記事一覧
〈小説〉〈詩〉「泡をすくって、早々とひらり」 〜プロローグ〜
空気の抜ける音。機会をうかがってぷすっ、ぷすっ、と顔を出す。
さっきまであった空気の勢いが潮の流れに阻まれて仕方なく顔を出す。
あまりにも惨めな瞬間。
さっきまであった心地いい温もりが、思い込みの形だけを残して蒸発していく。
中身が なくなったその身体は浮かぶ力を失い、居場所を求めて沈んでいく。
あとはもう果てしなく暗い、深い底の砂場に当たった音が鈍く聞こえるだけ。
二
〈エッセイ)私たちは「歌う壁」を愛せるか。
「A先生は怒っている。黒板に拳を叩きつけ、普段の温和な様子とはまるで違っていた。顔を警報ランプのように赤く染めながら、教室の壁を抜け、廊下全体に轟かすような声で私たちを叱責している。」それまで多発していた私語は止み、グラウンドで行われている体育の授業を気にする生徒はもう誰もいない。その時、近くの空を飛んでいたヘリコプターは消えた。
最近ネットで、地域の老人が「近くの保育園の園児の声がうるさい