記事一覧
広告デザインに隠されたセクシュアリティ、そして多様性について - 映画「Coded」を見た話
アカデミー賞短編ドキュメンタリー部門のショートリストより映画「Coded: The Hidden Love of J.C. Leyendecker」を見た。
J.C.ライエンデッカーは20世紀初頭に活躍したアメリカを代表するイラストレーターだった。同時代で言うとアメリカの古き良き中流階級の生活を描いたノーマン・ロックウェルの方が日本では認知度が高い気もするが、ロックウェルより先に「サタデー・イブ
多文化主義が個人を文化的にカテゴライズする矛盾 - 映画「The Long Goodbye」を見た話
ショートリストから映画「The Long Goodbye」を見た。
昨年「サウンド・オブ・メタル / Sound of Metal」で話題をさらったリズ・アーメッド(Riz Ahmed)が主演で、2020年にリリースした同名タイトルのコンセプトアルバムと対になる12分の短編(或いはミュージックビデオ)。
配給はWePresent。ここはアムステルダム発のファイル転送サービスWeTransfer
白い十字架を背負った捜索隊が見つける遺留品とシャレコウベ - 映画「Águilas」を見た話
アカデミー賞短編ドキュメンタリー部門のショートリストからThe New Yorkerの映画「Águilas」を見た。
アリゾナとカリフォルニア、そしてメキシコのソノラ州にかけて広がるソノラ砂漠(Sonoran Desert)。より良い未来、もっと言うと普通の生活を求めて中央アメリカから国境を越えた、行方不明の不法移民を探す捜索隊「Águilas del Desierto」の話である。
そもそも
NBAからドラフト指名を受けた唯一の女子バスケ選手 - 映画「The Queen of Basketball」を見た話
八村塁選手が戻ってきてくれてよかった。日本人史上初のNBAドラフト1巡目指名選手。ちなみに日本人として初めてドラフト指名を受けたのは岡山恭崇選手である。
では、女子バスケットボール選手として唯一NBAでドラフト指名を受けた選手について、果たしてどのくらいの人が知っているだろうか。少なくとも私はそんな素晴らしい実績を残したバスケットボール選手がいたことを、今まで全く知らなかった。
New Yor
記憶の中のダマスカス - 破壊された故郷を建築模型で作る男の話
アカデミー賞短編ドキュメンタリー部門のショートリストから映画「A Broken House」を見た。本作の監督のJimmy GoldblumはNetflixで配信している「Chef's Table」やAppleTV+で配信している「Home」というドキュメンタリーシリーズも監督している。
建築を学ぶためにシリアから米国に渡ったモハマド・ハーフェズ(Mohamad Hafez)は、突如シリアに戻れ
スマホとSNSの映像などで振り返る合衆国議会議事堂襲撃事件 - NYTの 「Day of Rage」を見た話
アカデミー賞短編ドキュメンタリー部門のショートリストよりNew York Timesの「Day of Rage: How Trump Supporters Took the U.S. Capitol」を見た。
タイトルにある通り、2021年のアメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件を追ったドキュメントだが、これはNew York Times内のVisual Investigationsチームによる調査報
洞窟遭難救出を通じて欠乏した自分への信頼を取り戻す - 映画「The Recue」を見た話
タイ洞窟遭難事故の舞台裏を描いたドキュメンタリー映画「The Rescue」を見た。映画「Free Solo」でアカデミー賞長編ドキュメンタリー部門を受賞したエリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィとジミー・チンによる長編。
同じサッカーチームに所属する少年12人とコーチが洞窟に閉じ込められ、その後救出された物語は誰もが知っているニュース。ただその詳細は全然知らなかった。救出作戦に投入されたのはタイ海
プエルトリコ系移民が勝ちとった"みんな"のための医療と患者の権利 - 映画「Takeover」を見た話
アカデミー賞に向けて各カテゴリーごとのショートリストが出ると、今度はいろんなメディアが受賞予想を出したりするわけなんだけれど、その中から短編ドキュメンタリー作品で日本でも見られるものを、ちょっとずつ見て備忘録までに書き留めておきたいと思う。
まずはNew York TimesのOp-Docsから「Takeover」から。
1970年のニューヨーク。これはサウスブロンクスにあったリンカーン病院を
ホームビデオの断片が紡ぐ終わらない人種差別と現代の奴隷制 - 映画「タイム / Time」を見た話
Amazonオリジナル映画「タイム / Time」を見る。困窮状態から脱却するために銀行強盗を行なった夫婦。そして一足先に刑期を終えた妻(Fox Rich)は、60年の刑期を言い渡された夫の解放を求めていく。
時に激しく憤り、虚しく過ぎ去る18年。子供達の成長の様子や自身の独白が収められたホームビデオの断片と、釈放に至るまでを追った映像を紡ぎ合わせることで、見る者は経過した時間の長さを思い知らさ
ブロックバスターは本当にNetflixに負けたのか - 世界最大のレンタルビデオチェーンの栄枯盛衰の話について
オーストラリアにあったBlockbusterが閉店した。つまり、かつて9000店くらいあった世界最大のレンタルビデオチェーンは、1店舗を残すのみとなりました。全世界に、たった1店舗。オレゴン州ベンドに。
BlockbusterはNetflixの登場でその役割を終えたと見る向きもあるだろうけれど、Netflixだってもともとは郵送型DVDレンタルサービス。Blockbusterだって、自らを変える
大理石の目玉と対峙して、裏返しになった自分の姿を見る - 舟越桂 「私の中にある泉」を見た話
好きな日本人アーティストは誰かと問われたら、まず頭に浮かぶのは棟方志功と藤田嗣治、そして船越桂か。渋谷。駅からBunkamuraの先にある松涛美術館まで歩いて、船越桂の企画展を見に行った。渋谷に行くのは、一体いつぶりだろうか。
白昼夢というのが正しいのか分からない。
いずれにしても、あれは昼間の出来事。彩色された大理石で作られた眼球と目を合わせた時、私は思わず硬直してしまい、終いにはその目玉に
失敗続きのモバイル短尺動画サービス、ハリウッド重鎮が立ち上げるQuibiは5Gの波に乗れるのか?
今年のSXSWでどうしても聞きたかったキーノートが、Jeffery KatzenbergとMeg Whitmanが登壇する「The Next Form of Storytelling」でした。あいにく年度末までに片付けなければならない仕事でSXSW自体に行くことができなかったのですが、その様子がYouTubeやSoundCloudにアップされていたので、今回はそんなJeffery Ktzenber
もっとみる韓国ペイテレビ業界でM&Aが活発化、ケーブルテレビ最大手CJ Helloが買収されるという話
ちょっと前に、韓国の主要テレビ局3社であるKBS・MBS・SBSが共同展開しているSVODサービス「Pooq」と、韓国最大の通信会社SKテレコムが展開しているSVODサービス「Oksusu」が統合されるという話がありましたけど、今度は韓国のペイテレビ業界が色々と動きそうです。今回はそんな話を。
実は下書き状態で寝かせていたのでやや古い話ではあるんですが、韓国モバイル通信の3番手であるLG Upl
AbemaTVが見ていた夢? タイで独自に進化するLINEの無料動画配信サービスLINE TVの話
LINEが展開している動画配信サービスというとライブ配信サービスのLINE LIVEがまず頭の中に出てくるかもしれないけれども、実はLINEがタイで展開している無料動画配信サービスLINE TVが非常に好調らしい。
LINE TVがタイで結構見られているという話を聞いたのは、ちょうど今から1年前。バンコクでテレビ局やスタジオ関係者と食事をしていた時だった。サービスの存在自体はもちろん前から知って