見出し画像

6/23 鼓童いってきた

世界一を見に浅草へ行ってきた。

世界一とはこういうことだなと思える舞台だった。






鼓童とは世界の第一線を走る和太鼓集団だ。
坂東玉三郎やMIYAVI、初音ミクともコラボしたり
小澤征爾が指揮する新日本フィルなどのオーケストラ
にもたびたび参加している。



曲は日本各地の伝統的な祭り太鼓や祭囃子、
踊りがベースで、時にラテンのような
裏拍のリズムが混じることもあれば、
打楽器アンサンブル的な一節もある。

かと言って聴いたあとに
「ヒジョウにゲイジュツセイがタカくて
よくわかラナかった」
みたいな感想は出ない。

現代音楽的ではなく、現代的な音楽だからだ。
ちゃんとサビがあって、キャッチーな部分がある。


(昔とある音大の打楽器アンサンブルコンサートを
見に行った時、曲なのかも怪しい演目を延々と
聴かされてゲッソリしたことを覚えている。
演奏者の必死の努力が垣間見えるのがタチが悪い。
つまり僕の現代音楽の印象は最悪だということ)







鼓童の公演は基本的にはコンサートなので、
楽曲をメインに舞台が展開していく。

そこに舞踊があり、神楽があったりして、
全体を通して抽象的なストーリーがある。

今回は10個くらい演目がある中で、
半分くらいは新作の曲だった。
知っている演目はひとつもなかった。





鼓童を見に行くのは8年ぶりだ。

見どころは鼓童の花形演目の大太鼓を
40年の歴史の中で初めて女性が演奏するところ。
演奏するのは僕と同じ28歳。

彼女は8年前見に行った時はまだ研修生で、
スタッフとしてコンサート会場の誘導をやっていた。

月日が経つのは早い。

何かの手違いがあったら僕もあの舞台に立っていた
のかと思うと、不思議な気持ちになった。




演出はその女性と同期の男性で、
とてもとても素晴らしかった。

特に一部のラスト演目の曲と演出は圧巻だった。




和太鼓を生で聴くと
感動する前に勝手に涙が溢れる。
僕だけかと思っていたけど一緒に行った友人も
同じことを言っていた。

心に響くし、心臓に響く。
音圧・音量・音質、リズム共に全てがよかった。

音はもちろん動きの一挙手一投足に魂が宿っていて、
完璧主義的な気持ちよさがある。

洗練された舞台を見ると
どれだけ稽古を積み重ねてきたかを勝手に想像して
いつも感動してしまう。

鼓童の舞台には、余分なパフォーマンスがない。
過剰演出しないというのは強くて、
純粋に音だけが飛んでくるからだ。

肉体美や和太鼓の荒々しさ、派手で目に付く
パフォーマンスを主として見せる団体もいる中で、
鼓童自体はずっとこのスタンスを取り続けている。

ほどよく抽象的なのもいい。抽象的な舞台には
自分の内側に入り込ませてくれるだけの余白がある。






違う芸能の道でどう頑張ったとしても、
この人達には勝てないなぁといつも思う。

素人から見て「音楽的」であり、
「芸術的」であり、なおかつ、面白い。

そしてこれらを和太鼓でやるのが
世界で、唯一なのだ。これほどの価値はない。




あー面白かった。
良いもんみた。

この記事が参加している募集

振り返りnote

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?