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村上隆もののけ京都/現代アートは回復するか、全滅するか、自らの間違いを認め召喚するか、正い歴史のドアを開けるか
1・空白の日本現代アートシーンに現れた〈スーパーフラット〉事件
空白の70~90年代を経て、失われた日本現代アートシーンに現れた「スーパーフラット事件」(今後、僕はそう定義する予定の)日本美術史を書き換えた事件の作者、張本人である美術家・村上隆の、京都での展覧会に行ってきた。
海外では毎年、展覧会を開いているということだが、国内では大規模な村上隆の個展は三回目となる。
◉2001年「村上隆・召
世界でアーティストとして生きるには-ベルリン〜ニューヨークへ渡った美術家・長澤伸穂の軌道-
私はある重要なアートシーンの映像を編集した。
その映像作品「野焼き」が、いよいよ公開される。
それは東京・森美術館での展示の中で、2023年10月18日から始まる
「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」。
タイトル「私たちのエコロジー」の「私たち」とは、一体誰なのか?
大地・海・草木・空気は誰のものなのか? という問いかけを含んだ展覧会。
人間中心主義の産業化が、多様な生態系や環
〈現代・前衛・陶芸〉我々は皆やがて土へと還る/「走泥社再考ー前衛陶芸が生まれた時代」宮永理吉《海》をめぐって
私は長い間アートや美術に触れているが、”陶芸”というものをほとんど知らなかった。〈走泥社(そうでいしゃ)〉という、戦後の前衛陶芸家集団の存在を意識するようになったのも、50歳を過ぎて、生まれ故郷の関西へ拠点を移してから、つまりここ数年のことである。
この夏、京都国立近代美術館で開催されていた《走泥社再考ー前衛陶芸が生まれた時代》展を、私は三度、訪れている。
陶器や花器という実用性を伴ったやきも
青い人体レリーフに何を感じているのか?/イヴ・クライン 私の見かた
イヴ・クラインといえば、
自ら開発した「インターナショナル・クライン・ブルー」と呼ばれる
青の顔料一色で作られた《人体レリーフ -PR3》(彫刻の森美術館蔵)が、
印象に残る。
あの青い人体とは、一体何なのか?
真っ青な《人体レリーフ》に私たちは何を感じているのか。
その一つは、下記のようなこともあるかも知れない。
イヴ・クラインは、フラン
いつも大事なことを教えてくれる人は、すべからく向こう側の世界から
音楽家・坂本龍一氏が全人類の集合的無意識の深い海へと帰って行ったのは、2023年3月28日だった。
訃報が全国に知らされた4月2日、その5日前のこと。
3月28日、この日私は、彫刻家・流政之氏の綿密な調査・取材のために、滋賀・大津の石山寺にある数寄屋建築家のお宅に訪れ5時間近く話を聞いていた。
もうすでにこの世にはいないある芸術家の人生のことを話している、その時、坂本龍一さんは現実世界の向こう側
美術鑑賞とは「不在の霊性」を感じ取れたかどうか、その一点に尽きる/BACK TO 1972・50年前の現代美術へ
2022年12月4日・日曜日。
ふと思い立ち、西宮市大谷記念美術館へ向かった。
イベントの仕事で神戸・六甲を訪れ、普通電車から急行に乗り換えるため、阪急「夙川」という駅に降り立ったとき、
今日行っておかなければ、と感じて、駅を出て美術館へ歩いた。
そして特別展「BACK TO 1972・50年前の現代美術へ」を見た。
この美術館が開館した1972年という年は、
その後今に至る半世紀の日本の運命と
落ち込んだ時、アートは私の心を蘇らせることが出来るのか/「みる誕生 鴻池朋子展」
関西への帰る途中、家族と離れ一人で静岡の駅に降り立った。なぜ一人かというと、静岡で美術館・企画展でいくつか寄るべき候補があったからだ。
だが実は、年末年始に仕事や人間関係の上でいろいろあり、個人的にも気持ちが塞ぎ込んでいて、一人になりたかったということもある。この時、私の気持ち、メンタリティはけっこう沈んでいた。
2023年1月4日。極めて個人的なことから書き始めるが、私の妻の実家がある神奈川県