卯野有希路

短い文章で世界を創り出す実験を行う詩人気取り。不定期で投稿します。雑記等、詩以外も投稿…

卯野有希路

短い文章で世界を創り出す実験を行う詩人気取り。不定期で投稿します。雑記等、詩以外も投稿予定。 共感して下さると有り難いです。 ご連絡は各SNSのDM、またはメール(inbunsouko.10000@gmail.com)にて。

マガジン

  • 自作の詩篇をまとめています。 お気に入りを見つけてみて下さい。

  • 雑記

    エッセイとも呟きとも違う、短い文章をまとめています。 内容は雑多です。

記事一覧

固定された記事

【ご報告】「卯野有希路」として自己紹介

 どうも皆さん。  いつも私のnoteを読んでいただきまして、誠にありがとうございます。  「韻文倉庫」、改め「卯野有希路(うのゆきじ)」と申します。  去年の11月末に…

卯野有希路
4か月前
141

【詩】カニカマ

 冷蔵庫にポツンと居座る、  カニカマを見て思う。  カニカマほど、  己に自信を持つ者はいない。  カニはカニ、  カニカマはカニカマ。  カニの偽物だとしても、…

37

【詩】ラジオ

 何気ない日常。  日々の気づき。  やるせない思い。  くだらない話。  音声だけで  満足させる  パーソナリティーたちの  技術が光る。  日が昇る朝。  昼の…

53

【X投稿詩】2024年4月

 こちらは、Xにて投稿した詩のまとめです。タイトルは後付になります。 「エイプリルフール」  嘘吐く余裕無く、  午前が過ぎて、  種明かしの必要無く、  午後が過…

38

【詩】夜汽車

 彼女の望みは  実に単純であった。  この世界の片隅で  自分たちの痕跡を消したかったのだ。  深夜の酔いと共に  孤高な旅へと向かって行く。  誰も僕等を知らな…

卯野有希路
2週間前
32

【詩】デパート内の喫茶店にて

 初めて来たその店は  老舗デパートの最上階。  ガラス張りを背にして  ブレンドコーヒーと  ドーナツを楽しんだ。  今まで行かなかったその店は  レトロで  エレ…

卯野有希路
2週間前
47

【詩】灯台

 街の中心にある丘には  小さな展望台がある  ペットボトルの緑茶だけを持って  僕は一人展望台まで登る  もうすぐ日が落ちる手前  誰もいない展望台に着く  一…

卯野有希路
3週間前
50

【詩】Time

 花が咲く  前髪が伸びる  いつかの風邪も治る  季節は何巡する  使っていないプロジェクターに  埃が溜まる  何年も眠ったままの望遠レンズに  カビが生える…

卯野有希路
3週間前
56

【生存報告】
作品の方向性が定まり、執筆のスピードが上がっています。
ストックに問題が無ければ、来週月曜日noteに復帰予定です。よろしくお願いします。

卯野有希路
1か月前
22

【X投稿詩】2024年3月

 こちらは、Xにて投稿した詩のまとめです。タイトルは後付になります。 「雨」  最初の一粒は何処に降る?  僕の目の前に降ってくる。  雨は気まぐれ。  小さな子…

卯野有希路
1か月前
38

【生存報告】
公募用作品の執筆の為にnote休止しているのですが、全然アイデアが浮かびません。如何しよう。
……あ、あともうすぐ月初なので、毎月恒例のX投稿詩まとめを投稿します。よろしく。

卯野有希路
1か月前
22

【お知らせ】
公募用作品の準備の為、noteでの活動を3週間程休止させて頂きます。この期間中、Xの方は休まず活動していきますので、宜しければフォローして下さると幸いです。

卯野有希路
1か月前
17

【詩】春

 彼女の柔らかい黒髪は、  春風に誘われて揺れていた。  産まれたての翠緑は光り輝き、  彩りの側を流れる川のせせらぎは穏やかだ。  幼い花々たちの舞は、  喜びの…

卯野有希路
1か月前
52

【詩】亀みたいな生活

 永く、緩く、  コツコツと。  亀みたいな生活を、  僕は憧れている。  ゆっくりとした時間の中で、  自分らしく生きている。  陽の暖かさに感謝し、  自然の恵み…

卯野有希路
1か月前
57

【詩】凪 ー3月11日ー

 全てを奪った海は、  何事も無かった様に落ち着いている。  あっけらかんとした水面に、  やり場のない悲しみを浮かべた。  かつての町々の営みも、  あの笑いあっ…

卯野有希路
1か月前
66

【詩】卒業

 教室に桜の花びら、  風に流れて入ってきた。  窓際の席に座る私は、  この日々の終わりを感じた。  青春の足跡は、  私の足元に溢れている。  あの笑い合った記…

卯野有希路
2か月前
52
【ご報告】「卯野有希路」として自己紹介

【ご報告】「卯野有希路」として自己紹介

 どうも皆さん。
 いつも私のnoteを読んでいただきまして、誠にありがとうございます。
 「韻文倉庫」、改め「卯野有希路(うのゆきじ)」と申します。

 去年の11月末に「韻文倉庫」という、botっぽい無個性な名で活動を開始した私ですが、1月から「卯野有希路」というペンネームで、本格的な詩生活に身を置く事にしました。
 この記事では私の自己紹介、「ペンネームの由来」や「今後の展望(野望)」につい

もっとみる
【詩】カニカマ

【詩】カニカマ

 冷蔵庫にポツンと居座る、
 カニカマを見て思う。

 カニカマほど、
 己に自信を持つ者はいない。

 カニはカニ、
 カニカマはカニカマ。
 カニの偽物だとしても、
 彼は個として存在する。

 カニカマだけを求めてしまう。
 偽物を本物としてしまう。
 それ程までに魅力的で、
 視認できない力を持っている。

 不思議。何とも不思議。

 カニカマに尊敬を懐きながら、
 冷蔵庫の中のそれをつ

もっとみる
【詩】ラジオ

【詩】ラジオ

 何気ない日常。
 日々の気づき。
 やるせない思い。
 くだらない話。

 音声だけで
 満足させる
 パーソナリティーたちの
 技術が光る。

 日が昇る朝。
 昼の高速道路。
 帰路に就く夕方。
 深夜の部屋で一人。

 寂しがり屋の
 僕たちは
 今日もラジオに
 お世話になる。

 テレビでは味わえない
 プライベート感が
 僕たちに寄り添う

 笑い声が聴こえたら
 合図さ。

 僕た

もっとみる
【X投稿詩】2024年4月

【X投稿詩】2024年4月

 こちらは、Xにて投稿した詩のまとめです。タイトルは後付になります。

「エイプリルフール」

 嘘吐く余裕無く、
 午前が過ぎて、
 種明かしの必要無く、
 午後が過ぎた。
 そんな私の4月1日。
 世間で言うエイプリルフール。

(2024年4月1日投稿)

「鳥」

 モノトーンの空、
 風は静か。
 遠く遠く、
 鳥は飛ぶよ。
 遥か彼方の、
 群れを求めて。
 彼等の痕跡なんて、
 ここ

もっとみる
【詩】夜汽車

【詩】夜汽車

 彼女の望みは
 実に単純であった。
 この世界の片隅で
 自分たちの痕跡を消したかったのだ。

 深夜の酔いと共に
 孤高な旅へと向かって行く。
 誰も僕等を知らない
 そんな夜を憧れた。

 ……夜汽車は走る。

 擦れる金属の音。
 ガスや電気が心を揺らす。
 ボックス席に座る僕等を
 何処に連れて行く?

 ……夜汽車は走る。

 目指すは暗闇の果て。
 名も無きプラットフォーム。
 影に

もっとみる
【詩】デパート内の喫茶店にて

【詩】デパート内の喫茶店にて

 初めて来たその店は
 老舗デパートの最上階。
 ガラス張りを背にして
 ブレンドコーヒーと
 ドーナツを楽しんだ。

 今まで行かなかったその店は
 レトロで
 エレガントでいい感じ。
 ピアノ・インストのオフコースも
 お洒落な照明も
 飾られた抽象画も
 素敵だな。

 テーブルに置かれた
 木製のペッパーミルも
 使い込まれて
 素朴な味がある。

 良い年の重ね方をしている。

 素敵な

もっとみる
【詩】灯台

【詩】灯台

 街の中心にある丘には
 小さな展望台がある

 ペットボトルの緑茶だけを持って
 僕は一人展望台まで登る

 もうすぐ日が落ちる手前
 誰もいない展望台に着く

 一口、お茶を飲む

 温もりが食道を通る

 ベンチに座って景色を見ると
 風がサァーッと吹いてきた

 景色の先には灯台が見える
 高い 高い
 灯台が見える

 変わらぬリズムで
 回転灯を回す

 強く発光し
 回転灯は回る

もっとみる
【詩】Time

【詩】Time

 花が咲く

 前髪が伸びる

 いつかの風邪も治る

 季節は何巡する

 使っていないプロジェクターに
 埃が溜まる

 何年も眠ったままの望遠レンズに
 カビが生える

 行きつけの店は潰れ
 その跡にアパートが建つ

 両親は白髪が増え
 皺も深くなる

 友は町を離れ
 連絡がつかなくなる

 「昔は良かった」と嘆き
 「昔に戻りたい」と願う

 そして
 気づけば嫌だったあの頃を
 綺

もっとみる

【生存報告】
作品の方向性が定まり、執筆のスピードが上がっています。
ストックに問題が無ければ、来週月曜日noteに復帰予定です。よろしくお願いします。

【X投稿詩】2024年3月

【X投稿詩】2024年3月

 こちらは、Xにて投稿した詩のまとめです。タイトルは後付になります。

「雨」

 最初の一粒は何処に降る?
 僕の目の前に降ってくる。

 雨は気まぐれ。
 小さな子供と同じ。
 僕等の日々に左右されず、
 ワガママを通して威張っている。

 最初の一粒は何処に降る?
 僕の鼻先に降ってくる。

 一つ、くしゃみ。
 雨は柔らかく降ってきた。

(2024年3月5日投稿)

「目線の先」

 か

もっとみる

【生存報告】
公募用作品の執筆の為にnote休止しているのですが、全然アイデアが浮かびません。如何しよう。
……あ、あともうすぐ月初なので、毎月恒例のX投稿詩まとめを投稿します。よろしく。

【お知らせ】
公募用作品の準備の為、noteでの活動を3週間程休止させて頂きます。この期間中、Xの方は休まず活動していきますので、宜しければフォローして下さると幸いです。

【詩】春

【詩】春

 彼女の柔らかい黒髪は、
 春風に誘われて揺れていた。

 産まれたての翠緑は光り輝き、
 彩りの側を流れる川のせせらぎは穏やかだ。
 幼い花々たちの舞は、
 喜びの頂点を表し続けている。

 南南西からのギフトは、
 神聖な存在による豊穣と平穏であった。
 麗しき老女神は、
 慈悲深い笑みを浮かべたままだ。

 「今年も来たね」
 いたずらっ子の君は言う。
 去年から季節が一巡しても、
 彼女は

もっとみる
【詩】亀みたいな生活

【詩】亀みたいな生活

 永く、緩く、
 コツコツと。
 亀みたいな生活を、
 僕は憧れている。

 ゆっくりとした時間の中で、
 自分らしく生きている。
 陽の暖かさに感謝し、
 自然の恵みに喜びを感じる。
 好きなモノを食べ、
 好きな時間に寝る。
 「ノロマ」と周りから言われていても、
 そんなの気にせず笑っている。

 永い時間を過ごす果て。
 爺さんになっても、
 楽しく過ごしたいね。
 小さな孫から、
 「亀

もっとみる
【詩】凪 ー3月11日ー

【詩】凪 ー3月11日ー

 全てを奪った海は、
 何事も無かった様に落ち着いている。
 あっけらかんとした水面に、
 やり場のない悲しみを浮かべた。

 かつての町々の営みも、
 あの笑いあった通学路も、
 毎年の楽しみだった祭囃子も、
 しんしんと降った雪の美しさも、
 お小遣いをくれた祖父母の笑みも、
 温かい母の手料理も。

 ……戻る事の無い、全て。

 潮風吹かれ、
 僕はとうとう大人になった。
 僕は嫌いになっ

もっとみる
【詩】卒業

【詩】卒業

 教室に桜の花びら、
 風に流れて入ってきた。
 窓際の席に座る私は、
 この日々の終わりを感じた。

 青春の足跡は、
 私の足元に溢れている。
 あの笑い合った記録は、
 私の肉体に刻まれている。

 有限の日々に、
 紺色のインクで言葉を書き残した。
 「ありがとう」という一言、
 積み重なって道となる。

 卒業おめでとう。
 今日も風は吹いている。

 桃色のトンネルを抜けて、
 新たな

もっとみる