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昔語り : インターナショナルスクールの日本人生徒の狭い世界
その朝はどんよりと曇っており、雪でも降りそうなくらいの寒さだった。
カーテンを開けるとようやく朝日が昇ってくるのがわかる。
昭和61年。一月のロンドンの朝は気の滅入るものだった。まだ朝も明けきらないうちから起き出し、朝食をとる。出かける支度、といっても筆箱と小さいノートとお財布、そしては母が作ってくれたお弁当を入れるだけだ。
「じゃあ行ってきます」
「気をつけてね」
「うん」
そう言って
小説:バブル期の日本 : 帰国子女はずるい
あたしは人に負けない。絶対。
小さなころからあたしはアメリカに憧れてた。
昭和の時代、日本はアメリカの情報で溢れていた。
アメリカはやっぱりすごい。
何においてもすべての分野で世界で抜きん出て優れている国。
スケールが日本の何倍も大きくて、自由がある国。
世界一強くて影響力のある国。
豊かで、一流の物が数限りなくある国。
模範にすべき国。
追いつけ、追い越せの国。
素晴ら
短編小説 :バブル期日本・留学生からの眼差し
「Hey, let's ditch this stupid tour! Let's get outa here!おい、皆、こんなもんフケようぜ!さっさと行こう!」
またか。
大勢の留学生を連れて大学のキャンパスを歩いていた私は、三々五々に散らばっていく留学生たちを眺めてそう思った。
その年、交換留学が決まった私は、大学から半強制的なボランティアを命じられていた。
曰く、大学に海外か