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転職体験記 シリコンバレーのベンチャー企業に その7 当たり前過ぎて意識しなくなっていること

 時は昭和のバブル時代真っ只中。

経緯

 シリコンバレーにある高速半導体メモリを開発·製造している会社に転職となったのです。
形式的には鉄鋼会社の米国駐在員で、鉄鋼会社の社員としての給与を貰い、その米国ベンチャーの社員としても給与を貰い、日米の年金保険料はダブルで払い、税金は日米の給与と駐在員手当(住居費、自動車購入費、交通費など)も含めた全収入に対して米国の税金を支払うという形でした。
 渡米に際しては先ずは米国大使館でのビザの取得。形式的に半導体技術開発のエンジニアという建付けでの渡米でしたので、取得したビザは、H-1B。ビザ取得に際しての大使館での面接、その後の手続きとそれなりに面倒でした。

 その2は渡航前の明るく楽しいひと時の話。

 その3は、予防接種の重要性と就労ビザのご利益の話でした。

 その4からは現地での流れ。

 レンタカー、ホテル、外食で仮に生活を立ち上げ、仕事が可能な体制に。そして銀行口座開設、年金、健康保険の手続きをして入社した会社の社員としての基礎的な手続きを完結させました。

 その5は仮生活からの脱却です。
 今ならスマートフォン手配は必須ですが、当時は携帯電話すら無く会社支給のポケットベルという時代でした。

 ということで、先ずは空港で借りたレンタカーは高いので、急いで自動車を購入ということに…。レクサスLS400は狭くて保留。
 戯れにシボレーカマロを見に行ってプレミアがついていたのに驚くといった感じ…

 その6もその続き。

アメリカでは車は極めて重要なアイテム

 折角アメリカに駐在するのだからアメリカ人に成り切って楽しもうと私自身車好きだしね。日曜日昼下がり道に迷い、Lincoln Mercury販売店に入って道を尋ねがてら車も…

 米国での自動車購入の実況中継です。

メキシコ系販売員の丁寧な対応で、不人気なアメ車のフルサイズセダンの最高級グレードの車を選び、レクサスとは別格とその場で契約を決めました。
 アメリカ専用に作られ、熟成し続けられただけ有って、この国には最適解ということで…。

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 今回もその続編、契約手続きの実況中継です。
これもなかなか日本では味わえないレアな体験なので、ご紹介しますね。

 渡米して1週間目の週末に大きな買い物をしちゃうと言うのも怖いもの知らずの私らしい…

運と勘としつこさの人生

の典型的なエピソードかなっ

 渡米して間もないので自動車保険は基本的にコンサバな車しか掛けられません。スポーツカーなど事故率の高い車は乗れません。ですが幸いにも私はセダン派なのでこの縛りは特に気になりませんでした。

 買いたい車は在庫車の中で最も高かったフラッグシップモデル。その場で契約するからと好条件を引き出しての契約手続きの開始でした。マネージャーも販売員も飛び込みで売れ残りの1番高額な在庫車を成約できると万全の対応でした。アメリカですからクールダウンによる契約解消など消費者保護の仕組みは完備されていますので、少なくも対応の不備でそうならないようにという感じが伝わってきました。

 その契約書を作って来るのでショールームでも見ていてと言われ結局、30分程度書類作成に…、周りは薄暗くなり始めました。営業マンの個室に案内されて、広めの机で契約書3セットを読み合わせ。各項目ごとに読み上げて私が理解したらイニシャルを書いて各詳細項目までも説明済みということを記録に残し、1セットが終わると同じ契約書3枚にそれぞれイニシャルではなくフルのサインをすると言う作業が始まりました。途中コーヒーブレイクを入れて結局1時間。
 面白いところではガスガズラー(ガソリンがぶ飲み)税免除の申請書。当時のアメリカ車、特にフルサイズの車は燃費が悪くガスガズラー税を課されて居ました。フォードがレクサスをリバースエンジニアリングし尽くして設計されたエンジンなので免除なのでした。

 その後詳細な車の操作方法の説明が、最早薄暗くなって照明が灯くなかで有りました。
·自動クルーズ
 (時速20マイル程度以上、詰まり一般道でも使える)
·自動減光
 (対向車が来るとハイビームからロービームになる)
·自動照明
 (車から玄関までをヘッドライトで照らし、設定した時間で照明が消える、アメリカならではの広大な家でドライバーの安全を確保する装備)

·コラムシフト
 (登坂用のL、3段オートマチックのD、ロックアップするオートマチックの◯D、バックのR、パーキングのP)
·デジタル速度計
·多機能表示
 (瞬間年費、平均年費、オドメーター、距離計、マイルとキロメートルの表示切り替えなど)
·チャイルドロック
·エアバッグ作動時の注意
·反射率自動調整防眩ルームミラー
·ヒータ付きサイドミラー
·バニティミラー
·パワーウインドウ、ロック
·パワーシート
·キーレスエントリー
·リモコンキー、トランクオープナー
·電動トランク
·ABS作動時の注意
·スノーモード自動作動時の注意
 (ノーマルタイヤでも雪道で障害物を回避可能)
·8マイルバンパー
 (前後のバンパーに衝突吸収用のショックアブソーバーが直結していて、時速8マイルまでならボディーは無傷)
·リンカーン専用サポートダイヤル
 (コンシェルジュ(24時間365日))
·リンカーン専用全米1時間以内救助サービス
 (24時間365日)
などなど

…面白いところでは
·トランクからの緊急脱出装置
 (トランクの中に閉じ込められても内側から自力で脱出可能)
·タコメーターは無し
(速度計のみ、スポーツ走行はしないし、オートマなのでエンジン回転数は知る必要が無い)
·電動ドアミラーは畳めない
(アメリカは駐車スペースが広いので畳む必要が無い)


 当時の最先端技術てんこ盛りなのでそれだけでも30分以上。
 これもイニシャルと説明後のサイン。

 今となっては、普通の車に標準装備されているものも多いですね。

 こうなるとナンバープレートが出来上がるまで仮ライセンスの紙をフロントガラスに貼ってその場で乗って帰れるのがアメリカ流。合理的なんです。
 残念ながら私はその場で乗って帰ることは無く、後日レンタカーを借りた空港ではなく市内のレンタカー会社の支店にレンタカーを返却して、同僚にその店まで送ってもらったのでした。

 そして元々の目的である帰り道を訊いて無事帰宅できたのでした。

 帰りは店の前の道であるEl Camino Realという信号も沢山ある古い街道をサンフランシスコと反対方面に向かって帰るか、近くのハイウェイの入口からハイウェイで帰るかでした。結局古い街道でのんびり帰ることにしたのでした。

 駐在員規定で、米国では通勤用自動車購入費の補助として20000ドルと家族用に10000ドルが支給され、その後も手当として自動車用の手当がでる建付けでした。
 リースの頭金にして月々リース料を払っても十分な金額でした。また、カムリ程度の日本車ならば20000ドルで十分購入できました。

 ですから、ちと奮発した感じですかね~
でも、予定通り35年後の今でも使っているので良いか…

つづく




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