永遠に解けない暗号を、祈りの言葉に代えて。
詩集のような短編集のような。
書き手の意図など置き去りにして、言葉の羅列から立ち上ってくるイメージや感覚、それらが自分の内側にある世界…
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あたしの猫
あたしの猫が死んじゃった
姿も声も知らないけど
今朝、なんかそんな気がしたの
あたしの猫が死んじゃった
もしかしたらまだ
生まれてもいなかったかもしれないの
あたしの猫が死んじゃった
あたしの猫が死んじゃった
あしたもまた
死ぬかもしれないけど
私の町にだけ存在するヤドリ木について
私の家の近所にヤドリ木の並木道がある。世間一般に知られている宿り木ではない。それは私の町にだけ存在する、いっぷう変わった植物だ。
足元の道——訳あって舗装されていない——には、すでに赤い羽毛の絨毯が敷かれていた。スニーカーの底で踏みつけると、新雪のようにやわらかく沈み込む。あまりに心地よいので、つい持ち帰って布団や枕を作りたくなるが、残念ながらそれは国から禁止されている。
ヤドリ木には葉