宗慧@活人禅寺

茨城県の大子町にある活人禅寺というお寺の住職をしています。元々は薬剤師で、製薬会社に勤…

宗慧@活人禅寺

茨城県の大子町にある活人禅寺というお寺の住職をしています。元々は薬剤師で、製薬会社に勤務、その後、自身で起業したり、発電事業やホテル事業、水産事業やアグリカルチャー事業等の責任者を経て、住職になりました。誰でも入りやすいお寺、誰でも気軽に話せるお坊さんを目指しています。

記事一覧

気がつけばお寺の住職⑨

この話も長くなってきましたので、年表風にまとめてみました。 2004年 あるお坊さんの話を聴きました 2007年 伊豆にある老師のお寺で坐禅と出会いました 2010年 得度し…

112

新しいいのち

今朝、9時15分。 お寺で飼っているロバが子供を産みました。 産まれるまさにそのとき、子供に新たな命を吹き込むかのように、母親が大きく嘶きました。 新しいいのちの…

148

動中静

昨日から伊豆の本山に来ています。 これからの季節は雨が多く、気温もあがりますので、植物にとっては一番の成長期です。 その分、お寺は「草刈り•草取りシーズン」の真…

121

一掃除ニ信心

東京にいる時、土曜の午前は掃除の時間です。 一応、お坊さんですので、東京でも毎日、掃除はしていますが、土曜日は大掃除まではいかない「中掃除」くらいの日だと決めて…

168

無一物中無尽蔵

先日、老師からこの言葉をいただきました。 無一物中、無尽蔵 何も持たないからこそ、何でもある。 直接的に訳せばそんな感じでしょうか。 「所有する」ということは、…

150

真心

東京は桜が満開です。 東京にはこんなに桜の木があったのか! 初めて見るわけでは有りませんが、毎年、そんなふうに感心しているような気がします。 逆にいうと、桜の花…

188

気がつけばお寺の住職⑧

はじめて伊豆のお寺を訪ねた2007年。 たまたま仏教の教えと出会い、大きな希望を感じ、でも•••何ら救われることもなく、仏教への興味を失っていた頃、たまたま再会した…

120

神の作った芸術

先日、千葉の犬吠埼に行きました。 風が強く、波も荒かったですが、引き潮のタイミングだったこともあり、波打ち際は、岩肌がむき出しになっていました。 「自然は神の作…

93

冬来りなば春遠からじ

急に暖かくなった気がします。 昼間、厚い上着を着ずに外に出ましたが、風が心地よく感じました。 上着を脱いだだけですが、身も心も軽くなったような気がします。 周り…

70

老師

伊豆に来ています。 河津桜の季節が終わり、少し人が減ったような気がします。 茨城のお寺のこと、普段の"お仕事"のこと、いろいろと悩みごとの多い未熟な自分にとって、…

53

上野散策

久しぶりに上野に行きました。 20代の頃、埼玉に住んでいた時期には、上野は毎日通勤で利用していましたので、馴染み深い場所です。 今回は時間もありましたので、上野公…

60

気がつけばお寺の住職⑦

久しぶりに伊豆に来ました。 この時期、伊豆は桜の季節です。 本山のある南伊豆町も「さくらまつり」が開催され、毎年多くの観光客でにぎわいます。 自分がはじめてここ…

54

雲のうえ

今週はたくさん飛行機に乗りました。 合計で5回搭乗しました。 数年前であれば、1週間で5回飛行機に乗るというのも珍しいことではありませんでした。 最近はそこまで飛…

49

あざなえる縄の如し

実家に帰ってきました。 実家には、年に1、2回帰る程度でしたが、昨年の8月、それから年末年始、そして今回と最近は比較的頻繁?に帰ってきています。 実家に帰ったから…

41

ビギナーズ・マインド

久しぶりに鹿児島に来ました。 明日からの"仕事"のために1日早く鹿児島入りしたんですが、せっかくですので早めに移動し、のんびりと過ごしました。 ランチ。 何を食べ…

49

気がつけばお寺の住職⑥

20年くらい前に聴いたお坊さんのお話。 ・世の中は思い通りにならない ・なのに思い通りにしたいと思うから苦しい ・思い通りにしたいのは自己への執着(自分が何より大…

38
気がつけばお寺の住職⑨

気がつけばお寺の住職⑨

この話も長くなってきましたので、年表風にまとめてみました。

2004年 あるお坊さんの話を聴きました
2007年 伊豆にある老師のお寺で坐禅と出会いました
2010年 得度してお坊さんになりました

得度の前後で変わったこと。

「宗慧(そうえ)」という名前をいただき、
以来、老師からも兄弟子からも近所の人たちからも「そうえ、そうえ」と呼ばれています。

•••それくらいでしょうか。

厳密にい

もっとみる
新しいいのち

新しいいのち

今朝、9時15分。

お寺で飼っているロバが子供を産みました。

産まれるまさにそのとき、子供に新たな命を吹き込むかのように、母親が大きく嘶きました。

新しいいのちの誕生

やはり、感動的です。

何回も失敗しながら、産まれて1時間後にはしっかりと立ち上がり、無事に母乳ももらうことができました。

2時間後には母親と一緒にあたりを散歩していました。

とにかく、元気に産まれてくれてホッとしていま

もっとみる
動中静

動中静

昨日から伊豆の本山に来ています。

これからの季節は雨が多く、気温もあがりますので、植物にとっては一番の成長期です。

その分、お寺は「草刈り•草取りシーズン」の真っ最中です。

今回はそのお手伝いがメインで来ました。

いつものことですが、本山に着くと、自分の部屋に行き、まず掃除をします。
しばらく留守にしていましたので、空気の入れ替えとたまったホコリをはらいます。

それから持ってきた荷物をひ

もっとみる
一掃除ニ信心

一掃除ニ信心

東京にいる時、土曜の午前は掃除の時間です。

一応、お坊さんですので、東京でも毎日、掃除はしていますが、土曜日は大掃除まではいかない「中掃除」くらいの日だと決めています。

朝起きて、窓を全開にして、毎朝のルーティン
そして朝食、その後、雨でなければ軽く散歩。

それから、掃除の開始です。

まずは風呂場、洗面台、台所の流し、トイレ。

基本的に洗剤は使いません。

スポンジと雑巾と素手。

磨い

もっとみる
無一物中無尽蔵

無一物中無尽蔵

先日、老師からこの言葉をいただきました。

無一物中、無尽蔵

何も持たないからこそ、何でもある。

直接的に訳せばそんな感じでしょうか。

「所有する」ということは、自分のものと他人のものを区別するところから生まれます。

これは自分のもの、これは誰かのもの

「これは自分のもの」だと区別することは、同時に「これは自分のものでないもの」を生み出します。

自分のもの、他人のものという区別さえしな

もっとみる
真心

真心

東京は桜が満開です。

東京にはこんなに桜の木があったのか!

初めて見るわけでは有りませんが、毎年、そんなふうに感心しているような気がします。

逆にいうと、桜の花が咲いてない時期には、そこに木があるということさえ、全く意識していないということなんだと思います。

自分ごとながら、身勝手なもんだなあと思ってしまいます。

あれを見よ 深山の桜 咲きにけり

真心尽せ 人知らずとも

老師とも親交

もっとみる
気がつけばお寺の住職⑧

気がつけばお寺の住職⑧

はじめて伊豆のお寺を訪ねた2007年。

たまたま仏教の教えと出会い、大きな希望を感じ、でも•••何ら救われることもなく、仏教への興味を失っていた頃、たまたま再会した老師に誘われての訪問でした。

坐禅(のようなもの)もしましたが、効果も魅力も、特に何かを感じることはなく、「もう二度と来ないだろう」と思いながら、東京への帰路につきました。

特急での移動中、ずっとパソコンを使って仕事をしていたよう

もっとみる
神の作った芸術

神の作った芸術

先日、千葉の犬吠埼に行きました。

風が強く、波も荒かったですが、引き潮のタイミングだったこともあり、波打ち際は、岩肌がむき出しになっていました。

「自然は神の作った芸術」

真っ先にこの言葉を思い出しました。

前日に知った言葉です。

ロダンの言葉だそうです。

人は言葉と二度出会うといいます。

一度目は、単に知識として、本や他人の発言から出会います。

そして二度目は、自分自身の体験を通

もっとみる
冬来りなば春遠からじ

冬来りなば春遠からじ

急に暖かくなった気がします。

昼間、厚い上着を着ずに外に出ましたが、風が心地よく感じました。

上着を脱いだだけですが、身も心も軽くなったような気がします。

周りの人たちも同じように薄着で、それだけで、町全体が明るくなったような気もします。

ふと思い浮かんだ言葉が、

冬来りなば、春遠からじ

でした。

•••ほんとは冬の初めにマッチする言葉なんだと思いますが、なぜかこの言葉が思い浮かびま

もっとみる
老師

老師

伊豆に来ています。

河津桜の季節が終わり、少し人が減ったような気がします。

茨城のお寺のこと、普段の"お仕事"のこと、いろいろと悩みごとの多い未熟な自分にとって、伊豆で過ごす時間はありがたいものです。

伊豆には兄弟子がいます。

いつも食事の準備をしてくれます。

禅宗のお寺では食事の準備をしてくれる方を典座といいます。

料理というものを一切したことがない自分でしたが、以前、典座を引継ぐと

もっとみる
上野散策

上野散策

久しぶりに上野に行きました。

20代の頃、埼玉に住んでいた時期には、上野は毎日通勤で利用していましたので、馴染み深い場所です。

今回は時間もありましたので、上野公園をのんびりと散策しました。

西郷さんの銅像。

彰義隊のお墓。

博士王仁碑。

グラント将軍植樹碑。

正岡子規記念球場。

ボードワン博士の胸像。

その他いろいろ•••ですが、勝手に、この「何でもあり」感が、上野という土地柄

もっとみる
気がつけばお寺の住職⑦

気がつけばお寺の住職⑦

久しぶりに伊豆に来ました。

この時期、伊豆は桜の季節です。

本山のある南伊豆町も「さくらまつり」が開催され、毎年多くの観光客でにぎわいます。

自分がはじめてここに来たのは2007年です。

・世の中は思い通りにならない

・なのに思い通りにしたいと思うから苦しい

・思い通りにしたいと思うのは自分が何よりも大切だという自己への執着があるから

・でも執着しているはずの自己なんていうもの自体が

もっとみる
雲のうえ

雲のうえ

今週はたくさん飛行機に乗りました。

合計で5回搭乗しました。

数年前であれば、1週間で5回飛行機に乗るというのも珍しいことではありませんでした。

最近はそこまで飛行機に乗らなくなっていましたので、ちょっと新鮮でした。。

普段、飛行機に乗るときは、できるかぎり通路側の席をとるようにしています。

身体が大きいので、真ん中や窓側は気分的に窮屈さを感じます。

加えて、降りる際も早く降りられます

もっとみる
あざなえる縄の如し

あざなえる縄の如し

実家に帰ってきました。

実家には、年に1、2回帰る程度でしたが、昨年の8月、それから年末年始、そして今回と最近は比較的頻繁?に帰ってきています。

実家に帰ったからといって何をするわけでもなく、ゴロゴロと過ごして終わるだけですが、それでもやはり心落ち着くのが実家なのかもしれません。

そして、数日もいると、またソワソワしたくなって日常に戻っていく。

そんな一時避難的な場所が自分にとっての実家の

もっとみる
ビギナーズ・マインド

ビギナーズ・マインド

久しぶりに鹿児島に来ました。

明日からの"仕事"のために1日早く鹿児島入りしたんですが、せっかくですので早めに移動し、のんびりと過ごしました。

ランチ。

何を食べようかと迷いましたが、これまで、知っていましたが入ったことがないお好み焼き屋さんに行くことにしました。

関西出身だからなのか、単なる個人的な嗜好なのか、自分はお好み焼きが大好きです。

ですので、頻回に訪れた場所では必ずお好み焼き

もっとみる
気がつけばお寺の住職⑥

気がつけばお寺の住職⑥

20年くらい前に聴いたお坊さんのお話。

・世の中は思い通りにならない

・なのに思い通りにしたいと思うから苦しい

・思い通りにしたいのは自己への執着(自分が何より大切だと思う気持ち)があるから

・でも、そもそも執着しているはずの自己なんていうもの自体がない

・いろいろ考えてみると、確かに、普通に自分自身の実感としてあるような独立した自己なんていうものは存在しない

・絶えず動き回っている素

もっとみる