のエッセイの定義からは外れているような気がする。

そもそも、エッセイの定義を正確に分かってい

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“趣味ってなに?”

“趣味ってなに?”

 良い趣味してるねぇと私が言うと、息子は少し考えてから「シュミってなに?」と聞き返しました。

 何でしょう。

 厳密な定義はよく分かりませんし、そのあたりは言葉や文化の専門家に任せることにして、私は4歳児が理解し納得できる説明を試みます。

「自分の好きで、楽しくて、やってること。それが趣味かな。仕事とは別で。」

「えー!?それじゃ、じぶんかってでしょーが!」

「自分勝手で良いんだよ。趣味

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【エッセイ】雪の朝の独り言

【エッセイ】雪の朝の独り言

 宮城県内は昨夜から今朝まで雪が降り続いていた。
 我が家のある地域は、幸いにして「平地でも20センチの積雪」という昨夜からの天気予報で覚悟していたほどの積雪ではなかった。とはいえ、たっぷり10センチ以上の積雪である。くるぶしまで埋まるほどの雪は、こちらでは珍しい。
 自宅から私の職場と夫の職場までの通勤経路はそれぞれ全く別方向なのだが、通勤に車で30分以上かかるのは同じである。雪道となればなおの

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悲しみと絶望を越えたキセキの指輪のものがたり

悲しみと絶望を越えたキセキの指輪のものがたり

結婚式を挙げました。
晴れの特異日とされる秋晴れの日、
お姫さまにしてもらいました。
幸せいっぱいでした。

新婚旅行に行きました。
6泊7日で組んだ旅行。
嫁ぎ先の祖母が
「7日帰りは縁起がよくない」
と言って、7泊8日になりました。
幸せいっぱいでした。

朝、目覚めると私たちの新居。
嫁ぎ先の2階の部屋でした。
幸せいっぱいでした。

ゆっくり目覚めて、遅い朝ご飯を食べました。
嫁ぎ先の母が

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【今度は本当の「大丈夫」】

【今度は本当の「大丈夫」】

僕はお酒は嫌いじゃありませんが、実はあんまり強くなくすぐに酔っ払ってしまいます。逆に奥さんは大酒豪で呑もうと思えば海賊くらい呑みます。

大ジョッキ片手に「ゼハハ!」と笑う姿はまるで黒ひげのようですが、こんな風に言ってるのが奥さんにバレたらヤミヤミの実の能力で消されるので絶対に内緒にしててください。

そんな黒ひg…いや奥さんが先日珍しくベロンベロンに酔っぱらって帰宅しました。その日は奥さんの友人

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