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ワインジャーナル

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ワイン科学を軸に、マーケティング、ブランディング、テイスティングなど幅広くワインについて語るジャーナル。書き手は国内外の大学、大学院でワインを研究してきた3人。
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#ブドウ

KDP第2弾『ワインと微生物学』

KDP第2弾『ワインと微生物学』

お久しぶりです。

最近更新できていなかった理由です。

本を書いていました。

なるべく仕事がはじまる前に終わらそうと思っていたので、なんとか2月中にリリースできてよかったです。

今回は前回のワインリテラシーとは全く別の系統の話。

醸造における微生物の話です。
アマゾンの方にもるのですが、目次はこんな感じです。

内容はこのnoteに書いてある酵母やブレタノマイセス、酢酸菌の話を中心に、乳酸

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「ワイン おすすめ 本」の決定版15選

「ワイン おすすめ 本」の決定版15選

最近Twitterやらnoteやらぽつぽつとフォロワーは増えているにも関わらずなんの発信もできておらず。

以前少し話題になっていたオススメの本というものを私なりに紹介できたらなと思ったので久々に筆をとっています。

色んな人向けに紹介していきます。ここには私自身が読んだことはないけど、いろんな人が話題にしてる本とかも含みます。

①ワインを楽しく飲みたい人向け。Twitterを見ていても、話を聞

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ワイン濾過のフィルターサイズの種類(粗濾過、仕上げ濾過、無菌濾過)

ワイン濾過のフィルターサイズの種類(粗濾過、仕上げ濾過、無菌濾過)

今回は濾過の2回目です。
トップ画は上手く合う画像を持ち合わせていなかったので、ビール製造のタンクです。
あと前回の記事が思いのほかTwitterで反響があり、やはり濾過についてまとめている記事というのはなかなかなかったのかなぁと思っているところです。

前回はデプスフィルターについて。

であるならば今回はそれと対をなすSurfaceフィルターについて、といきたいところなのですが、Surface

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ワインにおける濾過の種類(デプスフィルター)

ワインにおける濾過の種類(デプスフィルター)

今回から数回に分けて濾過についてのレポートを記事にしていこうと思います。

濾過って実務を経てないとほんとに理解しにくいトピックなんです。

そのため私も理解する、情報を取ってくる、まとめるのにかなり時間がかかりました。

そのため今回は科学の話というよりは実務的にややこしい話という形になるかと思います。

また引用で動画や画像も多々お借りして、なるべくわかりやすいようにという最善は尽くしたのです

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ポーター5つの力を使って日本のワインマーケットを振り返る。

ポーター5つの力を使って日本のワインマーケットを振り返る。

これは以前ドイツマーケットでやったものの日本版です。

ちなみに私は別に経済学や経営学を専攻したことはありませんし、未だピュアな学生ですので、それなりに詰めが甘いかもしれませんがご了承ください。

またドイツのレポート程突っ込んでファクトを探すことはしませんが、今回は自分の肌感覚とフレームワークで日本のワイン業界を見ていきたいと思います。

このフレームを当てはめるにはそもそものプレーヤーを決めな

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英語講座での質問一覧7月3~4週

英語講座での質問一覧7月3~4週

ここ2週間の参加者が少なく思いのほかうまく進まなかったので2週分にまとめてあります。

雹害って実際どんな感じ?
ワインの産地に起こる天候による被害で最も有名なのは霜害かと思いますが、雹も実はブドウに大きなダメージを与えると言われています。
実際に3週間ほど前私の滞在している南仏でも雹は降りましたし、その一週間後にはドイツで醸造をしている方も雹が降ったという報告をしていました。
その方も最近not

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ブドウの養分動態分析法~葉柄分析~

ブドウの養分動態分析法~葉柄分析~

今回は葉柄分析という手法に関してです。
分析結果を眺めて土壌や樹勢との相関や因果関係を仮説から導き出すのはなかなか面白いです。

葉柄(ようへい、英語:Petiole)は、植物において葉と茎を接続している小さな柄である。 通常は茎と同じ内部構造を持つ。 葉柄の両側に伸長した部分は托葉といい鞘状に巻いているものは托葉鞘という。

今回はこの葉柄部分を使った分析を紹介する。

これは一度調べたのだが、

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朝ワイン英語講座でのQ&A(7/1~7/5)

朝ワイン英語講座でのQ&A(7/1~7/5)

WSET Advancedの教本の4章から進めています。

4章はブドウの生理学的な部分、栽培をする上でベースになってくるコンセプト、接ぎ木や台木、品種といったものについて書かれている章です。

そのためテイスティングや産地といったことに関する質問はあまり出てこないかと思います。

アメリカ系等のブドウはなぜ香りが好まれないの?
アメリカ系のブドウにはヨーロッパブドウにはないフォキシーフレーバーと

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オンライン英語ワイン講座はじめました。

オンライン英語ワイン講座はじめました。

題名の通り英語のワイン講座を始めました。

自分自身元々英語は得意なほうでもなく、ワインをする上で学ばざるを得なかったという側面から、ワインという業界であれば一か国語は外国語が必須だという感覚を持っています。

フランス語でもイタリア語でもドイツ語でも構いません。
スペイン語でもポルトガル語でもいいと思います。

教科書的な本はそれらの言語でも手に入ると思います。
ただ現状日本語で拠り所となるよう

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ワインにおける亜硫酸の代替法-抗酸化剤編

ワインにおける亜硫酸の代替法-抗酸化剤編

亜硫酸が抗酸化作用と抗菌作用の両方を持つ唯一無二の添加物であるということを以前の稿で述べました。

一方でトレンドとしてナチュラルワインといったものや、減亜硫酸ワインといったものがあるのもまた事実です。

ではどのようにして減亜硫酸ワインというのを作るのでしょうか。

亜硫酸を減らすだけでも減亜硫酸ワインはできますが、減亜硫酸という環境下でいかにしてワイン造りをコントロールしていくかということが重

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ワインにおける亜硫酸の効用と添加法

ワインにおける亜硫酸の効用と添加法

やっと来ましたみんな大好き亜硫酸です。
今日から3日間にわたって亜硫酸の効果や添加、亜硫酸の代わりになるものといったテーマで扱っていきます。
明日以降の代替品のパートに関しては、少し詰めが甘い部分もありますが、それでもいいボリュームになっていると思います。

亜硫酸の形態
亜硫酸はワインの生産においてかなり重要な役割を果たす。
その役割は抗酸化作用と抗菌作用の2つに大別される。
そしてこの2つの作

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ブドウ栽培での灌漑のタイミングと影響

ブドウ栽培での灌漑のタイミングと影響

今回が灌漑の準最終回です。

最終回は実験結果が出て、友人の論文を主にしたものになると思います。

灌漑のタイミング
灌漑のタイミングによって色々な効用がある。

タイミングは大きく分けて3パターン。

もちろんその3パターンのうちどのタイミングで水分ストレスがかかっているかといったことはその年の気候によっても違うので、タイミングに関しては前述の記事を参照にしていただけたらと思う。

まずその3パ

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ブドウ栽培での灌漑方法と特色

ブドウ栽培での灌漑方法と特色

前回は灌漑のおおまかな背景と灌漑をする際の水分ストレスの指標についてみてきた。

今回はそのストレスを軽減するための灌漑の方法について見ていく。

灌漑の方法(冠水とスプリンクラー)灌漑の方法は多岐にわたる。
原始的なのは「Border(区画)方式」、「Furrow(畝)方式」、「Flood方式」の3つだ。

前者の2つは畝やプロットの周りの溝を冠水し、それによってブドウに水分を与える方法になる。

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世界の酒窓から~コニャック in プラハ~

世界の酒窓から~コニャック in プラハ~

前回はドイツ、チェコそしてポーランドで出会ったビールの話をしました。
サワービールとピルスナーのセミダークとダーク、そして無濾過のビールの個性と面白さ、味わいなどについてでした。

そして今回は旅で出会ったお酒たちについての続きです。
ブランデーについて取り上げていきます。

ブランデー。
ブランデーはブドウからできる蒸留酒であることもあり、今まで比較的飲む機会が多かった蒸留酒でもあります。

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