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郷酒 厨房 日記

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東京九段下/神保町にある小さな居酒屋『郷土料理と日本酒のお店 郷酒』 食べること飲むこと大好き!な料理人でもある女将が、季節の食材のストーリーと、こだわりのお酒、旬のおつまみレシ… もっと読む
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#料理

食事とは、気持ちの交歓

食事とは、気持ちの交歓

おかげさまでとても忙しく過ごしている。
諸々の制限が落ち着いて、日常が戻って来たら、あっという間に怒涛の日々となった。

少し前、お酒を飲む事が、人と交流する事が、(誤解されるかもしれないけど、)しばらく、悪いことと言われた。(制限されるってそういうことだと思っていた。)
大人には一時的な措置だとわかるし、いつかはおわる、一時的な辛抱だったと思う。しかし、思ったより長く続いた自粛生活は、私たちの日

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【365日の魚介レシピ】簡単なのに料亭みたい〜とろろ蒸し〜

【365日の魚介レシピ】簡単なのに料亭みたい〜とろろ蒸し〜

自分で作ったお題に縛られる私。
店のメニューや献立もマンネリになって、なんて面白味がないのだろうと、自分で自分を責めるという時が多々あります。

とある忙しい日、
朝その日の仕込みをして、昼目の前のオーダーをこなし、どんどん返ってくる洗い物を洗い片付け、合間の休憩に夜と明日の仕込みをして、また夜のオーダーをこなし、返ってくる食器を洗い、片付け、掃除して、気づいたら1日の営業が終わっています。

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【365日の魚介レシピ】カツオは炙りたてに限る。

【365日の魚介レシピ】カツオは炙りたてに限る。

初鰹から戻り鰹まで、一年の半分くらいずーっと楽しめるカツオ。うちの店でもファンが多いので、時期を見て、良さそうな時はいつも仕入れています。特に、夏の終わりからから秋は戻り鰹と言って、脂の乗ったカツオが出回ります!

スーパーでも、魚屋さんでも、カツオを買っておうちで食べる時は、是非、皮付きのサクで買うことをおすすめします!経験上、カツオのたたきを美味しくいただくには、

・生の新鮮なカツオを使う。

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美味しがりの魔法

美味しがりの魔法

少々オーバーに美味しがる事はきっと大事。

ほおばったら、一呼吸して、鼻から香りを楽しんでみること。

美味しかったら、美味しいの溜息をついてみること。

はぁ⤵︎

ではなく、

はぁ〜〜♨︎のほう。

もしくは、

うーん👃🌬

と、唸ってみる(おじさんぽいだろうか。)

美味しいものは素直に喜びたい。

みんなで美味しがる幸せ。

実家にたまに帰省すると、みんな美味しいものを食べたら、

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その一瞬を大切に...鮎の話

その一瞬を大切に...鮎の話

毎年、一年のうちに、何か新しいことを始めたり、成し遂げようと思っている。自分が前に進んでいるような気がするから。

料理教室やキッチンカー、レシピ開発&提供、他には踊りをやってみたり(パレードでたり)、語学や文章の勉強、一人フェス、有り難くご依頼頂くものなど、とりあえず自己満足でしかないが、毎年モチャモチャ何かしらかチャレンジしてみる。同じような一年は、飽き性の自分には退屈でつまらない。

今年も

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大地讃頌 〜酒呑みの譜〜

大地讃頌 〜酒呑みの譜〜

おらほは代々酒呑みでった。爺様もひい爺様もひいひい爺様も農家で酒呑みだ。一日汗を流して働いて、晩酌には日本酒を飲む。農作業ができない冬の間、杜氏として出稼ぎに行っていた先祖もいた。

ビールも少しは飲むけど、基本的に酒っこ呑みといったら日本酒の人達だった。米どころの爺様達はみんな日本酒を好んで飲む。

郷酒は日本酒のお店といっているように、日本酒にもこだわっている。コンセプトとしては、“日本のお酒

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結局は好きこそものの上手なれ、だ。〜美味しがりの効果〜

結局は好きこそものの上手なれ、だ。〜美味しがりの効果〜

今年も就活の時期が来た。4年生の子は早々と内定が決まり、一安心。3年生の子はインターンが始まるので、何がしたいのか、どういう働き方がしたいのかなど大いに悩んでいる。

そうだよね、迷うよね、わからないよね。

郷酒のアルバイトちゃん達は大学生が多いので、毎年、卒業と共に送り出すことになる。長く続けてくれるのはありがたいけど、毎年恒例のお別れはちょっと寂しい。そして、おかげ様で毎年初心を思い出させて

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清濁併せ呑む 魅惑的で繊細なウニ

清濁併せ呑む 魅惑的で繊細なウニ

攻撃的に見せかけて、とってもデリケート。漢字はゴツい。(海胆)

ウニほどミステリアスな食べ物はない。

昨今のウニブーム、なぜ人はこんなにウニが好きなのだろう。

東北には、アワビの殻に詰めて焼いた焼きウニ、牛乳ビンに詰めた生(塩)うにがあって。そんな高級品とも思わず、好奇心で向き合った子供の頃。当然その美味しさをわからなかった。

でも、ウニを食べて顔をほころばせる大人たちを見ると、いずれはこ

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気づけばアナタの虜♡ ホヤってば

気づけばアナタの虜♡ ホヤってば

海のパイナップル、日本酒の恋人 ホヤ

地元東北、三陸の新鮮なホヤは絶品だと思うけど、なかなか万人に受け入れられにくい珍味だ。

気づけば酢の物などに入っていて、全体がもうホヤ風味、食べた後しばらくホヤ味が口に残る、子供には随分とハードルの高い食べ物だった。

なんでこんなもの大人は好きなんだろう、と思っていたのに。

大学生の時、ちょっと日本酒とか飲めるようになって、背伸びしてホヤも食べてみた。

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出汁の香りとノスタルジー

出汁の香りとノスタルジー

美味しい出汁やスープを飲むとしあわせなため息が出る。ダイレクトに脳に響いて、心がほどける。

和食では、出汁は命だ。

和食のみならず、洋食のブイヨン、ブロード、フォン、ヒュメだって大事な出汁。

シェフが丁寧に引いたブロードを豪快にこぼした先輩は、その心の持ちようをこっぴどく叱られていたのを見た。

中華でもスープが命。

昔一緒に働いていた中国人の留学生の子は、『スープないとご飯食べられないで

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おにぎりという小宇宙

おにぎりという小宇宙

何しろ、おにぎりが大好きだ。毎朝、おにぎりを食べ、仕込みを始める。

郷酒は、普段、昼は定食屋、夜は居酒屋として営業している。

おにぎりを頬張る幸せはみんな共通でしょう?と思っていたから、おにぎり屋になりたい気持ちもちょっとあった。

夜のメニューには、数種類のおにぎりを用意していて、毎度毎度、張り切って握っている。

私は米農家育ち。だから、パンはおやつだった。しかもたま〜に。とにかく『ままけ

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郷酒 厨房日記 はじめましてのご挨拶

郷酒 厨房日記 はじめましてのご挨拶

いらっしゃいませ。よくおでったなっす。(ようこそおいでくださいました。)

ここは東京神保町と九段下の間にある小さな居酒屋「郷土料理と日本酒のお店 郷酒」

私は料理人をやっております。

岩手から上京してきて、早20年。ご縁とご縁が繋がって、夫婦でお店を出しておかげさまで今年で7周年になりました。

故郷岩手の食材を中心に、全国から取り寄せる美味しい食材で作る、旅先で出会った田舎のごちそうと、こ

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