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one scene.1
別れ話を切り出したというのに、彼女は悪戯な目でこちらを見つめてくるだけだった。
まるで最初から、こうなることを予期していたかのように、ニヤニヤしながら、「そう」と言った。
遠くから聞こえる波の音が、僕たちは海に来たのだという実感だけ残していて、僕は「残念な」別れ話なんて今ここですべきではなかったんじゃないか、というちょっとしたタイミングの悪さを感じた。
「とっても残念だわ」と彼女は言った。全然
no title.1
「自分を大切にしてね」と、
たくさん言って来たし、言われてきた。
でもそのことがずっとよく分からなかった。それは表面的にするすると流れていき、五感での手触りは掴めずにいた。
なんとなくそれは「正しい」表現だし、みんな使っているわけだから、それは「ありきたりな優しさの代用品」としてとても便利な一言だったのだ。そして同時にそんなフレーズにゆるゆると飲み込まれている自分自身に、見過ごせない違和感ばかりが
「思い込み」は重いゴミ
こんにちは、Yusonです。
先日、自分用メモとしてちょっぴり書き殴りました。
何か忘れちゃいけないこと、ずっと得たかった「答えの原案」みたいなものが確かな手ごたえを持って感じられたので、思いのままに書きました。
少し時間が経ち、頭の中で整理がついたら、もっとクリアに炙り出そう!ということで、今日は「思い込み」について考えてみようと思います。
前回のnoteでは、そもそも自分が生きている世界
嵐の夜に、独白は「毒吐く」
「いっそ死んでしまおうか」と心の中で呟いた。そのカジュアルな響きに、さほど驚きもしなかった。単調でモノクロな毎日を「穏やかな日常」と呼べるほど、私は老いぼれてなんかいなかった。
色んなことのタイミングが、本当に良くなかった。私はイライラしていたし、そのことがより一層状況を悪化させた。何をしても上手く行かず、全てが味気なく、そして私の人生だけがひどく「失敗作」のように思えた。
いわゆる「負の連鎖」
メモのような日常と最近の共通解答
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不平、不満、愚痴、エトセトラ。
負の感情にばかり囚われて、悶々たる日々を過ごす人がいる。
「純粋な私」にはその氣が無くても、彼らの感情が移ってしまう。まるでパンデミックに流行中のアレのように。
精神免疫力が弱っていたり、体調が優れないときほど、それらに「侵入」される。自他の区別が曖昧で心優しい人ほど、周囲の気分に振り回されやすい。一度沈んでしまえばどこまでも落ちていく。ネガティブは重力と相性が
past.12 アルバイト面接1時間前
「トレイン」、なるものに揺られながら、僕は朝からまとわりつく深刻な不機嫌を何とかなだめようとしていた。
例えばそれは、空気の読めない兄と起床時間が重なり、キッチンを占領され、彼がまるで「自己満足のための実験」のように朝食を作ろうとしていたことが発端だったのかもしれない。
異国の調味料を用いながら、さも得意げに彼は「試作」をこれ見よがしに味見していたが、大したことのない調理過程と、彼の態度すべてが
past.11 (Rose Garden:act.3 薔薇の予感)
自分が恵まれていることなんて、とうの昔に知っていた。
由緒正しい家柄。権力的な父。優しくて慈愛に満ちた母。安定した財力。絵にかいたような幸せに溢れた家庭。何一つ、不満なんてなかった。
「自由に生きていきたい」とこぼす友人が、滑稽にすら思えた。
若者があまりにも青い時分、うかされながらも憧れるその熱病と堕落を、彼は心の底から軽蔑していた。
彼は早熟だったし、「自由」と「無計画」を履き違えるほど、世
メモのような日常と臨時オープン
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3月は不思議な季節である。
春という季節が「新たな始まり」を予感させる一方、様々な「別れ」を迎える人も多い。卒業式、などはその典型であるし、社会人であれば年度終わりの整理や処理に追われる。
新たなスタートのために、誰もがなんらかの「卒業」を迫られる。
それがとても、矛盾として感じられる。
始まりと終わりが混在している。もはや神秘的でさえある。
3月は「過去」の季節でもある。
歴史的な事故や
「過去」は上書き保存
こんにちは、Yusonです。ちょっと、猫の日ですね。
猫ちゃん、可愛いですよね。
私、気持ちがわかると思います。実際に飼ったことはないけれど、動画とかペットショップとかで見るたびに、なんとなく「意思疎通」出来ていると思ってます。片思いなら嫌だな…(笑)
なんとも言えない魅力がいいですよね。自分が可愛いということを絶対に分かってる。(笑)
にゃあ、と鳴けば人間がデレデレ可愛がってくれることを知って
真夜中の I want you.
*土星の片隅に、大事なものを忘れてきた。
ようやく私はそのことに氣が付いて、「そ、それは大変だ!何とかして取り戻してこなきゃ!」と思った。それはもともと私の一部だったし、誰にも奪うことなんて出来なかったのに、これまでの私は、それが無くても生きこれたし、それはそんなに大事なものでもないと思っていたのだ!
でも違った。
やはりそれはとても大事なもので、今の私だから気付き、これからの私にとって、「ある