マガジンのカバー画像

権威

14
コンテスト受賞/公式ピックアップ/100いいね超えのどれかを達成しています (前者2つは文末に証拠のURLあります)
運営しているクリエイター

記事一覧

ラブが来る

ラブが来る

なんで人は物語をラブストーリーにしたがるのだろう。

もちろん、そもそも流行りの物語にラブストーリーが多すぎるというのもある。

例えば百人一首は短歌が100首もあるのにそのうちの43首が恋の歌らしい。
日本人は1000年以上前から恋バナで盛り上がっていたのだ。

ただ、別に恋愛モノでもない映画や漫画でも、必ずといっていいほどラブストーリーの要素が組み込まれている。

それを「オ!あいつとあい

もっとみる
終わりよければ製造機

終わりよければ製造機

卒業式、結婚式、送別会……
人は人生のあらゆる節目でスライドショーを作る。

どんなに散々な期間であっても、スライドショー風に見せられてしまうと「なんか……色々あったけど……なんだかんだ良かったなァ……」と思えてしまう。

あれは一体何なのだろう。

見たことある写真を連続で出すだけ。
それになんか音楽をつけて感動風にしただけ。
言ってしまえばただのまやかしである。編集も楽だし。

なんでそんなも

もっとみる
好物論

好物論

僕はスパゲッティーが好きだ。

もうファミマのスパゲッティーなら全種類食べたと思うし、子供の頃からサイゼに行けば必ずスパゲッティーを頼むと決めている。

しかし、そんな僕でも良さが理解できないスパゲッティーが存在する。

それは高い店のスパゲッティーだ。

高い店のスパゲッティー、少なくないか。

高い店なら高いなりの量を提供してほしいのだが、スパゲッティーに至っては値段が上がれば上がるほど麺が減

もっとみる
話術的特異点

話術的特異点

2045年、AIの知能は人間のそれを超えると予測されている。

確かに将棋などではすでに人間を凌駕するAIが誕生しており、この予測も現実味を帯びてきているのだろう。ただ僕のような引きこもりの大学生からすれば、突然あなたAIに負けますよと言われても正直ピンとこない。

自分の生活に最も近いAIといえばSiriやアレクサなど会話するタイプのAIである。でも別にコイツに超えられそうと思ったことは一度もな

もっとみる
無敵の風呂上がり

無敵の風呂上がり

何の予定もない日、夜7時くらいに入浴するとそこから無敵の時間が始まる。

1日にこなさなければいけないタスクのラスボスとして毎日君臨する「お風呂」。丸腰での水攻めを強いられるため勝利には高いコストを要するが、これさえ倒せば夜明けまでの平穏が得られる。

この時間帯では動画を見ようがチキン南蛮と白米で優勝しようが何をしてもいい。動きやすさだけで着る服を選んでもいい。邪魔なタスクは一時的に消滅し、勇者

もっとみる
プロポーズ!!!!

プロポーズ!!!!

「一生幸せにします!!結婚してください!!」

「バカか!!!!

私を幸せにするのは私だ!!!!

殺すぞ!!!!

テメーなんかいなくてもなあ!!
こっちは勝手に幸せになんだよ!!!!

そもそもテメーに人の幸せ弄ぶ力があるとでも思ってんのか!!!!

私は私で幸せになるし、
テメーはテメーで幸せになれ!!!!
テメーは私が幸せになる過程の中でたまたま近くにいただけだ!!!!

その『たまたま

もっとみる
痛い時代の奇怪な芝居

痛い時代の奇怪な芝居

俗に言う「イタい」人のことをどうしても嫌いになれない。

僕は高校時代演劇部だったのだが、部活で演劇をやるという行為はかなりリスクを伴う行為だ。

なんてったって、「学校」という社会集団で規律に沿った生活をしている学生が、舞台の上で急にデカい声でハキハキしゃべり始めるのである。

しかも、まあ、統計的に言えば、演劇部に入る人なんて大体教室ではそんなに目立たない存在だ。僕自身もガリガリのヲタクだった

もっとみる
ケーキが切れる非行少年

ケーキが切れる非行少年

「明日死ぬかもしれんのに勉強とかバカじゃね?」
と、クラスのヤンキーに言われたことがある。

これは訳もわからず周りに合わせて勉強していた中1の僕にとって衝撃的な発言だった。

ただ、別に衝撃だったからと言ってバンドとかを始めたわけではない。
衝撃を受けながらも勉強を続けて、もう大学生になってしまった。

若くして亡くなった人々には必ず「志し半ば」という言葉が送られる。

そりゃそうだ。

もし僕

もっとみる
「みんな」が作るユートピア

「みんな」が作るユートピア

みんなにはみんなの「みんな」があると思う。

誰かが「みんな」という言葉を使った時、多くの場合は本当に地球の全人類を表しているわけではない。

大学生の言う「みんなの間で流行ってるんですよ」に独居老人は含まれていないはずだ。

いじめられっ子の言う「みんなに殴られます」に隣の学校の奴は含まれていないはずだ。

IT社長の言う「みんな賢くてすごいなあ!」にビッグダディは含まれていないはずだ。

もっとみる
この世はでっかいヤリサー

この世はでっかいヤリサー

僕はヤリサーを心の底から見下している。
ただ、僕は本当に彼らを見下せるほどの人間なのだろうか?

「ヤリサー」とは性行為を目的とした学生が集まるコミュニティのことで、世間的にも下品で忌避すべき存在だとされている。

我々がヤリサーに嫌悪感を示してしまうのは、「テニスサークル」などさも清純そうな看板で内情をぼやかしているからだ。

「セックスサークル セクサス」とかの名を持つ団体がヤリサーだったら誰

もっとみる
一般的にオレンジ

一般的にオレンジ

僕は「エモい」がどういう意味か知っている。

そこらへんの大学1年生とは違う。

夕方の鉄塔でしょ?
夏の終わりの花火でしょ?
インスタントカメラで撮った灰皿でしょ?

ほら。

僕はエモを完全に理解(わか)っている。

とはいえ、実際に僕がこれらの現象を見て感情が動かされるのかと言われればまた別である。

夕方の鉄塔を見ても夕方の鉄塔ですねとしか思わない。

中学生の時、理科の先生が色覚異常だっ

もっとみる
波は凪いでない

波は凪いでない

感情の理由を聞かれるの苦手だ。

母親と二人暮らしだった子供時代、母は僕がちょっとニヤついただけで「何で笑ってるの?」とか、ちょっと仏頂面しただけで「何で機嫌悪いの?」とか聞いてきた。

ほほえましい光景だと思うかもしれないが、これが24時間続くと思うと地獄である。
ひとつ感情を変えるたびにその理由が問われる生活を想像してみてほしい。
システム的には笑うたびにケツをシバかれるのと同じじゃないか。

もっとみる
青信号無視

青信号無視

歩行者信号で、赤は「止まれ」である。

対して青は「進め」だと思われがちだが、正確には「進むことができる」だ。

青信号を止まる人などほとんど見かけない。
かく言う自分も青になれば何も考えずに進む。
しかし、別に進まなくても信号無視にはならない。

青信号においては「”何も考えずに”進む」こそが”信号無視”である。

「進むことができる」と言われただけなのだから、左右を見てプリウスが突っ込んでこな

もっとみる
3倍弱ボタン

3倍弱ボタン

押せば寿命が200歳まで伸びるボタンがあったとして、すぐ押す人はほぼいないだろう。

異常な長生きには様々なリスクが伴う。

例えば、友達に先立たれコンボを決められる。人間の寿命を80年としたら他人の3倍弱生きないといけなくなるのだから、別れの数も3倍弱になってしまう。

ならば、全人類の寿命が3倍弱まで伸びるボタンがあったらどうだろうか。

周りも長生きするのだから孤独になることはない。ただ人生

もっとみる