つじー

書評家|書評やサッカーの話などを毎週投稿|ウェブメディアで書評連載|ポッドキャスト『本…

つじー

書評家|書評やサッカーの話などを毎週投稿|ウェブメディアで書評連載|ポッドキャスト『本棚とピッチのあいだ』『アラサー男女のいったんそんな感じで』配信中|北海道コンサドーレ札幌とアダナ・デミルスポルを応援|目的と歴史から物事を考えるひと

マガジン

  • つじーの書評集|頭の中をさらけだす読書室

    noteでの書評をまとめています。2024年は週一更新予定。 書評を通して本のおもしろさと僕の脳内を紹介します。

  • 何にもくくれない雑文集

    「読書」、「サッカー」、「映像や舞台の感想」にくくれない記事を集めました。 不定期更新です。 ※つじーが作った他のマガジンに入らない記事たちです。

  • コンサドーレを考える部屋

    北海道コンサドーレ札幌について考えた話をまとめています。不定期更新です。 コンサドーレを考えることは、僕にとって様々なジャンルや切り口に関心を持つことです。

  • ぼくのコンサ史

    北海道コンサドーレ札幌の歴史を自分史観で書きまとめたマガジン。不定期連載。 本編は1シーズンごと章立てで、補章として人物伝やトピックごとのコラムを連載予定。

  • 【お知らせ】

    お知らせ(告知など)をまとめています。

記事一覧

固定された記事

【プロフィール】つじーのnoteの歩き方

 はじめまして、つじーといいます。自己紹介、主なnote記事やその他活動の紹介、問い合わせ先をまとめています。よろしくお願いいたします。 (※2024/05/06更新) 1.…

つじー
4か月前
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史実だからこそ描ける悪魔の伏線―こざき亜衣『セシルの女王 6』

1.綺麗な和解のオモテとウラ 明るさの底に重低音が暗く、暗く鳴り響くような一冊だ。  昨年も今年も『セシルの女王』は僕が一番おすすめしたいマンガだ。誰にでもす…

つじー
14時間前
6

朝布団から出られなかった日の午後、フレッシュネスのポテトがしみた

1.自分の状態、名前はまだない。 休日の朝、起きれなかった。  「起きれなかった」にも色々ある。単純に寝坊して起きたい時間に起きれなかった。これも「起きれなか…

つじー
2日前
9

「チーム北海道」は本当にコンサドーレのらしさと未来なのか?【ぼくのコンサ史・序章】

 シリーズ『ぼくのコンサ史』とは、北海道コンサドーレ札幌の歴史を自分なりの史観で書いてまとめる試みだ。序章ではコンサの歴史をたどることで僕がシリーズを通して考え…

つじー
3日前
22

誰もが心にムルソーを飼っている―カミュ『異邦人』

 我々が「異端」だと思っているものは、自分も持っているに見ないことにしてるだけなのかもしれない。  アルジェリアに住むムルソーは、ひょんなことから友人の女性トラ…

つじー
5日前
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【連載第5回】『宇都宮徹壱WM』に書評を寄稿しました【お知らせ】

 2024年1月から毎月一回、『宇都宮徹壱ウェブマガジン(WM)』で書評の連載を行っています。  『宇都宮徹壱WM』は、写真家・ノンフィクションライターである宇都宮徹壱…

つじー
6日前
5

ボールを保持してない時間でもサッカーは「攻撃的」かつ「魅力的」になるのか?―河岸貴『サッカー「BoS理論」』

1.この戦術本に「くらった」 サッカーの戦術に関する本(戦術本)で久しぶりに「くらって」しまった一冊だ。  著者の河岸さんが紹介する「BoS理論」とはドイツで用い…

つじー
7日前
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異なるクラブのサポーターと交流することに「向いてない」人にわたす処方箋

1.可視化される「交流に向いてない」サポたち SNS、特にX(Twitter)の利用が広まったおかげで、人の交流における地理的制約が薄まった。Jリーグでも異なるクラブのサ…

つじー
2週間前
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【お知らせ】ポッドキャストをはじめました

 どうも、お知らせをするときだけ敬体で書く者です。  以前からやっていたポッドキャストに加えて、新たにもう一つポッドキャストを始めました。今回せっかくなので「お…

つじー
2週間前
9

シン・フリューゲルス史の誕生―田崎健太『横浜フリューゲルスはなぜ消滅しなければならなかったのか』

1.クラブ消滅の遠因は「生まれ」にあり? 「日本サッカーに秘められた歴史あり」を体現する一冊である。1998年に横浜マリノスと合併する形で消滅した横浜フリューゲル…

つじー
3週間前
19

自分の取扱説明書を作ったら自分がカッコつけてないか不安になってきた

1.トリセツ作りました あることで後日使うことになったので「自分の取扱説明書」を作ってみる。説明書のフォーマットは、みずのけいすけさんのnote記事を参照した。フ…

つじー
3週間前
14

なにが正解かまだ分からない―2024年4月の北海道コンサドーレ札幌

 2024年4月のコンサドーレを振り返ってみる。僕が試合についてXでつぶやいた内容を小見出しごとに再編集してまとめたものだ。できれば今後毎月やりたいが、予定は未定であ…

つじー
3週間前
17

カッコイイ大人は理想も現実も見捨てない―黒岩比佐子『パンとペン』

1.「売文ビジネス」はじめました カッコイイ。読み終えたとき、まず頭に浮かんだ言葉だ。カリスマ性があるわけでもない。強い言葉で誰かを扇動するわけでもない。スマ…

つじー
4週間前
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自分史観で北海道コンサドーレ札幌の歴史を書いてみることにした【ぼくのコンサ史】

1.『ぼくのコンサ史』はじめます 自分が応援するコンサドーレの歴史を書いてみようと思う。仮題は『ぼくのコンサ史』だ。仮といいつつ、そのままかもしれない。「ぼく…

つじー
1か月前
22

宝石のような友情が二人の国民的探偵を生んだ―中川右介『江戸川乱歩と横溝正史』

1.その関係、まるで「宝石」のごとく 「ライバルが親友、親友がライバル」 そんな設定がさしこまれる創作物は少なくない。目新しい手法ではないからこそ、もうひとひね…

つじー
1か月前
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31回目の誕生日がすぎ、「庭作り」をはじめた。

 2024年4月9日、31歳の誕生日をむかえた。「誕生日」と「31歳の自分」について思うところを書いていこうと思う。 1.誕生日にまつわるぐだぐだ 誕生日当日にSNSなどで…

つじー
1か月前
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【プロフィール】つじーのnoteの歩き方

【プロフィール】つじーのnoteの歩き方

 はじめまして、つじーといいます。自己紹介、主なnote記事やその他活動の紹介、問い合わせ先をまとめています。よろしくお願いいたします。
(※2024/05/06更新)

1.プロフィール(1)自己紹介
・書評家やってます。
・北海道コンサドーレ札幌サポーター
・アダナ・デミルスポル「日本最初の」サポーター(トルコ)
・ポッドキャスト『本棚とピッチのあいだ』『アラサー男女のいったんそんな感じで』パ

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史実だからこそ描ける悪魔の伏線―こざき亜衣『セシルの女王 6』

史実だからこそ描ける悪魔の伏線―こざき亜衣『セシルの女王 6』


1.綺麗な和解のオモテとウラ 明るさの底に重低音が暗く、暗く鳴り響くような一冊だ。

 昨年も今年も『セシルの女王』は僕が一番おすすめしたいマンガだ。誰にでもすすめたい。買わせたい。

 ヘンリー8世の5番目の妻、キャサリン・ハワードの処刑からはじまる6巻は「家族」が大きなテーマである。

 ウィリアム・セシル(以下セシル)は身分を理由に反対する父・リチャードを押しのけてメアリ・チークと結婚した

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朝布団から出られなかった日の午後、フレッシュネスのポテトがしみた

朝布団から出られなかった日の午後、フレッシュネスのポテトがしみた


1.自分の状態、名前はまだない。 休日の朝、起きれなかった。

 「起きれなかった」にも色々ある。単純に寝坊して起きたい時間に起きれなかった。これも「起きれなかった」だ。うつの症状を説明するときに使われる「身体がなまりのように重くて布団から動けない」。これも「起きれなかった」だ。

 僕の「起きれなかった」は、どうにか言葉にすると「意志に実態がともなわない」といえばいいだろうか。「起きるぞ!」と

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「チーム北海道」は本当にコンサドーレのらしさと未来なのか?【ぼくのコンサ史・序章】

「チーム北海道」は本当にコンサドーレのらしさと未来なのか?【ぼくのコンサ史・序章】

 シリーズ『ぼくのコンサ史』とは、北海道コンサドーレ札幌の歴史を自分なりの史観で書いてまとめる試みだ。序章ではコンサの歴史をたどることで僕がシリーズを通して考えたい「問い」について書いていく。

1.「日本のビルバオ」の夢 かつて、あるサポーターがコンサドーレを「日本のビルバオ」と称したことがあった。宇都宮徹壱さんが2013年に札幌を取材したときの話だ。

 「ビルバオ」とはスペインのアスレティッ

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誰もが心にムルソーを飼っている―カミュ『異邦人』

誰もが心にムルソーを飼っている―カミュ『異邦人』

 我々が「異端」だと思っているものは、自分も持っているに見ないことにしてるだけなのかもしれない。

 アルジェリアに住むムルソーは、ひょんなことから友人の女性トラブルに関わる。そしてトラブルの関係者を突如ピストルで殺してしまう。一発の銃弾で倒した後、倒れた身体にもう四発撃ち込んで。

 ムルソーが殺人を犯すまでの前半はのっぺりと進んでいく。彼の母が養老院で亡くなったことも、かつての同僚マリイとデー

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【連載第5回】『宇都宮徹壱WM』に書評を寄稿しました【お知らせ】

【連載第5回】『宇都宮徹壱WM』に書評を寄稿しました【お知らせ】

 2024年1月から毎月一回、『宇都宮徹壱ウェブマガジン(WM)』で書評の連載を行っています。

 『宇都宮徹壱WM』は、写真家・ノンフィクションライターである宇都宮徹壱さんが編集長兼主筆のウェブマガジンです。

 今月配信の第5回では、「通訳」をテーマにして鳥飼玖美子『通訳者と戦後日米外交』を紹介しました。書評は無料で読むことができます。改めて「通訳の役割」を考えるヒントになればうれしいです。

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ボールを保持してない時間でもサッカーは「攻撃的」かつ「魅力的」になるのか?―河岸貴『サッカー「BoS理論」』

ボールを保持してない時間でもサッカーは「攻撃的」かつ「魅力的」になるのか?―河岸貴『サッカー「BoS理論」』


1.この戦術本に「くらった」 サッカーの戦術に関する本(戦術本)で久しぶりに「くらって」しまった一冊だ。

 著者の河岸さんが紹介する「BoS理論」とはドイツで用いられているプレーコンセプトだ。BoSとはDas Ballorientierte Spiel(ダス・バルオリエンティールテ・シュピール)といい、本書では「ボールにオリエンテーションするプレー」と訳されている。オリエンテーションは「方向づ

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異なるクラブのサポーターと交流することに「向いてない」人にわたす処方箋

異なるクラブのサポーターと交流することに「向いてない」人にわたす処方箋


1.可視化される「交流に向いてない」サポたち SNS、特にX(Twitter)の利用が広まったおかげで、人の交流における地理的制約が薄まった。Jリーグでも異なるクラブのサポーター(他サポ)同士がXを起点に交流しやすくなり、実際に顔を合わせた交流にまで発展することもある。

 僕も2010年よりXを始め、大学時代はサッカー観戦サークルに所属しオンラインとオフラインの両方で他サポとの交流を経験してき

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【お知らせ】ポッドキャストをはじめました

【お知らせ】ポッドキャストをはじめました

 どうも、お知らせをするときだけ敬体で書く者です。

 以前からやっていたポッドキャストに加えて、新たにもう一つポッドキャストを始めました。今回せっかくなので「お知らせ」として両方のポッドキャストをご紹介します。

1.アラサー男女のいったんそんな感じで(たんそな) 先日から『アラサー男女のいったんそんな感じで』を始めました。略して「たんそな」と是非覚えてください。ハッシュタグも「#たんそな」です

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シン・フリューゲルス史の誕生―田崎健太『横浜フリューゲルスはなぜ消滅しなければならなかったのか』

シン・フリューゲルス史の誕生―田崎健太『横浜フリューゲルスはなぜ消滅しなければならなかったのか』


1.クラブ消滅の遠因は「生まれ」にあり? 「日本サッカーに秘められた歴史あり」を体現する一冊である。1998年に横浜マリノスと合併する形で消滅した横浜フリューゲルスの歴史を追った本だ。フリューゲルスの前身である全日空SC、そのまた前身であるヨコハマサッカークラブにまでさかのぼって書いているのが特徴である。

 フリューゲルス史の結末は「マリノスとの合併による消滅」である。その原因をクラブの財政問

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自分の取扱説明書を作ったら自分がカッコつけてないか不安になってきた

自分の取扱説明書を作ったら自分がカッコつけてないか不安になってきた


1.トリセツ作りました あることで後日使うことになったので「自分の取扱説明書」を作ってみる。説明書のフォーマットは、みずのけいすけさんのnote記事を参照した。フォーマットそのものは爲末大さんが作ったそうだ。

 作る分にはいい。でも他人に見えるよう公開するのは恥ずかしい。自分から見た自分と、他人から見た自分が悪い意味で不一致してるのがこわいからだ。だってそれ、カッコつけてるけどバレてるってこと

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なにが正解かまだ分からない―2024年4月の北海道コンサドーレ札幌

なにが正解かまだ分からない―2024年4月の北海道コンサドーレ札幌

 2024年4月のコンサドーレを振り返ってみる。僕が試合についてXでつぶやいた内容を小見出しごとに再編集してまとめたものだ。できれば今後毎月やりたいが、予定は未定である。

1.今月の結果【J1リーグ】
4/3 vs名古屋グランパス(H)●1-2
4/6 vsガンバ大阪(H)○1-0
4/13 vsアルビレックス新潟(A)△1-1
4/20 vsサンフレッチェ広島(H)△1-1
4/27 vs湘南

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カッコイイ大人は理想も現実も見捨てない―黒岩比佐子『パンとペン』

カッコイイ大人は理想も現実も見捨てない―黒岩比佐子『パンとペン』


1.「売文ビジネス」はじめました カッコイイ。読み終えたとき、まず頭に浮かんだ言葉だ。カリスマ性があるわけでもない。強い言葉で誰かを扇動するわけでもない。スマートな生き方をしたわけでもない。表紙の写真にうつるのはメガネをかけた子持ちのおじさんだ。それでも本書の主役である堺利彦は間違いなくカッコイイ。

 彼は明治から昭和初期を生きた社会主義者だ。政府から社会主義が警戒のまなざしで見られ、取り締ま

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自分史観で北海道コンサドーレ札幌の歴史を書いてみることにした【ぼくのコンサ史】

自分史観で北海道コンサドーレ札幌の歴史を書いてみることにした【ぼくのコンサ史】


1.『ぼくのコンサ史』はじめます 自分が応援するコンサドーレの歴史を書いてみようと思う。仮題は『ぼくのコンサ史』だ。仮といいつつ、そのままかもしれない。「ぼくのなつやすみ」のようなネーミングである。

 クラブ設立前夜から現在まで順を追って書いてはnoteに載せていくシリーズものだ。締切はない。準備できるたびにコツコツ書いていく。

 僕はクラブの人間でもメディアの人間ではない。市井のサポーター

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宝石のような友情が二人の国民的探偵を生んだ―中川右介『江戸川乱歩と横溝正史』

宝石のような友情が二人の国民的探偵を生んだ―中川右介『江戸川乱歩と横溝正史』


1.その関係、まるで「宝石」のごとく 「ライバルが親友、親友がライバル」
そんな設定がさしこまれる創作物は少なくない。目新しい手法ではないからこそ、もうひとひねりできるかが問われる。

 そんな関係性がもし実際にあったとしたら。しかも両者が同じフィールドで多大な知名度を持つ人物だとすれば。そんな夢のような熱い話がかつて存在した。

 江戸川乱歩と横溝正史、日本のミステリー史に燦然と輝く一番星、そ

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31回目の誕生日がすぎ、「庭作り」をはじめた。

31回目の誕生日がすぎ、「庭作り」をはじめた。

 2024年4月9日、31歳の誕生日をむかえた。「誕生日」と「31歳の自分」について思うところを書いていこうと思う。

1.誕生日にまつわるぐだぐだ 誕生日当日にSNSなどで報告するのがすごく苦手だ。「誕生日です!」とつぶやくのも「誕生日に祝ってもらいました!」とすぐ事後報告するのも、いつからかためらうようになった。誕生日当日の報告には「うっかり見つけたらお祝い義務」みたいなのが発生してる気がして

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