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都内に住む普通の主婦。好きなもの、静かで景色の良い場所。鳥のさえずりや海の音、春の風の…

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都内に住む普通の主婦。好きなもの、静かで景色の良い場所。鳥のさえずりや海の音、春の風のにおい。朝早く起きたときのブラックコーヒー。真夏のじりじりとした砂浜。

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  • 顔を覚えている男の話

    顔を覚えている男たちの話をまとめました。

記事一覧

顔を覚えている男の話10

もし運命というものがあるとするなら、 きっと彼と私は運命の歯車が少しずれていて、 彼と私は一生交わることがなかった。 でも、逆に歯車がずれていなかったら、今、私…

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2年前
51

春の匂いが運ぶ記憶

春の夜。 昼間、太陽の光をたくさん浴びた道路の匂い。 咲いた花のかすかな匂い。 冬の名残を感じる少し冷たい風の匂い。 春の匂いが運んでくる遠い記憶。 いつかの4月…

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2年前
41

今日もなんとか生きている

ストレスが溜まり始めると、好きな音楽が聴きたくなる。 爆音で、外の音なんて何一つ聞こえないように。 後ろから車が突進してきても、気づかないくらいの爆音で。 でも、…

はる
2年前
27

折れる、堕ちる、捨てる、逃げる。

しばらく、ここから遠ざかっていた。 体調を崩し、心が折れて、しばらく何もできないでいた。 文章を作る行為は、私にとってとてもエネルギーがいる。 ただ書くだけなのに…

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2年前
23

前に進みたい

私は母親のことを今でも恨んでいる。 私のことを否定し、拒否し、自分の思い通りにしようとした彼女のことを、今でも憎んでいる。 幼い頃から母親に抱かれたこともなかっ…

はる
2年前
27

顔を覚えている男の話9

15の頃、荒れていた私は夜中に親の目を盗んで家を抜け出して遊ぶような生活を送っていた。 その頃、夜中に家を抜け出して一緒に遊んでいた彼氏の話。 当時私は15歳で、彼…

はる
2年前
53

人生は修行なのか

人間はこの世で修業をするために生まれると聞いたことがある。 宗教とかオカルトとか全然好きじゃないけど、なんとなく、耳に残る話だ。 人間に生まれてこの世で修行をす…

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2年前
32

名前を変えました。
私の投稿はすべて事実なので…名前だけでも変えようかなと。

春が大好きなので「はる」にしました。
はやくあたたかい風の吹く、春になりますように。

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2年前
22

15歳のわたし

私は15の頃、夜中に家を抜け出して遊んでいた。母親がとにかく厳しい人で、門限はもちろん、遊ぶ相手まで制限してくるような親だった。 母親は私が幼い頃から、私の存在を…

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2年前
30

顔を覚えている男の話8

彼は大学の同じサークルの先輩だった。私が入学した時点で、彼はすでに大学の院生だった。 結論から言うと、私は彼の浮気相手だった。彼には結婚を約束した彼女がいた。 …

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2年前
55

時間の感覚がない

クリスマスが過ぎて年賀状をかき、紅白を見てお正月に実家に帰る。年をまたいだのはわかっているのに、なぜか実感がない。 自分の行動は例年と同じで、きちんとそれなりに…

はる
2年前
16

顔を覚えている男の話7

20歳をすぎた頃、ホストと関係をもった時期があった。 ホストといっても地方の小さな繁華街にあるお店。 20歳そこそこの頃で大金を貢ぐこともできないのに、私は一人のホ…

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2年前
24

Somebody to love

私は今のこの時代に生まれたことをとてもよかったと思っているし、 日本に生まれたことも幸せだと心から思っている。 どの時代にもいろいろなことはあるわけで、普通に教…

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2年前
18

何もしない時間

最近どうも頭に何も思い浮かばない。 少し前までは、綺麗な空とか澄んだ空気とか、懐かしい音楽とか聴いたら文字が頭に浮かんだのに。 頭にぶわっと文字が浮かんで、それ…

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2年前
21

顔を覚えている男の話⑥

医学部にどうしても受からない彼のあとに付き合った医学部の彼氏の話。 医学部に入学したいために何浪もしてずっと合格できない彼のあとに、私は医学部の彼氏を作った。彼…

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2年前
33

居場所を探しに

久しぶりにでた外。 11月とは思えないほどの強い日差しに思わず目を細める。 久しぶりにつけたアイシャドウがスマホに反射してキラキラ光って、周りの雰囲気と不釣り合い…

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2年前
24

顔を覚えている男の話10

もし運命というものがあるとするなら、

きっと彼と私は運命の歯車が少しずれていて、
彼と私は一生交わることがなかった。

でも、逆に歯車がずれていなかったら、今、私の隣にいたのは彼だったかもしれないという人の話。

結婚前の私はとにかく誰とも寝るような女だった。

一緒にベッドに横になれば大抵の男はやることはやるのだけど、
私が一晩ベッドで過ごした男の中で、たった2人だけは私に手を出してこなかった

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春の匂いが運ぶ記憶

春の匂いが運ぶ記憶

春の夜。

昼間、太陽の光をたくさん浴びた道路の匂い。
咲いた花のかすかな匂い。
冬の名残を感じる少し冷たい風の匂い。

春の匂いが運んでくる遠い記憶。

いつかの4月、夜11時前。
私は渋谷駅の真ん中で彼を待っていた。

飲み会帰りで騒ぐ人たちを横に見ながら、山手線に乗る。
会社終わり、みんなが家路に向かうのに、
私は1番のオシャレをして、渋谷に向かっていた。

渋谷は終電近くになっても、たくさ

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今日もなんとか生きている

今日もなんとか生きている

ストレスが溜まり始めると、好きな音楽が聴きたくなる。
爆音で、外の音なんて何一つ聞こえないように。
後ろから車が突進してきても、気づかないくらいの爆音で。

でも、ストレスよりも、気分が落ち込んでいると、好きな音楽すら聴けなくなる。
何も聴きたくない。
目からも耳からも、入ってくるものがすべて私の脅威だ。

そんなときはただ、まっすぐ前をみて歩く。足が少し浮いているような感覚がする。
歩いているの

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折れる、堕ちる、捨てる、逃げる。

折れる、堕ちる、捨てる、逃げる。

しばらく、ここから遠ざかっていた。
体調を崩し、心が折れて、しばらく何もできないでいた。

文章を作る行為は、私にとってとてもエネルギーがいる。
ただ書くだけなのに、文章を作り上げる行為は、私にとってはとてもハードルが高い。

きっと今の私が書く文章は真っ黒で暗くて、救いようのない悲しい絵みたい。

心が折れると、何かを読むことや見ることもエネルギーが必要になる。
たくさんの情報や、視覚から入るチ

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前に進みたい

前に進みたい

私は母親のことを今でも恨んでいる。

私のことを否定し、拒否し、自分の思い通りにしようとした彼女のことを、今でも憎んでいる。

幼い頃から母親に抱かれたこともなかった。
抱かれた記憶もないし、私の幼い頃を知っている身内もそういうのだから、事実なのだろう。

私はよく母親に「気持ち悪い」といわれていた。
目が気持ち悪いから、こっちを見るなとよくいっていた。これは中学生の頃になってもよく言われていたの

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顔を覚えている男の話9

顔を覚えている男の話9

15の頃、荒れていた私は夜中に親の目を盗んで家を抜け出して遊ぶような生活を送っていた。

その頃、夜中に家を抜け出して一緒に遊んでいた彼氏の話。

当時私は15歳で、彼は確か23,24歳くらいだったかと思う。私は結婚式場でバイトをしていて、彼は厨房で働く料理人みたいな仕事をしていた。

当時、結婚式場は土日がとにかく大忙しで、高校生のウェイターでもなんでもいいから人が欲しいという感じだった。

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人生は修行なのか

人生は修行なのか

人間はこの世で修業をするために生まれると聞いたことがある。

宗教とかオカルトとか全然好きじゃないけど、なんとなく、耳に残る話だ。

人間に生まれてこの世で修行をする。生きていくことは辛い。だから、人は生まれるときに悲しくて泣く。

恵まれた人生を歩めれば良いけど、ひどい親から生まれるとか、体に不都合があるとか、生まれた時代が悪いとか、人生は不公平だとよく思う。

現代はとても恵まれていて、衣食住

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名前を変えました。
私の投稿はすべて事実なので…名前だけでも変えようかなと。

春が大好きなので「はる」にしました。
はやくあたたかい風の吹く、春になりますように。

15歳のわたし

15歳のわたし

私は15の頃、夜中に家を抜け出して遊んでいた。母親がとにかく厳しい人で、門限はもちろん、遊ぶ相手まで制限してくるような親だった。

母親は私が幼い頃から、私の存在を全て否定してくるような人間だった。だから、私は多分こんな人間になってしまったのだろうと思う。

15の頃、とにかく家から出たかった。家にいたくない、自分以外の誰かと一緒にいたかった。

だから、私は家が寝静まった頃、夜中に家を抜け出して

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顔を覚えている男の話8

顔を覚えている男の話8

彼は大学の同じサークルの先輩だった。私が入学した時点で、彼はすでに大学の院生だった。

結論から言うと、私は彼の浮気相手だった。彼には結婚を約束した彼女がいた。

サークルの活動や飲み会に参加する度、彼と関わる時間が多かった。グループ分けで一緒になったり、大人数で飲んでいても彼と私はいつも近くにいた。

彼は背はあまり高くなかったけれど、はっきりした目鼻立ちをしていて、鼻がとても高かった。

甘い

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時間の感覚がない

時間の感覚がない

クリスマスが過ぎて年賀状をかき、紅白を見てお正月に実家に帰る。年をまたいだのはわかっているのに、なぜか実感がない。

自分の行動は例年と同じで、きちんとそれなりに動いてるのに、気持ちだけが追いつかない。
気持ちというか頭というか、自分をどこかに置きっぱなしにしてきている気分。

この手のことを書くと、「出たよ自分探しの人」とかいわれるかもしれない。

私がいうのは本当の自分探しとかそういう話ではな

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顔を覚えている男の話7

顔を覚えている男の話7

20歳をすぎた頃、ホストと関係をもった時期があった。

ホストといっても地方の小さな繁華街にあるお店。
20歳そこそこの頃で大金を貢ぐこともできないのに、私は一人のホストを好きになった。

友達に誘われて初めてホストに行った日。
新規の客なので、次から次へとホストが指名欲しさにテーブルに座る。

「可愛い」「まじでタイプ」「ずっとここにいたいんだけど」。
自信がないような女の子なら、全員に騙される

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Somebody to love

私は今のこの時代に生まれたことをとてもよかったと思っているし、
日本に生まれたことも幸せだと心から思っている。

どの時代にもいろいろなことはあるわけで、普通に教育をうけ、自由に思いが表現でき、安心して外を歩ける日本に生まれて本当に良かったと思っている。

ただ、もし私が欲を言うならば、あと20年早く生まれたかった。その理由はただ1人、どうしても生きている姿を見たかった人がいるからだ。

彼は19

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何もしない時間

何もしない時間

最近どうも頭に何も思い浮かばない。

少し前までは、綺麗な空とか澄んだ空気とか、懐かしい音楽とか聴いたら文字が頭に浮かんだのに。

頭にぶわっと文字が浮かんで、それを書き起こすのが私のストレス発散できる唯一の時間だったのに。

かつての思い出もたまに浮かんでいたのに、最近は思い出すら頭に出て来ない。

最近は妙に眠くて、一度起きて子供たちを見送ったら布団で猫とダラダラ過ごすのが日課になってきてしま

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顔を覚えている男の話⑥

顔を覚えている男の話⑥

医学部にどうしても受からない彼のあとに付き合った医学部の彼氏の話。

医学部に入学したいために何浪もしてずっと合格できない彼のあとに、私は医学部の彼氏を作った。彼は両親も医者でお兄さんも医学部で、医者家系の息子だった。

細く切れ長の目で、笑うとしわができるタイプ。背がとにかく高くて、少し筋肉質なところもあった。黒縁の眼鏡をかけて、育ちの良さが全身から見て取れるような人。

大学のころ、みんなバイ

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居場所を探しに

居場所を探しに

久しぶりにでた外。
11月とは思えないほどの強い日差しに思わず目を細める。

久しぶりにつけたアイシャドウがスマホに反射してキラキラ光って、周りの雰囲気と不釣り合いだなと気づく。

みんなブラウンとかオレンジ系の秋の装いをしているけど、私は気にせずお気に入りのスカートをひらひらさせて歩く。

日差しはあるけど、風はやっぱり冬の匂いがする。外の木々が赤い色をしている。もうすぐ冬がくるのだと実感する。

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