もりやみほ

編集者(CINRA←MATCHA)。旅とらくだと座禅が好きです。フリーでも執筆・編集の…

もりやみほ

編集者(CINRA←MATCHA)。旅とらくだと座禅が好きです。フリーでも執筆・編集のお仕事承ってます(※現在お休み中です)。ポートフォリオ▶︎http://mihomoriya.tumblr.com/

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  • ほんだな

    読んだ本(映画)のメモ、よかったフレーズ、考えたことなどを書いたnoteのまとめ。本や映画にまつわるほかの方のnoteも時々追加します。「ほんだな」ですが、映画やドラマなどの感想も入ります。

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    未経験から編集者を目指していた2017年以前の私に向けて、編集者の仕事、参考になるnote、編集者となった自分はどんなことを考えて日々働いているかをまとめています。

記事一覧

『ラーメンカレー』(滝口悠生著)書評|ラーメンとカレーは別々がおいしい

* 本のタイトルに少し違和感があった。「ラーメンカレー」という料理はあまり見かけない。人気の料理のコラボレーションなのに、よく考えると不思議だ。 この本には、と…

もりやみほ
1か月前
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『東京都同情塔』(九段理江著)書評|言葉の綾

* 「寛容である」ことは良いことで、「不寛容であること」は悪いこと。そう言い切れる人はどのくらいいるだろうか? 2020年に予定されていた東京オリンピックは、世界的…

もりやみほ
1か月前
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『目をあけてごらん、離陸するから』(大崎清夏著)書評|自由への旅路

* ページをめくるごとに、まるで作者と一緒に旅に出ているよう。エッセイ、日記、小説などのさまざまな文章を通して作者が見てきた世界に入っていく。 「ミニシアター系…

もりやみほ
1か月前
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『うるさいこの音の全部』(高瀬隼子著)書評|自分の声が聞こえない

* ジャンラララ、ジャンラララ。周りの音が大きくなるほど、自分の声が消えていく。自分の声がわからなくなる。本当はもっと、本音を聞いてほしいはずなのに――。 主人…

もりやみほ
1か月前
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樹海、さわやか、アイスケーキ。厄年あふれる誕生日のアレコレ

9月26日、またひとつ歳をとった。2022年は結婚式準備の真っただ中で忙しく、近くで買ったケーキとスーパーの高い牛タンでお祝い。一昨年はサウナの聖地「しきじ」に行って…

もりやみほ
7か月前
9

『おいしいごはんが食べられますように』書評|嫉妬のスパイス

* この話に出てくる食べ物は、なんだかあまり食欲をそそらない。食べ物とともに描かれる、どこかに泥を含んだような人間関係が、本来おいしいはずのものに不調和な隠し味…

もりやみほ
7か月前
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『ハンチバック』書評――「健常者」という仮想敵に向けて

* <生まれ変わったら高級娼婦になりたい> <普通の人間の女のように子どもを宿して中絶するのが私の夢です> 首をかしげたくなるようなツイートを続ける井沢釈華。10…

もりやみほ
8か月前
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目には見えなくなった母の実家

「〇日におばあちゃんちを壊すことにしたよ」 年が明け、実家で過ごす最終日に、母が思い出したように言った。母がおばあちゃんのおなかにいるときから、父と結婚するまで…

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予実が異なる2020年と、2021年のnoteについて

毎年恒例にしている振り返りの時間が持てずに紅白が終わってしまい、残り15分であいさつだけでも…!と思っていたところで両親からの思わぬ話が飛び込んできて、いつの間に…

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2020年買ってよかったもの(ジャンル問わず)

先日、「2020年買った本」をまとめてみたら自分の振り返りにもなった。 買ったもので振り返るって、その時の関心ごとが見えて結構楽しいかもしれない。そう思って本以外で…

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ストーリー以外の映画の楽しみ方

思いつきで映画『鬼滅の刃』を見てきた。 私の鬼滅ファン度はそこそこ。アニメはAmazon primeで2度ほど見て、続きが気になり無限列車のストーリーから最終巻まで漫画を買…

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2020年に買った46冊

46冊。これが多いのか少ないのか。前年比がなくわからないけれど、本への投資は着実に増えている。 以前は「1冊読み終えないとほかの本を読んではいけない」という謎のマ…

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どこで書くかと、誰が書くか

noteはすごく明るいところだ。蛍光灯のような白くてまぶしい光があって、ここにいるとみんなに見つけてもらえる気がする。四方を囲む壁はなくて、あるとしたら半透明な書類…

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後悔もできなくなったクリスマス

思えばイベントごとに、「去年何してたっけ」が思い出せない歳になった。去年だけじゃなくて、その前も、その前もどうやって過ごしていたのかさっぱり思い出せない。だから…

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「人間大合格でしょ」と君が言ったから12月はユーモア記念日

知性とセンスにあふれた返答を見ると、思わずにんまり顔がほころんでしまう。そして時には、ケラケラと声を出してしまうことも。今回取り上げた2つの返答は、まさに知性あ…

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肩肘はらずに書けるtumblr。最近はずっとこっちです。
https://www.tumblr.com/blog/view/dailylog-m

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『ラーメンカレー』(滝口悠生著)書評|ラーメンとカレーは別々がおいしい

『ラーメンカレー』(滝口悠生著)書評|ラーメンとカレーは別々がおいしい



本のタイトルに少し違和感があった。「ラーメンカレー」という料理はあまり見かけない。人気の料理のコラボレーションなのに、よく考えると不思議だ。

この本には、とある2人の結婚式に出席した人々のストーリーが第三者視点で描かれている。前半は、仁と茜夫婦。後半は窓目君。結婚をした2人はけり子とジョナサンといい、仁と窓目君、そしてけり子は高校の同級生だ。

結婚式のあと、仁と茜はイタリアにいる由里さん

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『東京都同情塔』(九段理江著)書評|言葉の綾

『東京都同情塔』(九段理江著)書評|言葉の綾



「寛容である」ことは良いことで、「不寛容であること」は悪いこと。そう言い切れる人はどのくらいいるだろうか?

2020年に予定されていた東京オリンピックは、世界的なパンデミックの影響により翌年に延期。オリンピックに合わせて建てられた国立競技場は、当初の計画にあったザハ・ハティドのデザインが白紙になり、代わりに隈研吾の案が採用された。しかし作中では、予定通り2020年に東京オリンピックが開催さ

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『目をあけてごらん、離陸するから』(大崎清夏著)書評|自由への旅路

『目をあけてごらん、離陸するから』(大崎清夏著)書評|自由への旅路



ページをめくるごとに、まるで作者と一緒に旅に出ているよう。エッセイ、日記、小説などのさまざまな文章を通して作者が見てきた世界に入っていく。

「ミニシアター系の映画を浴びるように観てきた」という作者は、新卒で入った人材派遣の会社を辞め、27歳で映画宣伝を中心に扱うウェブ制作会社に入る。仕事で携わった2010年のフランス映画祭のために来日したジェーン・バーキンは、まるでおまじないのようなメッセ

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『うるさいこの音の全部』(高瀬隼子著)書評|自分の声が聞こえない

『うるさいこの音の全部』(高瀬隼子著)書評|自分の声が聞こえない



ジャンラララ、ジャンラララ。周りの音が大きくなるほど、自分の声が消えていく。自分の声がわからなくなる。本当はもっと、本音を聞いてほしいはずなのに――。

主人公の朝陽は学生時代からアルバイトをしていたゲームセンターで正社員となり、その傍ら小説を書いている。ペンネームは早見有日。有日の著書『配達会議』がテレビで紹介されると、朝陽の周りに大量のさまざまな声が届き始めた。

「小説家の人たちってや

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樹海、さわやか、アイスケーキ。厄年あふれる誕生日のアレコレ

樹海、さわやか、アイスケーキ。厄年あふれる誕生日のアレコレ

9月26日、またひとつ歳をとった。2022年は結婚式準備の真っただ中で忙しく、近くで買ったケーキとスーパーの高い牛タンでお祝い。一昨年はサウナの聖地「しきじ」に行っていたらしい。何をしたのか覚えていなくて、googleフォトの写真をさかのぼってようやく思い出せた。「しきじ」のあとに「さわやか」へ行って、パートナーがげんこつハンバーグを4皿頼んだんだっけ。異常な食欲に目をみはったことがよみがえった。

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『おいしいごはんが食べられますように』書評|嫉妬のスパイス

『おいしいごはんが食べられますように』書評|嫉妬のスパイス



この話に出てくる食べ物は、なんだかあまり食欲をそそらない。食べ物とともに描かれる、どこかに泥を含んだような人間関係が、本来おいしいはずのものに不調和な隠し味を加えてしまっているような気がする。

物語は、とある会社で働く二谷と、後輩女性の押尾といった人物視点から交互に綴られていく。彼らの話題の中心にいるのは、2人と同じ部署の、いつも笑顔で優しい女性の芦川。彼女は身体が弱くて、仕事ができない。

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『ハンチバック』書評――「健常者」という仮想敵に向けて

『ハンチバック』書評――「健常者」という仮想敵に向けて



<生まれ変わったら高級娼婦になりたい>

<普通の人間の女のように子どもを宿して中絶するのが私の夢です>

首をかしげたくなるようなツイートを続ける井沢釈華。10代の頃に全身の筋力が低下する難病・ミオチュブラーミオパチーを発症し、背骨は右肺を押しつぶすかたちでS字のように湾曲をしているという。両親には相当の資金があったようだ。身体の不自由さはひどいものの、死ぬまでに必要なお金なら揃っているら

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目には見えなくなった母の実家

目には見えなくなった母の実家

「〇日におばあちゃんちを壊すことにしたよ」

年が明け、実家で過ごす最終日に、母が思い出したように言った。母がおばあちゃんのおなかにいるときから、父と結婚するまでのときを過ごした家。数年前におばあちゃんが亡くなり、ぽっかり空いた家になっても、母は毎日欠かさず訪れ、ずっときれいに保っていた家。けれど、2019年の台風で床上浸水が起こってから、維持が難しくなってしまった家。

いよいよ無くなってしまう

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予実が異なる2020年と、2021年のnoteについて

予実が異なる2020年と、2021年のnoteについて

毎年恒例にしている振り返りの時間が持てずに紅白が終わってしまい、残り15分であいさつだけでも…!と思っていたところで両親からの思わぬ話が飛び込んできて、いつの間にか2020年が終わってしまった。

計画はしょせん計画で、現実は大きく逸れることだってある。まさにそんなことを痛感した2020年。紅白で、嵐の松潤が言った「嵐が去ったあとには虹がかかる」は、今年のいろいろと嵐の活動休止をかけた素敵な言葉だ

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2020年買ってよかったもの(ジャンル問わず)

2020年買ってよかったもの(ジャンル問わず)

先日、「2020年買った本」をまとめてみたら自分の振り返りにもなった。

買ったもので振り返るって、その時の関心ごとが見えて結構楽しいかもしれない。そう思って本以外でも振り返ってみることに。とはいえ一つのジャンルで大量に購入したのは本くらいだったので、生活の中で必要だったものオールジャンルで振り返ってみた。まとめられるものはカテゴリにして、他はその他へ。

キッチン、食べ物まわりが多かったのはやっ

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ストーリー以外の映画の楽しみ方

ストーリー以外の映画の楽しみ方

思いつきで映画『鬼滅の刃』を見てきた。

私の鬼滅ファン度はそこそこ。アニメはAmazon primeで2度ほど見て、続きが気になり無限列車のストーリーから最終巻まで漫画を買った。それも2回ほど見た。漫画ではホロリと涙を流す場面もあるけれど、『リアル』を読んだ時の号泣具合と比べたらあくび程度。けれど内容は面白いと思っているし、ちょっと独り言多めで、鬼との闘い中に「長男だから我慢できる」なんて思っち

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2020年に買った46冊

2020年に買った46冊

46冊。これが多いのか少ないのか。前年比がなくわからないけれど、本への投資は着実に増えている。

以前は「1冊読み終えないとほかの本を読んではいけない」という謎のマイルールに縛られていて、難しい本に1冊でもあたればすぐに読まなくなってしまっていたけれど、ここ数年はそのしがらみから解き放たれ、「とりあえず買っておいて気になったときに読むでもいいよね」と気軽に手を出している。

それでも、kindle

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どこで書くかと、誰が書くか

noteはすごく明るいところだ。蛍光灯のような白くてまぶしい光があって、ここにいるとみんなに見つけてもらえる気がする。四方を囲む壁はなくて、あるとしたら半透明な書類ケース。一つ一つの書類をカテゴライズして束ねておくものくらいだろう。

みんなに見つかりやすくて、自分でも探しやすくて。読みたいときにすぐひっぱりだしてこれる。明るいプラットフォームは便利でありがたいなと思う。

ただ、明るいところが苦

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後悔もできなくなったクリスマス

後悔もできなくなったクリスマス

思えばイベントごとに、「去年何してたっけ」が思い出せない歳になった。去年だけじゃなくて、その前も、その前もどうやって過ごしていたのかさっぱり思い出せない。だから今後、毎日noteを書かなくなったとしても、イベントのときはしっかり書いておきたいなと思った。

今年は大好きなアイスケーキを食べたくらいで、やっぱり普通の1日だった。取材を2件、うち1件は16時ごろにラーメン屋で取材だったので、自動的に今

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「人間大合格でしょ」と君が言ったから12月はユーモア記念日

「人間大合格でしょ」と君が言ったから12月はユーモア記念日

知性とセンスにあふれた返答を見ると、思わずにんまり顔がほころんでしまう。そして時には、ケラケラと声を出してしまうことも。今回取り上げた2つの返答は、まさに知性あるユーモアを感じたもの。私の中でおさめておくにはもったいない気がしたので、noteでひっそり公開してみることにした。

1.答えはまるで連詩のようにアドベンドカレンダーを書いたときのこと。

ちょっとした遊び心が芽生えて、冒頭の文章をある小

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