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1場面物語

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これは私が描く一場面の物語
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1場面物語 傘

1場面物語 傘

そこは、雨だった。 

僕は雨に濡れていた。
女は傘をさして立っていた。

雨が傘を伝って地面に落ちる。
女の周りで水が跳ねる。

「傘、入る?」

女は僕にそうたずねて来た。
僕はなぜあの時、断ったんだろう。

「いいえ、大丈夫です」

どうみたって、傘に入れてもらったほうが良さそうなほど濡れていた。
それでも、僕はできるだけ優しく、そう返した。
女は少しだけ目を見開いて、すぐに微笑んだ。
その

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君の重さを空の青さに覚える話。本当にその場の思いつき1場面物語

君の重さを空の青さに覚える話。本当にその場の思いつき1場面物語

「それなら、私が囮になるよ」

全員が疲れきっていた。
状況は悪くなる一方で、どうしようもなかった。
崩れかけたコンクリートブロックの壁にもたれてマナカはそう言ってきた。

「いや、それは…」
「全員で抜け出そうよ」
「そ、そうよ。そんな一人見捨てるみたいな…」

昨日までは、こんなサバイバルを体験するとは思っていなかった。
誰も、覚悟なんて出来ないし、今あることも信じたくなかったんだと思う。

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1場面物語「ろうそく婦人」

1場面物語「ろうそく婦人」

「マッチ売りの少女というお話を知っていらっしゃる?」

その日のお茶会で、ろうそく婦人は集まる私達に聞きました。私達は一斉に首を傾げて、ざわざわとしました。

「マッチ売りの少女?」
「マッチならここにいるけど」
「少女って人間のこと?」
「ねぇ、お茶が溢れちゃうじゃない」
「ちょっとそれは私のクッキーよ!」
「人間の子供のことでしょ?」
「ウリって、瓜?」

ざわざわする私達に、ろうそく婦人は優

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1場面。立体的に。

1場面。立体的に。

男が二人窓枠から外を眺めるように立つ。
一人は窓枠にもたれかかっている。
一人は窓から一歩離れている。

「で、お前はあの子に何がしてやれるの?」(呆れたような期待したような態度で)

窓枠にもたれかかった男が、もう一人にそう問いかける。

一呼吸ぶんの間

「わからない」(表情は固め。眉根を寄せている)

かぶるかかぶらないかのスピードで

「わからないって、おまえ…」(若干の苛立ち。窓枠に寄り

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思いつき1場面物語

思いつき1場面物語

Hello Hello

もしもし もしもし

これでいいのかな?

呼び出し音は数回、プツッと音がして現実になる。

「もっ、もしもしっ……!!」

「あははっ、なに?そんな緊張したの?」

「そ、そんなに笑わなくても…」

「ごめん、だってガチガチなんだもん」

あぁ、よかった。
声が聴けて。

「何かあったのかなって心配したの」

「大丈夫だよ」

「怖い夢をみたの」

「大丈夫だよ」

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メモ帳にあった1場面物語*
まるで、一切の穢れを嫌うかの様にソレは立っておりました。
「ちと、眩しすぎるの」
私がそう声をかけますと、手を口元に当てて、ホホホとソレは笑いました。
「世は暗いのですねぇ」
鈴を転がすような声が響き、それに呼応するように桜が一枝咲きました。
「…」

思いつき1場面物語。《猫とまたたび》

思いつき1場面物語。《猫とまたたび》

「猫じゃらしは好き。
だって楽しいもの。」

彼女はそう言って、尻尾をくねらせた。

私はふむふむとメモを取る。

─どんな猫じゃらしがお好きなんです?

彼女の額をワシャワシャっとしながら聞くと、彼女は気持ちよさそうにしながらこたえた。

「そうねぇ。キラキラしてたり、音がなったり、そういうのが楽しいから好き。」

私はまたふむふむとメモをとる。
彼女のガラス玉のような目が私の手をみている。

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過去に書いた1場面物語 

過去に書いた1場面物語 

フカフカとしたシート。
ゴトゴトと揺れる足元。

流れてゆく景色には誰もおらず
窓に反射した自分だけが映る。

名前も知らない花達で埋め尽くされた風景に
少しだけ、ほんの少しだけ笑みが溢れる。

昼間の太陽とは違う、凍るような満月の光が
花畑を青白く照らしている。

熱くも寒くもない車内に一人きり。
外の匂いも感じない。
外はきっと花の香りに包まれている。
そして思っているより寒いはずだ。

『こ

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1場面物語 途中の茶屋にて

1場面物語 途中の茶屋にて

「あーあー獏に会いたいなぁ」
はねた髪を指先で弄りながら、茶屋の長椅子で独りごちる。
季節は巡って、いつの間にやら紅葉も色づく秋になった。
「お前、あいつが寝てまだ一年も経たないんだ。無理だよ」
声がしたので見てみると、奴が隣でいつの間にか団子を頬張っている。
それ私の三色団子なのに…。

獏はそれは美しい女性に変化する。
真っ黒でツヤツヤの髪に、昔の中国のお姫様みたいな衣装が映える。
赤や金の似

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一場面物語 途中 

一場面物語 途中 

ここは途中も途中の駅。

私は一人線路に足を投げ出すようにして腰掛ける。

「ねぇ、一緒に行こう!世界は広いし、ここよりもっと素敵な場所が沢山あるよ!!こんなとこよりいいよ!!」

君は何にもわかってないなぁ。
私はにこやかに微笑んで立ち上がる。
列車がやって来て、扉が開いた。
タイミングを見て君を押し込んだ。

『二度と来んな』

笑顔で手を振った。

ここは途中も途中の駅。

私は一人線路に足

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ハロー・ガーデン

ハロー・ガーデン

短く刈り込まれた芝が青々としている。
そこへ可愛らしい模様のタイルが飛び石のように並べられ、中央の噴水へと訪問者を誘う。

見たこともない花々が、良い香りを漂わせ手を振ってくる。
私は足早に、そこを通り過ぎる。

空を見上げると見事な晴天である。
自分の濡れたコートが馬鹿みたいに見えるくらいの、清々しい晴天。
頭上を鳥のようなものが羽ばたいているが、小さいのでよく見えない。

蔦の絡まる白亜の屋敷

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1場面物語―波―

1場面物語―波―

「まぁた、失敗したの?」

親友は軽い口調で夕日を眺める私に話しかけた。

「まぁ、ね」

私は夕日を見つめたまま、それだけ返した。

「海のことは…すきなんだけどなぁ…」

どうして、こうも、上手く行かないのだろうか。
波に乗っている時は、まるで、私自身が海みたいで、どんな動きをすれば、どんな風に答えてくれるかわかって、ずっと、そうしてられるかもって、これ以上の好相性は無いって思えるのに。

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1場面物語 つくづく、縁がない

1場面物語 つくづく、縁がない

縁側で足をプラプラやっていると、彼はにこやかな顔で隣に座った。

「西瓜でも」

などと言って、丸々とした西瓜を出してくる。

「おう。もらおうか」

私はそう言って野菜包丁で西瓜を切る。
風鈴が機嫌良くチリチリと鳴る。夏空の青が透けて、絵柄の金魚も良く泳ぐ。

「川で泳ぎたい」

彼は金魚を目を細め見る。
私は西瓜をサクサクと切りながら

「そいつはそこに捕らえたんだから駄目だよ」

と答えた。

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一場面物語〜聖剣物語〜

一場面物語〜聖剣物語〜

朽ち果てた建物に光が差す。
その光は隙間を縫うように建物内部を照らした。
美しいなぁと私はその光に、溜息をもらす。
崩れ落ちたドームが長い戦いの記憶を呼び覚ます。
周りの苔むした感じから、この場所が長い間放置されたことを知る。

火薬と怒号と血のニオイ。
混沌に堕ちていく世界がそこにはあったのだ。
その中で彼と私は出逢った。
そして、力強く握りあった。
まるで、運命に導かれるように。

強かった。

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