oyu-zawazawa

図書館司書/美術鑑賞が趣味。美術展レビューと絵本·児童書のレビューを載せていきます。

oyu-zawazawa

図書館司書/美術鑑賞が趣味。美術展レビューと絵本·児童書のレビューを載せていきます。

記事一覧

固定された記事

my回顧展2022

観に行った展覧会一覧 1月 フィンランドデザイン フランソワ・ポンポン 松江泰治 マキエタCC 植田正治を変奏する 2月 民藝の100年 3月 ミロ展 4月 奇想のモ…

oyu-zawazawa
1年前
5

デ·キリコ展

10年ぶりの大回顧展とのこと。 10年前も行ったけど、その時には気づけなかったことがあった。 それは 形而上絵画を確立させた頃の空は、緑〜黄色のグラデーションだ という…

oyu-zawazawa
7日前
3

ティファニー ワンダー

行きたくて、楽しみで、たまらなかった。 眼福の嵐。 滞在時間3時間半!それでも足りなかった。足の捻挫が治りきっていればもう少し粘れたけど… 以下、展覧会の構成に沿…

oyu-zawazawa
12日前
3

司書がおすすめの絵本·児童書をただ語る

『ボンジュール、トゥール』ハン・ユンソプ/著 影書房 2024年2月 【あらすじ】フランスに住む韓国人の少年ボンジュは、パリからトゥールへ引っ越してきた。 新しい家の…

oyu-zawazawa
2週間前
1

司書がただ最近読んだ絵本・児童書を語る

『ダーウィンのドラゴン』リンゼイ・カルビン/作 小学館 2022年 【あらすじ】かのチャールズ・ダーウィンがビーグル号で航海をしていた頃、かたわらにはローティーンの…

oyu-zawazawa
1か月前
3

木村伊兵衛 写真に生きる

木村伊兵衛。 作品をまとめてきちんと観たことがないな、と思って この展覧会を楽しみにしていた。 2021年に出版された同名の書籍を元にした展覧会。 作家や画家のポート…

oyu-zawazawa
1か月前
8

司書がただ好きな絵本・児童書を語る『あのころはフリードリヒがいた』

【あらすじ】 第二次世界大戦下のドイツ。 隣同士に住むドイツ人の家族とユダヤ人の家族は、息子同士が同時期に産まれたことで 家族ぐるみで親しくなるが…。 【レビュー…

oyu-zawazawa
1か月前
5

椅子とめぐる20世紀のデザイン

籐を使ったり曲木の技術を進歩させたり 天然素材の限界にある意味縛られていた椅子のデザインにおいて、 金属のパイプの使用、というのは革命だったらしい。 言われれば「…

oyu-zawazawa
2か月前
2

本阿弥光悦の大宇宙

ただ作品を紹介するだけでなく 例えば 今回の目玉の1つでもある『鶴下絵三十六歌仙和歌巻』なら “こういうモノができた背景にある当時の流行”とか、 彼の作り出すものが…

oyu-zawazawa
2か月前
2

蜷川実花展

圧巻だったのは花まみれゾーン。 あの空間を作り上げた労力を考えると、くらくらする。 天井までスクリーン張りの部屋で 寝っ転がって映像作品を観れるのはおもしろかった…

oyu-zawazawa
3か月前
7

マリー・ローランサン−時代を映す眼

ローランサンの描く椿姫が可愛かった! 椿姫だけで1つの部屋になっていたのだけど、 あまりの可愛さに、その部屋で1人悶絶。 水彩なのがまた良い。 今回、これを観れただ…

oyu-zawazawa
3か月前
4

坂本龍一トリビュート展

やると知ったときから「行く」と決めていたアート展。 (展覧会でも展示会でもないのでアート展と言ってみる) 坂本さんのやっていらっしゃることは難しすぎて、 私にはたぶ…

oyu-zawazawa
3か月前
10

吉田博 木版画の100年 おまけ

吉田博の絵のような色で暮れていく熱海の街。 色んな風景画が出ているこの展覧会。 「ここに行った時はこうだったね」と、 絵を元に思い出話をしているかたの姿が多く見ら…

oyu-zawazawa
3か月前
2

吉田博 木版画の100年

これを観るために、ぶらり熱海へ。 グランド・キャニオンの木版画と油彩画の比較。 同じ版木を使った、昼と夜の摺り分け。 版木やスケッチの展示。 インド·東南アジア…

oyu-zawazawa
3か月前
2

体験 色鉛筆画

色鉛筆なら持っているから、 趣味として始めるハードルが他より低いかも? と思い、まずは体験してきた。 〈私の絵〉 〈先生の絵〉 写真と先生の見本とを両方見ながら描…

oyu-zawazawa
4か月前
4

my回顧展2023

【行った展覧会一覧】ギャラリー開催のものは◆をつけています(個人的な定義として、ギャラリー=小規模、入場無料、作品販売も行う、のうち2点以上を満たす)。 《1月》9…

oyu-zawazawa
4か月前
2
my回顧展2022

my回顧展2022

観に行った展覧会一覧

1月

フィンランドデザイン

フランソワ・ポンポン

松江泰治 マキエタCC

植田正治を変奏する

2月

民藝の100年

3月

ミロ展

4月

奇想のモード

上野リチ

5月

鏑木清方展

ヨシタケシンスケ展かもしれない

6月

特別展 宝石

大正ロマン×百段階段

7月

空箱職人はるきる展

動物の饗宴

東京国立博物館 文化展[常設展、150周

もっとみる
デ·キリコ展

デ·キリコ展

10年ぶりの大回顧展とのこと。
10年前も行ったけど、その時には気づけなかったことがあった。
それは
形而上絵画を確立させた頃の空は、緑〜黄色のグラデーションだ
ということ。
初めは空の明るさを示す黄色に青を重ねたゆえの緑だけど、
どんどんはっきり緑になっていってる。
後年の形而上絵画再構築時代になると青になる。

それから今回の解説で
とにかくいろんなことを取り入れていた
ということにも気づいた

もっとみる
ティファニー ワンダー

ティファニー ワンダー

行きたくて、楽しみで、たまらなかった。
眼福の嵐。
滞在時間3時間半!それでも足りなかった。足の捻挫が治りきっていればもう少し粘れたけど…

以下、展覧会の構成に沿って。

●歴史を一通りなぞる

●デザイナーごとに見せる

●日本との関わり

●過去のショーウィンドウの再現

映画との関わり

●スポーツ·音楽との関わり

●ダイアモンドを使ったアクセサリー大集合

ダイアモンドエリアは質と量で

もっとみる
司書がおすすめの絵本·児童書をただ語る

司書がおすすめの絵本·児童書をただ語る

『ボンジュール、トゥール』ハン・ユンソプ/著 影書房 2024年2月

【あらすじ】フランスに住む韓国人の少年ボンジュは、パリからトゥールへ引っ越してきた。
新しい家の自分の部屋には備え付けの古い机があり、その机に「愛するわが祖国、愛するわが家族、生き抜かなければ」とハングルで落書きがあるのを発見したボンジュは、そのただならぬ内容に、落書きをした人物を探し出そうとする。
一方、新しい学校の同じクラ

もっとみる
司書がただ最近読んだ絵本・児童書を語る

司書がただ最近読んだ絵本・児童書を語る

『ダーウィンのドラゴン』リンゼイ・カルビン/作 小学館 2022年

【あらすじ】かのチャールズ・ダーウィンがビーグル号で航海をしていた頃、かたわらにはローティーンの助手がいた。

名前はシムズ・コビントン。

嵐の中、ボートから落ちそうになったダーウィンを助けようとしたシムズは、逆に自分が海に投げ出されてしまう。

運良く流れ着いた島で、シムズが目にしたのは…

【レビュー】ダーウィンが航海をし

もっとみる
木村伊兵衛 写真に生きる

木村伊兵衛 写真に生きる

木村伊兵衛。
作品をまとめてきちんと観たことがないな、と思って
この展覧会を楽しみにしていた。
2021年に出版された同名の書籍を元にした展覧会。

作家や画家のポートレートや歌舞伎の舞台写真を初めて観た。
スナップ写真のイメージが強かったけど
ポートレートもとてもよかった。
里見弴と泉鏡花のツーショットでは
2人の顔ではなく火鉢にかざした手元にピントがあっている。
気兼ねなく火鉢を囲んで談笑でき

もっとみる
司書がただ好きな絵本・児童書を語る『あのころはフリードリヒがいた』

司書がただ好きな絵本・児童書を語る『あのころはフリードリヒがいた』


【あらすじ】
第二次世界大戦下のドイツ。
隣同士に住むドイツ人の家族とユダヤ人の家族は、息子同士が同時期に産まれたことで
家族ぐるみで親しくなるが…。

【レビュー】
昨年、この本を読み返した。
児童書なのに主人公の名前は一切出てこない。
家族ぐるみの話なのにファミリーネームも出てこない。
それはすなわち、
「誰でもこのドイツ人一家のようになり得る」
ことの示唆だと思う。
実際、作者は
ナチスの

もっとみる
椅子とめぐる20世紀のデザイン

椅子とめぐる20世紀のデザイン

籐を使ったり曲木の技術を進歩させたり
天然素材の限界にある意味縛られていた椅子のデザインにおいて、
金属のパイプの使用、というのは革命だったらしい。
言われれば「なるほど」。

戦時下で負傷兵の骨折の添え木から合板を曲げる技術が発展した、とか
飛行機のシートを作っていたところからヒントを得た、とか
デザインの考え方が、政権の戦争への考え方と直結していた、とか
そういうキャプチャーを見て、
“素材も

もっとみる
本阿弥光悦の大宇宙

本阿弥光悦の大宇宙

ただ作品を紹介するだけでなく
例えば
今回の目玉の1つでもある『鶴下絵三十六歌仙和歌巻』なら
“こういうモノができた背景にある当時の流行”とか、
彼の作り出すものがブームになったことで誕生した
数々の“光悦風”なものも紹介しているのが、
この展覧会の特徴。

つまり光悦の生きていた時代のカルチャー全体も見えてくる。

衝撃だったのは『桜山吹図屏風』。
簡略化された色面で現されているのは
丘なのか水

もっとみる
蜷川実花展

蜷川実花展

圧巻だったのは花まみれゾーン。
あの空間を作り上げた労力を考えると、くらくらする。

天井までスクリーン張りの部屋で
寝っ転がって映像作品を観れるのはおもしろかった。
自分が、アートアクアリウムの中の金魚になった気分。

空間を楽しむ展覧会。
行く前は色に圧倒されるかと思ってたけど、そんなことはなかった。
誰もが楽しめる。

ここに来れば、誰もが蜷川実花的な写真が撮れるのは間違いない。
そんな敷居

もっとみる
マリー・ローランサン−時代を映す眼

マリー・ローランサン−時代を映す眼

ローランサンの描く椿姫が可愛かった!
椿姫だけで1つの部屋になっていたのだけど、
あまりの可愛さに、その部屋で1人悶絶。
水彩なのがまた良い。

今回、これを観れただけでよかったと思えた。

今回は同時代にパリで活躍していた画家の絵も並列して飾られている。

同時代の画家たちから影響は受けつつ、あまり交流を持たなかったというローランサン。
女性が独立した芸術家としてやっていくのが困難だったこの時代

もっとみる
坂本龍一トリビュート展

坂本龍一トリビュート展

やると知ったときから「行く」と決めていたアート展。
(展覧会でも展示会でもないのでアート展と言ってみる)

坂本さんのやっていらっしゃることは難しすぎて、
私にはたぶん半分も理解ができていない。
だから、それを他者が再構築(=トリビュート)、なんてされると
もうほぼ理解不能。
でも、ライゾマくらいキャッチーにしてもらえたらわかる。

他のかたの映像作品も、
細かいことはわからなかったけど、音や映像

もっとみる
吉田博 木版画の100年 おまけ

吉田博 木版画の100年 おまけ

吉田博の絵のような色で暮れていく熱海の街。

色んな風景画が出ているこの展覧会。
「ここに行った時はこうだったね」と、
絵を元に思い出話をしているかたの姿が多く見られたのが印象的だった。
そうか、思い出に寄り添うというも風景画の重要な側面なんだなぁ。

吉田博 木版画の100年

吉田博 木版画の100年

これを観るために、ぶらり熱海へ。

グランド・キャニオンの木版画と油彩画の比較。

同じ版木を使った、昼と夜の摺り分け。

版木やスケッチの展示。

インド·東南アジアシリーズもたっぷり展示。

現在の風景の写真との比較、なんてものもあった。

そしてなにより、『瀬戸内海 帆船』の全ての時間帯の展示。

確かに、2017年に観たSOMPO美術館での生誕140年展に比べると
木版画だけなので、ボリュ

もっとみる
体験 色鉛筆画

体験 色鉛筆画

色鉛筆なら持っているから、
趣味として始めるハードルが他より低いかも?
と思い、まずは体験してきた。
〈私の絵〉

〈先生の絵〉

写真と先生の見本とを両方見ながら描いたけど
地のクリーム色を塗ったあと、黄緑を塗り始めたところで気づいたのは
「色鉛筆を立てて塗れない…」
ということ。
ビビリなもので、
「立てて塗ったら濃くなりそう」
という恐怖に打ち勝てなかった。

あと、教えていただいてわかった

もっとみる
my回顧展2023

my回顧展2023


【行った展覧会一覧】ギャラリー開催のものは◆をつけています(個人的な定義として、ギャラリー=小規模、入場無料、作品販売も行う、のうち2点以上を満たす)。

《1月》9
ピカソ 青の時代を超えて、三浦太郎展、江口寿史 彼女、中村佑介展、星野道夫 悠久の時を旅する、ビーズ―つなぐ かざる みせる、マリー・クワント展、宇野亞喜良 万華鏡、ヴァロットン 黒と白展

《2月》5
江戸絵画の華、ウォルフガン

もっとみる