悪魔的なものがこの世にあるとしたら それを見たことがあると 確かに言える 子供の頃家中の床が ガラスの破片だらけになり 足の指を切ったこと わたしを愛した人が いつ…
わたしの中に両方ある。 尖ったもの柔らかいもの。 尖ったものはでもたまにしか出てこない。 昔芝居をしていた頃はよく出てきていた。 でもそれは芝居をしていたからでは…
生きることは清新で 匂い立つ恋のようだ。 台詞を覚え 本番の張りつめた空気の中で 発語する。 その瞬間にも似た 痛みに近いような 極限の賭け。 それが本当は 瞬間瞬間…
ついこの間まで、芝居漬けだったのに もはや介護の仕事の問題で 頭がいっぱいである。 若い頃はやっぱり芝居が一番で 他の仕事は二の次だったのに 年を取ったということな…
どうしてなのか、わからないのだ。 演劇をやることのどこに 母の死を乗り越えられる理由があったのか。 わからないままだ。 勿論哀しくないわけではない。 思い出すことも…
久しぶりの舞台復帰を終えて 今思うこと。 こんな苦しいことを 10年もやっていたのかー!っという 他人事のような驚き。 そんなにも好きだったか…という気づき。 ここ…
演劇には遠心力があるのだ。 しみじみそう思う。 一度触れてしまえば ぐるぐる回る銀河鉄道にでも乗ったかのように 降りることが難しくなる。 大体次の停車駅がどこなのか…
誰かの幸せが幸せなのだと気づく。 そんな1日だった。 先週は自分の舞台の本番だったけれど 今日からは先輩たちの本番である。 新しい集団に出会って ほんとうにずっと…
いつも思う。これは何なのだろうと。 芝居は祭りだ。あっという間に消える。 あんなに長い準備も苦しみも 公演が終われば跡形もない。 何のために、そこまでするのだろう。…
トラウマを克服すること。 それが今回の目的だった。 完全に入っているはずの台詞が 出ないと思い込むこと。 ちゃんと出来ているシーンが 空間が歪んでいるかのように 突…
準備がすべて終わって、あとは本番を待つばかりだ。 こんなに時間をかけさせてもらえたこと、はじめてかもしれない。 心が穏やかだ。 母は、悔やんではいないかと心配だっ…
簡単だ、と思うことがあるのだ。 このまま大きく声を張り上げれば 感情に溺れて泣いてしまえば わかりやすく芝居らしくなるのだ、と。 わかっていて。 でも、それは作品の…
オッペンハイマーの映画が好評だということだ。 ずっと原爆投下を悔やまない姿勢のアメリカの 態度の軟化が見てとれる、などという記事を いくつか読んだ。 ヒロシマ・ナガ…
あなただけの、道の途上で。 あなただけに捧げる祝祭を。 わたしには呟くことしか出来ないけれど 踊ることも歌うことも かすかにしか出来ないけれど それでもあなたに向か…
演じるこころに似通った詩があったので 覚え書き。 大好きな井坂洋子さんの詩だ。 声 過度に 音楽をあびたあとは 麻痺した耳を休めたい インコの声が肩のあたりで まだい…
今回の作品で、大切にしたいことがある。 わたしが演じる役は 天皇制を現している、とも言われたり アメリカを指している、と言われたり 高度経済成長期を現している、と…
みお
2024年5月9日 07:35
悪魔的なものがこの世にあるとしたらそれを見たことがあると確かに言える子供の頃家中の床がガラスの破片だらけになり足の指を切ったことわたしを愛した人がいつかわたしを埋めてしまう為の穴を掘っていると気づいたことどの瞬間もわたしは上手く悪魔を祓うことが出来なかったのだわたしは若く未熟でまだ人生の指針が定まっていなかった「優しさ」という名前の可能性と隙をまだ残しな
2024年5月8日 07:23
わたしの中に両方ある。尖ったもの柔らかいもの。尖ったものはでもたまにしか出てこない。昔芝居をしていた頃はよく出てきていた。でもそれは芝居をしていたからではなく歪のある環境にいたからだったと今さら気づいたのだ。わたしとは尖ったものでだから人を傷つける。だからそばに寄らないほうがいい。そんな風に思っていた。あの頃。尖っていたのはわたしではなかったのかもしれなかった。わ
2024年5月5日 09:07
生きることは清新で匂い立つ恋のようだ。台詞を覚え本番の張りつめた空気の中で発語する。その瞬間にも似た痛みに近いような極限の賭け。それが本当は瞬間瞬間、生きているわたしたちの人生に起きていることなのだ。わたしはわたしを何一つ知らない。わたしは世界を何一つ知らない。わたしは恋人を、友人を、家族をまだ何一つ知らない。わたしは政治を歴史を、思想を生活をまだ何
2024年4月29日 20:25
ついこの間まで、芝居漬けだったのにもはや介護の仕事の問題で頭がいっぱいである。若い頃はやっぱり芝居が一番で他の仕事は二の次だったのに年を取ったということなのだろう。ずっと我慢してきたこと。現場で常に問題になっていて皆が頭を突き合わせても、どうにもならなくてでもどうにかしようとずっともがいてきたこと。それの所在をどうしたらいいのかわからないのだ。岐路に立っている。
2024年4月26日 09:25
どうしてなのか、わからないのだ。演劇をやることのどこに母の死を乗り越えられる理由があったのか。わからないままだ。勿論哀しくないわけではない。思い出すことも沢山ある。でも公演の前と後では全く変わってしまった。自分自身の心が。それがはっきりとわかる。何かを排出し生まれ変わる。そのような感覚が少しあったように思う。古い皮膚が剥がれ落ちて新しい桃色の薄い皮膚が張ってくるように
2024年4月24日 07:11
久しぶりの舞台復帰を終えて今思うこと。こんな苦しいことを10年もやっていたのかー!っという他人事のような驚き。そんなにも好きだったか…という気づき。ここから、また演劇を続けることは簡単ではない。わたしはかつてプロの俳優だった頃結婚しない、子供を持たない宣言をしていた。演劇というものが、他者を排除する時に傷つける構造だということを理解していたからだ。わたしなら、女優の
2024年4月22日 12:00
演劇には遠心力があるのだ。しみじみそう思う。一度触れてしまえばぐるぐる回る銀河鉄道にでも乗ったかのように降りることが難しくなる。大体次の停車駅がどこなのかさえ不明だ。でもこの鉄道の友人となり永い旅を続けていきたいと願うのならば時刻表と路線図に誰よりも精通しなくてはならない。身を捧げ、鉄道そのものとなるあるいはもはや、宇宙そのものとなるそんな生き方はわたしはもう選ばな
2024年4月20日 20:11
誰かの幸せが幸せなのだと気づく。そんな1日だった。先週は自分の舞台の本番だったけれど今日からは先輩たちの本番である。新しい集団に出会ってほんとうにずっと良くして頂いている。皆さん優しく、謙虚で、ユーモラスだ。自然と、何かお返ししたいと思う。支えて頂いた分、支えたいと思う。裏方として、お手伝いさせて頂く。出演する俳優さんの緊張や悩みをほんの少しだけ感じる。それでもカー
2024年4月16日 07:00
いつも思う。これは何なのだろうと。芝居は祭りだ。あっという間に消える。あんなに長い準備も苦しみも公演が終われば跡形もない。何のために、そこまでするのだろう。なぜ自分は俳優でありたいのだろう。わたしは母が死んでからずっと本来の自分ではなかった。それは認めなくてはならない。もう人生が半分終わったような気がしたしそれも仕方ないことだと思っていたのだ。たった一度芝居をやっただけだ
2024年4月14日 22:35
トラウマを克服すること。それが今回の目的だった。完全に入っているはずの台詞が出ないと思い込むこと。ちゃんと出来ているシーンが空間が歪んでいるかのように突然不安定なものに感じること。ただ静かに観ているだけのお客様が退屈しているように感じること。そういう「弱い気持ち」「自分を信じられない自分」を克服したかった。かつて、それに内側から押しつぶされ外側からはいじめ抜かれて
2024年4月9日 17:10
準備がすべて終わって、あとは本番を待つばかりだ。こんなに時間をかけさせてもらえたこと、はじめてかもしれない。心が穏やかだ。母は、悔やんではいないかと心配だった。道を誤ったのではないか。もっと他に、助ける方法があったのではないかと。芝居の稽古を通して、母は死んだのだとわかった。悩んでも上手くいっても、もう話すことは出来ないこと。母はもうこの世にはいないこと。母といた時間は、すで
2024年4月7日 16:16
簡単だ、と思うことがあるのだ。このまま大きく声を張り上げれば感情に溺れて泣いてしまえばわかりやすく芝居らしくなるのだ、と。わかっていて。でも、それは作品の品格を落とすからやめなさいと諭された過去を懐かしく思い出す。そこまでしなくても、お客様はわかる。役者が思うより、お客様は聡明なものだ。預ける芝居が大切だとかつて尊敬していた人に教わった。その約束を守っていると世間的
2024年4月6日 08:53
オッペンハイマーの映画が好評だということだ。ずっと原爆投下を悔やまない姿勢のアメリカの態度の軟化が見てとれる、などという記事をいくつか読んだ。ヒロシマ・ナガサキでも上映されたのだという。日本の映画監督がこの作品に対してアンサーになる映画を日本でぜひ作りたいと話していた。どれもこれも、悪いことではないのだろう。きっと…何かの前進だと好意的に受け止めるべきなのだろう。でも、わた
2024年4月4日 06:01
あなただけの、道の途上で。あなただけに捧げる祝祭を。わたしには呟くことしか出来ないけれど踊ることも歌うこともかすかにしか出来ないけれどそれでもあなたに向かって紡ぎ出した言葉の糸をいま放射する。生きていてくれて、ありがとう。それじゃあね、またね。またすぐに会えるよね。優しさを勘違いしていて、ごめんね。どんなことも一緒に、乗り越えられるよね。明かりが入り舞台に暗闇が降
2024年4月2日 19:40
演じるこころに似通った詩があったので覚え書き。大好きな井坂洋子さんの詩だ。声過度に音楽をあびたあとは麻痺した耳を休めたいインコの声が肩のあたりでまだいきているのと鳴くあなたの怒声が聞こえ深夜 だれかにささやかれる私は雨によみがえった芝の色を灰が動くようにして見ているむかし誤って殺したインコのお墓はとっくに霊がぬけ出てそれを見ることも墓を想像することもむなし
2024年4月2日 18:29
今回の作品で、大切にしたいことがある。わたしが演じる役は天皇制を現している、とも言われたりアメリカを指している、と言われたり高度経済成長期を現している、とも言われる。つまるところ、善なる側市民の側、古き良き日本の側ではないということが言える。一生懸命、加害の側なのだと意識しながら演じてきたが…今ひとつ何かが足りなかった。ふと、自分の家の本棚にある緒形正人さんの「チッ