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吉祥寺に住んでみて

吉祥寺に住んでみて

吉祥寺に住み始め早3年が経過した。

これまで住んできた街と同様、引っ越してきてから次第に吉祥寺の住環境が好きになってきた。

吉祥寺の魅力については人それぞれ意見が異なると思うが、個人的には何といっても「井の頭恩賜公園」という歴史と風情を備えた公園が生活圏内にあることだと思う。

休日に池を眺めるのも良いし、子供と水生物園や三角広場で遊ぶのも良い。また、少し南に下ればジブリの森美術館にも行けるし

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二デック(旧日本電産)の永守重信会長「運をつかむ」を読んで、なぜ経営者は験担ぎをするのかを少し理解する

二デック(旧日本電産)の永守重信会長「運をつかむ」を読んで、なぜ経営者は験担ぎをするのかを少し理解する

なぜ多くの経営者は手相占い、神社の参拝等、自分を超越した存在により縋ることが多いのか。

その思考回路の一端について、二デック会長・永守会長の著書「運をつかむ」を読んで少し理解ができた気がした。

永守会長の人生観は、「運が7割、実力が3割」というものである。

ここで重要なのは、始めから運任せにして7割の成功が自然にやってくるのでではなく、自力で3割の努力を積み上げた上で、運の7割がやってくる、

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D・カーネギー「人を動かす」は対人関係をよくするための名言の宝庫だった

D・カーネギー「人を動かす」は対人関係をよくするための名言の宝庫だった

本書は1936年に初版が刊行された後、世界中で読み継がれているリーダーシップ本である。日本では主にビジネス書としての位置付けで引用されたり参照されることが多いが、英語の原題は「How to win friends and influence people」であり、ビジネスの場面以外の友人関係の場、社交の場でも十分応用が効く原則ばかりが並んでいる。

以下、本書に記載されていた記述のうち、心に残った

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証券アナリストジャーナル読後メモ:AI / IoTは経済構造をどう変えるのか 柳川範之

証券アナリストジャーナル読後メモ:AI / IoTは経済構造をどう変えるのか 柳川範之

https://www.saa.or.jp/journal/eachtitle/pdf/taikai_161201_1.pdf

証券アナリストジャーナルを2010年頃からずっと購読している。著名な学者そして経営者の貴重な講演や論文を閲覧できることができ、大変勉強になっている。年会費18,000円は維持コストとして高い、という声も周囲でよく聞くが、月にならせば月額1,500円である。月一回の外食を

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「ソニー再生」を読んで、平井一夫元CEOは「貞観政要」の君主像の生き写しだと思わされた

「ソニー再生」を読んで、平井一夫元CEOは「貞観政要」の君主像の生き写しだと思わされた

ソニーの元CEO、平井一夫氏の著作「ソニー再生」を読んだ。

平井一夫氏はソニー在籍中、ソニーグループ3社の事業再生を手がけた、事業再生請負人である。

最初はわずか35歳にしてアメリカのサンフランシスコの南にあるフォスター・シティにあるソニー・コンピュータ・エンターテインメント・アメリカの事業再生を手がけた。

その後日本に戻ってからは(正確には、生活の拠点である米国か家族を残して日本に単身赴任

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「君たちはどう生きるか」は「何者かになりたい」と考えるモブキャラこそが読むべき名著

「君たちはどう生きるか」は「何者かになりたい」と考えるモブキャラこそが読むべき名著

宮崎駿が原作・脚本・監督を行った映画「君たちはどう生きるか」と全く同じタイトル(ただし内容は全く違う)の名著、吉野源三郎著の「君たちはどう生きるか」を読んだ。

自分の子供用に買ったのだが、子供がまだ全く読む気配を見せていないので先に自分がこっそり読んでしまった。

この著作は題名の通り、どう生きるべきか(How)について書かれた本である。

一方で、何をすればいいか(What)となぜ生きるか(W

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フィンテックカンファレンス、LendIt 2019に参加した時の記録

フィンテックカンファレンス、LendIt 2019に参加した時の記録

2019年4月、米国・中国・欧州で毎年開催されていたフィンテックカンファレンス、LendItに参加した当時の記録が残っていたので以下に記載したい。当時からすでに5年近く経っているものの、結論そこまで大きくフィンテックをとりまく状況は変わっていないのではないか、と思える。

それもそのはず、当時「フィンテックが既存の金融機関を置き換え、脅かす」と言われていた脅威論は今となってはほぼ消え、「確かにフィ

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永井荷風の「吾妻橋」を読んで、いつか港区女子文学・パパ活文学が生まれることを期待する

永井荷風の「吾妻橋」を読んで、いつか港区女子文学・パパ活文学が生まれることを期待する

永井荷風といえば、「あめりか物語」や「ふらんす物語」など、高等遊民的な立場で海外での生活を記した文学作品が有名だ。そんな永井荷風が戦後に書いた短編小説集・随筆集を読んだ(上記リンクご参照)。

合計18の作品が掲載されていたのだが、中でも目を引いたのは、現代でいう「パパ活」を行なっていた女性を主人公とした作品「裸体」「吾妻橋」だ。

戦後の永井荷風はよく浅草の街を歩き、ストリップ劇場の踊り子たちと

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177人の億万長者を調査して分かった富裕層の特徴:Rich Habits, the daily success habitsof weathy individuals (2010)

177人の億万長者を調査して分かった富裕層の特徴:Rich Habits, the daily success habitsof weathy individuals (2010)

上記のYouTubeで表題の本の要約を聴いたので以下、概要をメモしておきたい。著者のThomas C. Corley氏は米国で会計士として多くの中小企業オーナーと取引をする中、億万長者(ミリオネア、ここでは総資産1億米ドルの者を言う)にはいくつかの共通点があることを発見した。この本は彼が5年かけて177名の長者と、128名の貧乏人を観察した結果に基づき、前者の共通点についてまとめた本である。

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内村鑑三著「代表的日本人」を読んで二宮金次郎のビジネスセンスとリーダーの才覚を知る

内村鑑三著「代表的日本人」を読んで二宮金次郎のビジネスセンスとリーダーの才覚を知る

キリスト教を日本に広く普及させたことで有名な思想家・内村鑑三の著作、「代表的日本人」を読んだ。

内村鑑三は本書を通じて、日本が海外いに誇る代表的・模範的な日本人として西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮の5名の生き様を詳細に記している。

5名全員、私利私欲に滅し、驕ることなくひたすら周囲の人や社会、国家のために自身を捧げた素晴らしい生涯を送った点は共通している。

が、中でも二宮尊徳(

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藤田田(でん)氏の著作、「ユダヤの商法」と「勝てば官軍」を読んだ感想

藤田田(でん)氏の著作、「ユダヤの商法」と「勝てば官軍」を読んだ感想

日本マクドナルドの創設者であり、若き日の孫正義氏に「米国ではITを学んできなさい」と助言を行った故・藤田田氏のベストセラー2冊を読んだ。

結論、あまりにも情緒的・感情的な記述が多く、また「欧米は凄いのに日本は全くダメ」といった西高東低論が次々と展開され、中には差別的発言や品のない表現が多く、後味の悪い著作であったことは否めない。

だが、この方がいなければ孫正義氏は米国でITでの起業をせず、ソフ

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証券アナリストジャーナル読後メモ:国際金融センターとしての東京に向けての課題

証券アナリストジャーナル読後メモ:国際金融センターとしての東京に向けての課題

https://www.saa.or.jp/dc/sale/apps/journal/JournalShowDetail.do?goDownload=&itmNo=38724

証券アナリストジャーナルを2010年頃からずっと購読している。著名な学者そして経営者の貴重な講演や論文を閲覧できることができ、大変勉強になっている。年会費18,000円は高いという声も周囲でよく聞くが、月にならせば月額1,

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「高い声で歌える本」の通り練習したら高い声で歌えるようになった

「高い声で歌える本」の通り練習したら高い声で歌えるようになった

大学生の頃、私はバンドサークルに入っていた。バンドのジャンルはヘヴィ・メタルだった。

ヘヴィ・メタルと言えば高いキーのボーカルと、重低音のギター・ベース・バスドラムのコントラストが特徴的なジャンルだ。

私はバンドサークル在籍時、ジューダス・プリーストのロブ・ハルフォードがPainkillerやRam It Downで歌うハイトーンボイスや、エアロスミスのスティーブン・タイラーがCrazyの終盤

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証券アナリストジャーナル読後メモ:ビッグデータと人口知能を用いたファイナンス研究の展開 by 和田潔

証券アナリストジャーナル読後メモ:ビッグデータと人口知能を用いたファイナンス研究の展開 by 和田潔

https://www.saa.or.jp/dc/sale/apps/journal/JournalShowDetail.do?goDownload=&itmNo=36585

証券アナリストジャーナルを2010年頃からずっと購読している。著名な学者そして経営者の貴重な講演や論文を閲覧できることができ、大変勉強になっている。年会費18,000円は維持コストとして高い、という声も周囲でよく聞くが、月

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