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【書評】センスは知識からはじまる(水野学・著)

センスは知識からはじまる(水野学・著)
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あのくまモンの企画発案・キャラクタデザインを手がけたほか、数多の企画やデザインで知られる筆者が、センスは生まれつきのものではなく、知識の蓄積に存すると説く。

「センスの良さ」とは数値化できない事案のよし悪しを判断し、最適化する能力である

センスがいい商品をつくるには「普通」という感覚がことのほか大切です。それどころか普通こそ「センスのいい/悪い」を測ることが出来る唯一の道具なのです

過去を知って知識を蓄えることと、未来を読んで予測することは、一見すると矛盾しているように感じます。しかし、僕の中でこの二つは明確につながっています。知識にもとづいて予測することが、センスだと考えているのです

感覚とは知識の集合体です。その書体を「美しい」と感じる背景にはこれまで僕が美しいと思ってきた、ありとあらゆるものたちがあります

センスを磨く方法は、知識を集積することと客観的になること。逆に言うと不勉強と思い込みはセンスアップの敵です

僕自身の体験として、他人のやることなすことを無駄だとか意味がないなどと嘲りつつ、自分の直感が大事と言い張る、いわゆる意識高い系の人たちと出会ったことがあるのだが、彼らの実際の言動やアウトプットが時としてしょぼいのは、自分の理解の範疇でしか物事を捉えようとせず、自分に理解できないことを無駄と判断して切り捨てるから知識を蓄積できない、すなわち不勉強と思い込みによってセンスを導き出す引き出しが、いかにも狭くて浅くなっているからなのだと気づく。

自分がこれまで目にして手にしたものたちに、どれだけ注意を払い思慮を持っていられるかが、良いセンスを引き出すことなのだろうと自戒せずにいられない。

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