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うつわマガジン2019

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#家庭料理

ちょっとブレイク「うつくしく許されるいっぱいぶんの土鍋」

ちょっとブレイク「うつくしく許されるいっぱいぶんの土鍋」

4分後にはうつくしき温かいおうどん160ccのお湯をそそぐだけのインスタントうどん(お椀で食べるどん兵衛/日清食品)が「ミニミニ土鍋」(約200cc)にジャストなのだ。

とにかく時間が足りない。鉛のカラダをだまして動かしている。仕方なく窯をつけっぱなしで外出し、てっぽう玉のように帰宅した。たまらなくおなかが空いているのだ、あれを食べよう。

白い霧が晴れるころ、4分後には温かいおうどんがいただけ

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ちょっとブレイク「春の土鍋」タンポポちらしのポタージュ

ちょっとブレイク「春の土鍋」タンポポちらしのポタージュ

冬のバターナッツと春のタンポポがスープの中で出会ったら

冷暗な場所で冬のあいだ保存していた古参バターナッツかぼちゃと、庭の新人タンポポが出会う。春の新タマネギも仲介役で。出会いというものは、理想から現実の味にかわる瞬間だ。

「バターナッツのポタージュ」
Cocciorinoの土鍋(白)

かれこれ15年~16年くらい、山梨の個人農場に野菜の宅配をおねがいしている。彼らの有機農法(一部自然農法)

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ちょっとブレイク「春のうつわ」レシピをよむ

ちょっとブレイク「春のうつわ」レシピをよむ

うつわに物語があるのだから料理の物語も読みたいと思うようになったのはいつごろからだろう。

料理は好きだし、一人暮らしや海外生活の経験からか、食材や道具は代用品を考えるクセもついた。つくるのに困ることもなかったので、レシピをわざわざ見ながらつくったり、料理教室に行ったこともなかった。それが一転したのはいつごろかな。

伝えたい想いがあるのだから料理教室もレシピ本も、物語を読み解きたい。上手につくる

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ちょっとブレイク「春の土鍋」グリンピースごはんと、てやんでぇ

ちょっとブレイク「春の土鍋」グリンピースごはんと、てやんでぇ

「きらいな食べものものがない」先日、家族でこんな話をした。特別おいしい食事をつくっているわけではない。

我が家は、手がゆずれる人(決して時間があるわけではない)が、冷蔵庫にあるもの(食材を買いにいくこともある)でごはんをつくる。食べさせている、させられているという感覚はなく、むしろ、みんなの好みの味を知ることができる。

誰もつくれなかったら買う、外食に出るなど。しかし経済的に考えると、忙しくと

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ちょっとブレイク「春の土鍋」蕗のおすまし

ちょっとブレイク「春の土鍋」蕗のおすまし

「ココロニ」の下で会いましょう去年の春、蕗の葉の下に住む人に会いに旅に出た。アイヌ語で蕗は「ココロニ」、下は「ポック」、人は「ウンクル」。つまり、ちいさな神様「コロポックル」なのね。

民族博物館では「熊送り」(イオマンテ)のことを知って神の国を信じた。子熊を大切に飼育し、大きくなったらお土産を持たせて神の国へ送るというアイヌの儀式。

気づくと、蕗の群生地で真剣にコロポックルを探していた。

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ちょっとブレイク「春の土鍋」くるっと半回転でポタージュに

ちょっとブレイク「春の土鍋」くるっと半回転でポタージュに

追いこみ仕事があるため夕食がめっきり遅い。けれどしっかり夕食は、玄米と子持ちカラフトシシャモ、おからにひじき、春野菜の和風スープ。多めにつくり残ったスープは朝食で和のポタージュに、くるっと半回転。

世の中の風潮から、ちょっぴりあたらしい気持ちで工房の回転イスにすわる。狭小工房では自動車整備士が使うような丸いイスで絵付けするテーブルとロクロを移動している。いや、移動というほどの距離でない。床を一歩

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ちょっとブレイク「春の土鍋」大根と芹と菊芋の滋養スープ

ちょっとブレイク「春の土鍋」大根と芹と菊芋の滋養スープ

どうせ春がくるし、どうあがいても作品は完成するのに。春はなごりおしい冬とぶつかりあって、風をぐるぐるまわしてやってくる。制作の追い込みになんだか似ている。

繁忙というものは、繁みに追いこまれているわけで、滋みで補えという学問にはない勝手な定義。そうでないと、人も道具のように果ててしまう。(写真: 使いつぶした作陶道具)

冷蔵庫にあるものは白菜、大根、芹、そして冷凍庫に鶏むね肉。日もちして少し根

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