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超利己的 映画『ドライブ・マイ・カー』感想文。
前略
私とあのラストシーンの話をするために、この映画を観てくれ。
話をするためにとは言ったものの、言語化出来るかと問われれば全くもって自信がない。物語のはじめから最後まで走りきった最後の、ゴールとしての、作中劇『ワーニャ伯父さん』のラストシーンがあまりにも良すぎる。ただしその良すぎるラストシーンは、物語の道を辿っていかないとたどり着けないものだから、とにかく最初から最後まで映画を観ていただくし
超利己的『A GHOST STORY』感想文。
地下に生きる幽霊を題材にした、
いや題材はもっと他にあったのかもしれない、
まあその演劇を伊丹の劇場で観た後で、
友人が話題に挙げてくれたのが、
A GHOST STORY という映画だった。
なんとなく面白そうだけど、
観る機会を逃している映画がそれなりにある。
思い出すまでは忘れていたりもする。
例に漏れずこの映画もその一つだった。
霊だけに…?ってやかましわい。
はじめに
ネタバレあり
ちょっとフィクション/観測者の苦悩。
何も生み出さない自分に嫌気がさして、
徒然なるままにノートパソコンに向かひて、
文字を打ち込んでみているものの、
特に何も生まれそうもない。
ただそれしか打ち込まれていないメモ帳が、
画面にはずっと表示されっぱなしになっている。
いや表示すらされていない。
スリープモードに移行して数時間が経った。
パソコンの持ち主もといメモの著者はというと、
ベッドに倒れこんでスマートフォンを見つめている。
ちょっとフィクション/スタバにて。
違うの。
さみしいのとは違ってて、
ひとりでも平気だし、
それなりに楽しくやれるんだけど、
ときどき無性にかまってほしくもなって、
だけど心配かけることを言って、
誰かの時間を私のために割いてもらうような、
そういう価値のある人間じゃないから、
だから結果的に一人でいるってだけで、
正面に座る彼女は机の角をじっと見つめたまま、
既に空になったマグカップを口に運んで、
ああそうだったとカップをゴト
ちょっとフィクション/何も変わらない朝。
歩いて間に合わないわけではないが、
なんとなく自転車で行こう。
自転車の鍵をカチャンと差した。
幸い日差しは穏やかで、
日傘なしにやわい日光を浴びた。
外気に触れて汗ばんだ首元を、
朝の涼しさをたたえた風が通り過ぎた。
自転車を止めて時間を確認すると、
電車が到着するまであと5分もあった。
歩いて改札に向かっても間に合う時間だ。
ひとと変わらない速さで階段を降りた。
電車に乗りこんでつり革に
ちょっとフィクション/眼鏡の末路。
眼鏡です。
つい先ほど持ち主の元を離れてしまい、
荒波に巻き込まれてしまった眼鏡です。
彼の鼻の上で意識が芽生えて7年、
突然別れが来てしまったようです。
何事にも動じないよう過ごしてきましたが、
驚きと不安がどっと押し寄せました。
しかし抵抗のしようもありません。
激しい波でフレームをゆがませて、
大岩にレンズを砕かれて、
海の底で錆び付いていく。
その運命を受け入れるしかない。
馬鹿正直
ちょっとフィクション/足を踏み出すだけ。
波が激しく打ち付ける、
そういう岩場の端に立った。
体を直立させたまま見下ろすと、
波は遠くで轟く雷を思わせるような
散り散りとした衝撃音を鳴らして、
白い小さな泡になって砕けた。
ここは体から力の抜けた人たちがやって来て、
そして戻ってくることのない、そういう場所だ。
嘘だ、これはなにかの漫画の受け売りであり、
ここはただ強い波が打ち付けるだけの岩場だ。
知らないが、たぶんそう。
また疲れ
ちょっとフィクション/ゴーストライター。
突然のことですみません、今これを読んでいるあなたはとても驚いていることかと思いますが、決してあなたを驚かせようとか恐怖させようとか、身に危険が迫っているとかそういうことではないことを先にお伝えしておきます。
私は先ほど死んでしまったようです。ええ、嘘ではないんです。嘘をつくならばもっとましな嘘をつきます。嘘でないからこんなにも信じがたいことなのです。
正直のところ私も全く実感が湧いていませんで
ちょっとフィクション/マッチに火を付けた日。
おねえちゃん、
ほんとうのおねえちゃんじゃなくて年上のおねえちゃんは、
ごはんを食べる前に手を合わせるみたいに、
起きたらあいさつをするみたいに、
マッチに火をつけた。
マッチの火はボッともえて、
それから静かになった。
ろうそくの先っちょにマッチの火が動いたと思ったら、
火がふたつに分かれた。
初めて見る動きをじっと見つめていたら、
手をふってマッチの火を消して、
そのマッチをどこかに消した
ちょっとフィクション/他愛もない夜のこと。
ベランダに出て、
ひとにもらったマッチで火をつけて、
口のなかに煙を吸いいれた。
さっきシャワーを浴びながら、
考えていた次の行動を実行している。
舌先がびりびりと痺れる心地がする。
この事がばれたら、
たばこ嫌いの彼女に軽蔑されるだろうか。
彼女の顔が自然とぼやりと浮かんだ。
酔った頭で想像上の彼女の目の前で、
軽蔑される救いようのない私を思い浮かべていたら、
たばこは私の手をするりと離れ
ちょっとフィクション/不要品は管轄外。
ストゼロのデカい缶を買って飲んでた
飽きた
前を歩く連れの肩を組んだ
フォーナインを奪った
一気に飲み干してやった
「はあ!?ふざけんなよまじで」
ははっ だっせえ
「お前自分の持ってただろ」
同じの飲んでたら飽きるだろ?味変味変
「それならお前の寄越せよ」
「持ってねえじゃんどこやったんだよ」
知らねーよ
しつこくかみついてくんな うっとうしい
適当に大声であしらってやったら
連れは大人し
カフェ巡りAtoZ カフェ外の場合
A. ARiSE COFFEE ALTERNATIVE (閉業)
B. Cafe Bibliotic Hello!
C. COCOCHI...CAFE
D. 出町座のソコ
E. East42st NEW YORK BROWNIE
F. FARM8
G. GOOD TIME COFFEE
H. here Kyoto
I. 茶房一倫 (閉業)
J. JEAN-PAUL HEVIN (
ちょっとフィクション/いつものことでなくなった空き缶。
ポストの上にチューハイのロング缶が立っている。
信号が青になるのを待つ間、
ずっとそれに視線を向けていた。
というのは私のことではない。
目の前にいる学生のことだ。
私よりずいぶん若い学生が、
じっとなにかを見つめているなと気づくまで、
私は空き缶の存在に気づくことはなかった。
もちろん視界には入っていたが、
いつもの通勤路の風景以外の何物でもなかった。
私は若者の違和感のある視線に気づいて