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6/25 決闘をしよう 付き人日記②

プロ奢ラレヤーの紹介で
100万人のSNSフォロワーをもつインフルエンサーの付き人をすることになった話↓




「じゃあ、秋葉原集合にしましょう」



トレーディングカードと言えば
やっぱり秋葉原なのだろうか。

僕は疎くてよくわからなかった。





平成生まれの男子小学生にとって
「遊☆戯☆王」は当たり前に生活の中にあった。

僕は近所のお兄ちゃんがなぜかデッキの組める
40枚のカードをタダでくれて、
晴れて決闘者(デュエリスト)となった。

今でこそ(色んな意味で)大盛り上がりな
ポケモンカードは僕の地域では
当時そこまで人気がなく、

デュエルマスターズもない時代、
カードゲームといえば遊戯王一択だった。


当時は友達のレアカードを盗みまくってたな。
友達にはバレてないと思っていたけど、
多分バレてたんだろうなぁ・・。

そら嫌われるわ。天罰だ。

そんなことをしてまでも僕は大してハマらず、
結局小4くらいまでしかやっていない。

友達と遊ぶのはもっぱらDSかキューブか、野球。
中学に上がるころには「カードで遊ぶなんて」
みたいな風潮が流れていた。








しかし地域によっては高校までやったりするほど、
遊戯王とは高度で知的なボードゲームだったらしい。


Yさんは高校時代、低いヒエラルキーにはいなかった。
しばらく遊戯王は好きでやっていたというが

「オタクのグループが遊戯王で遊んでいるのを見て、
そこに混ざる勇気はなかったですね」

という。




人の趣味嗜好は思春期のときに好きだったものに
かなり大きく影響される。

Yさんはずっと、遊戯王で
子どもの頃のように友達と遊びたかったのだろう。

気持ちはわかる。
僕も幕末志士の動画を見る度にこんなふうに
友達とスマブラで騒げたら楽しいなぁと思う。

気の許した友達にゲームで煽られると
たまにガチギレするけど。


秋葉原でカードを選ぶYさんは楽しそうだった。





カードゲームは大体5枚入りのカードパックを
買って(200円くらい?)その中で
戦術を考えて40枚くらいのデッキを作る。

パックに入っているカードはランダムなので、
イチからやるとなれば
初めから戦術を考えて作られている
40枚が入ったストラクチャーデッキというのを
買うのが普通だ。

しかし、秋葉原中のカードショップを探しても
ストラクチャーデッキはほとんど売り切れていた。



なんで?

どゆこと?


この時期に遊戯王始める人が多いの?

それとも一見さんお断りなの?



どういう文化なのか知らないが、
初心者に優しくない。

5店舗くらい歩き回って、
おもちゃやフィギュア専門のビルに入り
やっとみつけた唯一のストラクを買う。


とりあえず40枚×2が出来たので
これで勝負することができる。

しかしエスカレーターを上がると
またカードショップがあり、
そこには新しい良さげなストラクチャーデッキが
2種類あった。




「うわ~先にこっちを見つけてればよかったですね」

と僕が言うとYさんは即答でこう返した。

「さっき買ったデッキは弱そうなんで
新しくこの2つ買いましょうか。」





えっ!?





もったいな!!と心の中で叫んだ。

もうさっき買ったデッキ絶対使わんやん。


なんかこういう子どもの頃のおもちゃって
クリスマスとか誕生日の特別な日を待ち望んで
親に頼み込んでようやく買ってもらう
みたいなイメージがついていたから、

アッサリと買い替えたことにびっくりしてしまった。




しかも、Yさん何やら不可解な行動をとっている。

デッキを各3つずつ買って、合計6つも買ったのだ。





Why!?

120枚と120枚である。


どうやらストラクチャーデッキに入っている40枚は
デッキとしてとても弱いらしい。

それは僕も小学生のときやっていたからわかる。

そのデッキをベースに、
少しずつパックを買ったり、友達と交換しながら
強いカードを集めて自分だけの40枚を作るのだ。




しかし、同じストラクチャーデッキを3つ買うと
同じカードが3つ揃うことにより
それを組み合わせるだけでかなり強いデッキが
出来てしまうらしい。

その組み合わせ方がネットに書いてある。



すげぇ。
現代のカードゲームはこうやって遊ぶのか。

にしても初めてやるんだから
そんな強くしなくてもいいのに。





カードを傷つけない為の遊戯王専用のスリーブや
カードケースも買って、
お会計は余裕で万を越していた。

マジかよ。

この余裕があるが故の即断即決ムーブ、
めちゃくちゃ見覚えがあると思ったら
高校生の時のマジックの師匠だった。

師匠について道具やらスーツやらを
即決で買ってもらったのを思い出す。
懐かしいな。

(ネットで上がってたストラクの相場と違う。
めっちゃ高かったぞなんか)







都会のカードショップにはその場で開封したり、
そのまま友達と遊べるスペースがあると
噂には聞いていたけど、
東京の最先端サブカルタウンの秋葉原は凄かった。

15時になると
20人ぐらい人が押し寄せてきて、
司会の磯野みたいな人が

「これよりトーナメントを始めます」

と言い始め、一斉に

「デュエル!!俺のターン、ドロー!!!!」

と叫ぶ。(叫んではいない)



素人は僕らだけで、
あちこちでエクシーズだのシンクロだのリンクだの
謎の用語が飛び交うなか僕らは

「これ、モンスター出すときって守備表示で表側で
召喚していいんでしたっけ?」

と真面目にスタッフに聞いている。
表側では守備表示で召喚できない。





ボードゲームは完全に下手の横好きで、
将棋も麻雀もセンスはないのだが好きだ。

遊戯王は戦術がたくさんあって、
組み合わせとコンボを考えるのが
とても楽しかった。


やる前は懐かしくてワクワクしているが半分、
付き合いが半分くらいだったけど

実際やってみるとかなり楽しくて、
その後アプリでYさんを置いて
ドップリはまってしまったくらいだ。


遊戯王は、モンスター効果の
「~したときに発動できる」と
「~するときに発動する」の違いとかが細かくて

ただの国語ゲーだった。
小学生がやるゲームじゃねぇぞこれ




その後、Yさんのマンションにお邪魔して
何度も遊戯王で遊ぶことになる。

僕らは決闘者仲間、つまり戦友になったのだった。





続く


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