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#小説
戦略的モラトリアム②
今思えば、なぜ朝に学校に行く気になったのか、今朝の僕自身を恨んだ。その後悔とは対照的なかごの中のご馳走を片っ端から片付けて、家につく頃にはもう僕の燃料は満タンになっていた。
家に着くと祖父母が怪訝そうな表情で僕を見る。
「学校はどうした。」
間髪いれずに答えなければ、祖父母に攻撃の余地を与えるので僕はとっさに答えた。
「早退。」
そう言うと、すぐに自分の部屋へエスケープする。その後どんな小言を言わ
震災クロニクル(東日本大震災時事日記)3/12⑧
施設の事務所には職員数名、理事長、市役所の職員数人が何やら話している。
「まいったよ……」
市役所の職員がうなだれる。
「〇〇市議なんだけど、『俺の車はハイオクなんだから、入れられるところ捜せ』って職員に言ってきてさ。こっちの身にもなってくれよ……。」
結局はそんなものなのだろうか。特段驚きはしなかった。政治家なんてしょせん政治屋だろう。利権やらなんやら薄汚いものが薄い面の皮から透けて見え
[全文無料: 小さなお話 0.07] ハート泥棒にご用心♡
[約2,000文字、3 - 4分で読めます]
その怪盗の名はKYというのだが、空気が読めないというわけではない。むしろ空気を読むのがうまいのだ。しかもこの怪盗は、そうやって読み取った空気を盗んで生計を立てている節すらある。
時代の空気を読むのがうまい怪盗は、ハート泥棒となって巨万の富を稼ごうと考えた。だが、結婚詐欺の同類だろうと思って、軽く見てもらっては困る。なにしろ巨万の富と言っても、それは