【小説風エッセイ】三鷹の森〇〇美術館の面白いコーヒーを飲みました [飲食物を愛でる](1779文字)
毎朝、朝食後にコーヒーを飲んでいます。
少し前までならスペシャルブレンド、最近はダークロースト、いずれも玉屋珈琲店さんのものです。
割りと近所の自然食品のお店でコーヒー豆を購入して、ミルにかけて、デロンギのエスプレッソメーカーで淹れて、淹れたてを飲んでいます。
ほとんどは夫の作業、お湯を注ぐためにダイヤルをこまめに捻るのは私の作業です。
美味しいコーヒーが入ります。
そんな風に毎朝お世話になっている玉屋珈琲店さんに、夫婦で、玉屋珈琲店さんの近くに用事ができたので、寄ってみることにしました。
玉屋珈琲店さんは、創業が1950年で、「京の台所」と言われる錦市場のそばにあります。
看板が通りに面して掲げられていますが、通り沿いは駐車場で、車が2台止まっていて、覗きこまないと、お店が見えません。
京都の中心部では一般的な間口の小さなお店で、前面がガラス張りで、ちょっと見に古風な喫茶店のようです。
車の横を通って店に近づくと、店内の方々と目が合いました。
店内には、ガラスの扉の向こうに通路があり、それに続いて右側に、窓の付いた部屋があって、店主さん方と見られる店内の方々が、男性の方と女性の方の2人、
「大歓迎!」
といった感じで通路から出てきました。
明るく感じの良い印象でした。
「初めて来ました!」
とガラスの扉を開けながら夫が言いました。
「いつもは近所の〇〇(店名)さんで買っているのですが」
「あぁ、〇〇さんですか!」
と女性の方。
男性の方が大きく頷き、窓の付いた部屋に入りました。
私達夫婦は女性の方の手招きで、窓の付いた部屋の手前にあるカウンターの前に立ちました。
「実は、ずっと、〇〇さんでスペシャルブレンドを買って、いただいていたのですが、最近、ダークローストを飲むようになって、ダークローストは〇〇さんには置いていないので、ちょっとだけ遠出して買うようになりまして。今日は、ダークローストを欲しいのですが」
と夫。
「ダークローストを、いくつですか?」
と女性の方。
「ひとつ」
と夫。
窓の付いた部屋で、男性の方が、ダークローストらしいコーヒー豆を専用のビニール袋に入れてくれました。
「ポイントをお付けしますので、ここにお名前を書いてください」
と女性の方が、表の印刷されている紙を差し出しながら言いました。
「美味しいコーヒーを作っていただいて、感謝しています」
と名前を記入しながら夫が言いました。
夫がダークローストのコーヒー豆を受け取った後に、男性の方が小さな青色の袋を見せてくれました。
「東京の三鷹の森ジブリ美術館のコーヒーですが、良かったら。ちょうどあるので、お裾分けします」
男性の方が窓から、三鷹の森ジブリ美術館のコーヒー豆を女性の方に、女性の方が夫に手渡しました。
「コクのあるコーヒーです」
と男性の方。
「ありがとうございます!」
と私達夫婦。
玉屋珈琲店さんを出た私達夫婦は、三鷹の森ジブリ美術館のコーヒーを飲むのを楽しみにしながら帰途につきました。
そして、翌朝。
朝食後に早速、三鷹の森ジブリ美術館のコーヒーを淹れてみました。
いつも飲んでいるコーヒーより控えめですが、良い香り。
お味は。
まず、強烈な苦味。
次に、微かな酸味。
それらの混じった複雑な味。
そして、コク。
芳香。
面白いことに、続けて飲んだのに、一口毎にどんどん味が変わっていきました。
最後は平板なコーヒー味に。
これは!
三鷹の森ジブリ美術館で、このコーヒーを飲む人達は、この複雑な味を楽しめるのでしょうか?
コーヒーを運んでいる間に、どんどん味が変わっていってしまわないかな?
図録を見たり、お喋りしたりしていないで、急いでコーヒーを飲まなければ。
コーヒーを淹れてくれる場所の近くに席を取るか、もし、自分でコーヒーを運ぶ仕組みなら、直ちに立ち飲みで飲む必要がありますね。
…などと思いました。
宮崎駿さんの趣味かな?
このコーヒーを味わってみたいと思った方は、三鷹の森ジブリ美術館へ!
ぜひ、ゆっくりしないで、急いで集中して味わって飲んでみてください。
開封したばかりのコーヒー豆から淹れてもらえたら、もっと複雑な味がするかもしれません。
玉屋珈琲店さん、ダークローストコーヒー豆と三鷹の森ジブリ美術館のコーヒー豆をありがとうございました。
とても美味しかったです。
三鷹の森ジブリ美術館のコーヒー豆、ありがとう、ごちそうさまでした!
天野マユミ
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