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アラサ―。東京。木曜日に日記を。/ 第二回Kino-Kuni文學賞 佳作『真夜中の展覧会』連絡先→hijiky86@gmail.com

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記事一覧

窓には雨の跡

一駅だけ電車に乗る。平日の昼間は電車は空いている。窓には雨の跡がついていた。 駅を降り、15分ほど歩いて、商業ビルに向かう。そのまま別の電車に乗り換えれば、2分も…

9

日常に楽しみを

もう8月が終わる。 なんだか高速で過ぎ去った気がする夏。6日後はもう9月なんて信じられない。光陰矢の如しってこういうときに使うのだろうか。 岸政彦/柴崎友香『大阪』…

8

うどんに恋して

お盆に東京にいるのは変な感じである。 生まれてこの方、お盆の時期は母方の実家に毎年帰っていた。去年も行けなかったので、2年連続東京にいる。 今年も帰れなかったか…

13

ここには安心がある

落ち着く場所、場面は人によって違う。 そんな当たり前のことをいまいちど思ったのは、岸政彦/柴崎友香「大阪」を読んだからだ。 この本では、大阪という街とともに時間…

9

快適な時間を求めて

家の中で過ごすことが増えた。 ご時世もあるし、この連日の暑さのせいもある。もともと外へ出歩くタイプではないが、それでも気軽に出かけることが少なくなった気がする。…

16

たぶん、ずっと

苦手なのに捨てられないものがある。 いや、正確に言うと無視できないといったほうが正しいかもしれない。 それは「コミュニケーション」という概念であり、言葉である。…

5

水餃子は夏に合う

神楽坂に来た。 この日は夏の始まりのような空でとても暑かった。セミも鳴き始めているし、歩くたびにじわりと汗が吹き出す。 神楽坂は表通りから一歩足を踏み入れると、…

11

わかってもらいたいから

なんのために書いているだろうと、ふと我に返ることがある。 自分のため?誰かに見てもらいたいため?生きている証を残すため?自分を知るため? どれもそうなんだけど、…

9

人はそれぞれの世界を見る

なにか新しいものの見方を知って、視点が増える。 これほど面白いものはない。 「海の水はなぜ鹹い(からい)」という昔話がある。 これは、6年くらい前に柳田国男『日…

5

自分を守る方法は、ただひとつ

自分を守る方法は、ただひとつ。動くこと、行動すること これは、ナム・インスク『実は、内向的な人間です』という本に書かれていた言葉だ。年始あたりにこの本を読んだ。…

28

当たり前は当たり前じゃない

「青海珈琲」というカフェに行った。 ここは一風変わったカフェで、すべての飲み物、食べ物をセルフで提供している。店内にはいくつかのコーヒーマシンが並び、ショーケー…

8

いくつになっても初心者

外を歩いているとき、自然と花に目が止まるようになった。 ただ単に年齢を重ねたからなのか。はたまた花の儚さ、美しさを感じ取れるようになったのか。それともほかの理由…

5

タコスとコーラ

タコスを食べに、中野に行ってきた。 なにを隠そうこれまでの人生でタコスを食べたことがない。同じような形態のケバブは何度か食べたことがあるが、タコスはない。 何事…

11

なんとかなる

6月3日。 とうとう扇風機を解禁した。東京の6月は蒸し暑い。 そこで気になるのは、去年いつ扇風機を使いだしたか、ということ。6月に扇風機って早いよなと思いながら、自…

4

いつまでたっても特別なこと

オロナミンCを飲む。 一仕事を終えたら。なにか気分を変えたいと思ったら。オロナミンCを飲む。 この習慣は高校生ぐらいの頃から始まった。大人がお酒を飲むのと同じ感覚…

6

思い出しながら書くと、二度おいしい。

スイカを食べた。 スイカを食べると、もう夏だなと思う。暦の上ではまだ5月だけど、スイカほど夏を感じさせる食べ物はないと思う。 おばあちゃん家に行くと、スイカをよ…

6
窓には雨の跡

窓には雨の跡

一駅だけ電車に乗る。平日の昼間は電車は空いている。窓には雨の跡がついていた。

駅を降り、15分ほど歩いて、商業ビルに向かう。そのまま別の電車に乗り換えれば、2分もかからず着くけれど、涼しかったので、徒歩を選択。一駅電車に乗って、一駅歩く。最近歩けてなかったので、いい運動になった。ビニール傘に当たる雨の音を聴きながら、みずたまりを避けながら。途中で、カフェを見つける。歩いていると、街の変化に気付き

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日常に楽しみを

日常に楽しみを

もう8月が終わる。

なんだか高速で過ぎ去った気がする夏。6日後はもう9月なんて信じられない。光陰矢の如しってこういうときに使うのだろうか。

岸政彦/柴崎友香『大阪』を読み終えた。

個人的な話ってほんとうに面白い。一般化されない個人の視点にどうしても惹かれる。街並みや時代、家族関係や友人関係はまったく存じ上げないけど、1人の人間が生きてきた歴史ってほんとドラマチックだなと思う。

柴崎さんが大

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うどんに恋して

うどんに恋して

お盆に東京にいるのは変な感じである。

生まれてこの方、お盆の時期は母方の実家に毎年帰っていた。去年も行けなかったので、2年連続東京にいる。

今年も帰れなかったかという想いを抱きながら、地下鉄に乗り込んだ。

この時期の電車は空いてるかなと思ったら、そうでもない。やはりほとんどの人は帰省や遠出はせずに東京にこもっているようだ。

今回の目的は、うどんだ。

夏はやはりうどんが食べたくなる。

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ここには安心がある

ここには安心がある

落ち着く場所、場面は人によって違う。

そんな当たり前のことをいまいちど思ったのは、岸政彦/柴崎友香「大阪」を読んだからだ。

この本では、大阪という街とともに時間を重ねてきたふたりの人生が語られる。ぼくは大阪に縁がなく、まだその地に足を踏み入れたことはないのだけど、楽しく読めた(まだ半分読んだところだが)。

行ったことはないのに、知らない街と風景なのに、なぜだか懐かしく感じた。

楽しく読めた

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快適な時間を求めて

家の中で過ごすことが増えた。

ご時世もあるし、この連日の暑さのせいもある。もともと外へ出歩くタイプではないが、それでも気軽に出かけることが少なくなった気がする。

最近、本を読むペースがまた戻って来た。一時期、まったく読む気がしなくて、ひたすら買うことだけしていたのだが、これで買った本も報われる。

数えたら、順番待ちの本が8冊ほどある。ようやく日の目を見そうだ。

7月に読んだなかだと、キム・

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たぶん、ずっと

たぶん、ずっと

苦手なのに捨てられないものがある。

いや、正確に言うと無視できないといったほうが正しいかもしれない。

それは「コミュニケーション」という概念であり、言葉である。

学生のころから、ずーっと「話すの苦手だな」というおもいで生きてきた。

誰とでもうまく会話できる人に憧れていた。いま自分に足りないものはなんだろう。なにかしないと。

コミュニケーションに関する本を読んだり、積極的に話しかけてみたり

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水餃子は夏に合う

水餃子は夏に合う

神楽坂に来た。

この日は夏の始まりのような空でとても暑かった。セミも鳴き始めているし、歩くたびにじわりと汗が吹き出す。

神楽坂は表通りから一歩足を踏み入れると、迷路のように路地が張り巡らされている。なかなか敷居が高そう料亭やレストランがひっそりとある。そそる小道の数々。

しかし、今回の目的は、そんな高級なお店ではなく、「台湾水餃子」である。

神楽坂駅から徒歩7分。

『フジ コミュニケーシ

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わかってもらいたいから

わかってもらいたいから

なんのために書いているだろうと、ふと我に返ることがある。

自分のため?誰かに見てもらいたいため?生きている証を残すため?自分を知るため?

どれもそうなんだけど、どこか違う。たしかに自分のためでもあるし、誰かに見てもらいたいというのも当然ある。

ただ、いまいち腑に落ちない。的外れではないんだけど、バシッと当てはまる感じではないのだ。

もしかしたら、書くときの原動力って、その時々で変わってくる

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人はそれぞれの世界を見る

人はそれぞれの世界を見る

なにか新しいものの見方を知って、視点が増える。

これほど面白いものはない。

「海の水はなぜ鹹い(からい)」という昔話がある。

これは、6年くらい前に柳田国男『日本の昔話』という本で読んだ。内容が面白くて、いまだにそのおおまかなストーリーをある程度暗唱できる。短い昔話が100篇ほどおさめられているその本で、唯一覚えている作品だ。

この話はタイトル通り、なぜ海の水は塩辛いのかを巡るアナザースト

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自分を守る方法は、ただひとつ

自分を守る方法は、ただひとつ

自分を守る方法は、ただひとつ。動くこと、行動すること

これは、ナム・インスク『実は、内向的な人間です』という本に書かれていた言葉だ。年始あたりにこの本を読んだ。

内容も面白くて付箋もたくさんつけたのだが、なかでもこの言葉が強く印象に残っている。というよりも、かなり感銘を受けて、よしこの言葉どおりに生きてみようと思ったのが、2021年の上半期だった。

内向的な人間は、次々といろんなことを考えて

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当たり前は当たり前じゃない

当たり前は当たり前じゃない

「青海珈琲」というカフェに行った。

ここは一風変わったカフェで、すべての飲み物、食べ物をセルフで提供している。店内にはいくつかのコーヒーマシンが並び、ショーケースにはチョコやサンドウィッチ、ケーキなどの軽食が置かれている。

飲み物の種類はかなりある。紙コップかプラスチックのカップを使い、自分で飲み物を注ぐ。ホットもアイスも対応している、いわゆるドリンクバー方式。

そして、面白いなと思ったのは

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いくつになっても初心者

いくつになっても初心者

外を歩いているとき、自然と花に目が止まるようになった。

ただ単に年齢を重ねたからなのか。はたまた花の儚さ、美しさを感じ取れるようになったのか。それともほかの理由があるのか。

千葉県松戸平賀に「本土寺」というお寺がある。

あじさいが有名な場所らしく、電車に揺られて行ってきた。

道端に咲いている花を見ることはあっても、わざわざ花を見ることを目的に出掛けることはあまりない。

北小金駅から約10

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タコスとコーラ

タコスとコーラ

タコスを食べに、中野に行ってきた。

なにを隠そうこれまでの人生でタコスを食べたことがない。同じような形態のケバブは何度か食べたことがあるが、タコスはない。

何事も経験が大事だ。食べたことがないものを食べる、これは人生の醍醐味のひとつである。タコスを食べずに死ねるか。食わず嫌いだった過去の自分とはおさらばだ。

中野駅南口から徒歩2分。線路に沿って坂道を登っていくと、『POKATACO's(ポカ

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なんとかなる

6月3日。

とうとう扇風機を解禁した。東京の6月は蒸し暑い。

そこで気になるのは、去年いつ扇風機を使いだしたか、ということ。6月に扇風機って早いよなと思いながら、自分が書いたnoteを見返したら、すぐに発見。

2020年6月11日に「先週から本格的にクーラーと扇風機を稼働し始めた」と過去の自分は書いている。なんてことはない、去年も同じくらいの時期に扇風機を使い始めていたのだ。

まだクーラー

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いつまでたっても特別なこと

いつまでたっても特別なこと

オロナミンCを飲む。

一仕事を終えたら。なにか気分を変えたいと思ったら。オロナミンCを飲む。

この習慣は高校生ぐらいの頃から始まった。大人がお酒を飲むのと同じ感覚で、ぼくはオロナミンCを飲んでいたと思うのだが、お酒を飲める年齢になってもこの習慣は続いている。

もちろん美味しいから飲んでいる。でも、毎日飲むとなるとまた違う。オロナミンCを飲むのは、いつまでたっても特別なことで、何歳になってもそ

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思い出しながら書くと、二度おいしい。

思い出しながら書くと、二度おいしい。

スイカを食べた。

スイカを食べると、もう夏だなと思う。暦の上ではまだ5月だけど、スイカほど夏を感じさせる食べ物はないと思う。

おばあちゃん家に行くと、スイカをよく食べた。夏の溶けるような日差しを浴びながら、縁側にだらしなく座って、口にたまった種をそのまま庭に吹き飛ばす。あの快感ったら、ない。

行儀が悪いことこのうえないけど、楽しくてしかたなかった。誰が一番遠くに飛ばせるかと競争したり、思った

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