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糸波舎のいとなみ

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小さな本屋、糸波舎のこと。 カフェやマルシェ、音楽ライブなどに出店。 絵本のような森をつくるため、素敵な場所を探し中。
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旅を経て、巡り合う場所

旅を経て、巡り合う場所

糸波舎が始まるきっかけになった日は、2018年の初夏だった。
あれから3年が経ち、緩やかに出店活動をさせてもらう中で、そして生活様式の移り変わりに伴い、これからのことを改めて思い描いてみている。

今日はその風景を、ちょっぴりここに記しておきたい。

その前に、これまで目指してきたかたちの振り返りを少し。

長野の伊那谷と愛知の知多半島で二拠点生活をしていた時期。
それぞれの場所でこぢんまりとした

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糸波舎のつくる時間と空間

糸波舎のつくる時間と空間

初めての本屋出店から半年以上が経ち、糸波舎はおかげさまで4回の出店を経た。

実は3月に車が壊れてしまい、そこから少しの間、活動をお休みしていた。
そのお休み期間に、のんびりと、これまでとこれからのことを考えてみた。

糸波舎が世の中に与えてゆきたいもの。
それは、静かで穏やかな、時間と空間。

冬、お寺さんで行われたキャンドルナイトに呼んでいただいた。

しんとしみる空気の中、ゆらゆらと揺れ

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豊かな森を育んでゆくように

豊かな森を育んでゆくように

森が好きだった。

小さなころ、朝から晩まで、祖母の畑の傍らで息をした。
祖母は黙々を畑仕事をし、わたしはただ大地にとろけた。

花や草と会話していただろうか。
それとも、小鳥や森に棲む獣と通じ合っていただろうか。

具体的なことは忘れてしまったけれど、人間以外の生命の中で息を繋いだ感覚を覚えている。

畑に行く途中、森を通り抜ける。
その森はいつも静かで、それでいて多くの生命の気配がある。

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軽トラに乗った小屋の本屋さん

軽トラに乗った小屋の本屋さん

旅暮らしの本屋さん。

今、とんでもなく心が踊ること。
それはそう、旅暮らしの本屋さん。

かわいい軽トラックにちっちゃな小屋を乗っけて、日本中、あちらこちらで小さな本屋さんを開いてゆく、旅暮らしの本屋さん。

軽トラックも小屋も、憧れだった。

わたしが生まれ育ったのは、とっても田舎の町だったから、道路をいつも軽トラックが走っていた。
その荷台で、りんご箱のりんごがこぼれそうになっていたり、わん

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一箱古本市に出会ったきっかけ

一箱古本市に出会ったきっかけ

本屋さんをやってみることになったのは、初夏のこと。

門前町というエリアが大好きで、1166バックパッカーズさんに泊まって、亀の湯さんに浸かって、ナノグラフィカさんで朝ごはんを食べて、というスタイルの旅を、ここ数年、何度か繰り返していた。

旅する中でずっと気になっていたのが、大福屋さん。
喫茶店であり、古本屋さんであり、シェアハウスでもあるという、気になるポイント満点のお店。

そんな大福屋さ

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初めての本屋さん出店の日

初めての本屋さん出店の日

2018年10月20日。
糸波舎という、小さな小さな本屋さんが始まった。

長野県は長野市、善光寺の門前町にある大福屋さんという喫茶店。
そこで行われた秋の大福屋古本市に出店し、糸波舎はわたしのぼんやりとした空想からこの世界へ、ふわりと羽ばたいていった。

夢みたいな一日だった。

好きと心地いいが、柔らかに目の前の人を包んでゆくのを感じた。
あたたかな温度が、じんわりとのんびりと広がりゆくのを

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