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【作品】ここだけのお話(だいたい無料)

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詩作品/エッセイ/書評ほか(note限定で公開、雑誌からの転載含む)
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#詩集

終わりのない回遊魚たちへ

終わりのない回遊魚たちへ

 友人が会社を辞めてフリーランスになった。上昇志向の彼は、度々業界への不満をこぼしていたし、彼が「無能」呼ばわりする上司への愚痴を聞かなくて済むと思うと、異業種の私までホッとした。さっぱりした様子の横顔に「職場の人間関係しんどそうだったもんね」と話を振る。すると、「決定的な理由は実は違って。初めて仕事のストレスで体調を崩したから」と切り出された。退社までの数週間、胃炎で一時通院していたらしい。

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【完全版】ミスiD2014詩集

【完全版】ミスiD2014詩集

私は今まで、若さによって少なからず優遇されてきた。でも、それは絶えず「年齢」と「賞」の皮を被って歩かされるということ。詩人なのに、たくさんの言葉を持っているはずなのに…
https://cakes.mu/posts/17565

「自分の存在で救われる人がいるかもしれない」ってどうして夢見ちゃいけないんだろう? 一度くらいは夢見たことあるでしょう? 忘れたような顔しないでほしい。
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生まれ直すために――「別れ」について

生まれ直すために――「別れ」について

 桜が散ってしまう前に読んで欲しいお話です。
「詩と思想」2017年3月号に、〈別れ〉をテーマに書き下ろしたエッセイです。

 私はいつも言葉を探す。
 私に「私」という、魂の重さを与えてくれる言葉を。

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   生まれ直すために

 毎年桜の花を見るたびに、涙を思い出す。別れのときに流した涙のことだ。

 満開の桜を眺めていると、宇宙や遠い

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認めなければ、はじまらない ―2016年の終わりに

認めなければ、はじまらない ―2016年の終わりに

おかげさまで、2016年は2冊新刊を出すことができました。
初めてのエッセイ集『洗礼ダイアリー』と、3年ぶりの新詩集『わたしたちの猫』。どちらも、これまでの人生25年間に感じ取ったことを総括するような、大切な1冊となりました。
力を尽くしてくださったポプラ社、ナナロク社の編集者の方、
そして読者の皆さんの存在なしには、出来上がらなかった本です。

11月に入ったとき「やっとここまで来た…」と、布団

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