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「考えるな、感じろ」の本当の意味: フォーカシング=カンフー論(1)
はじめに
フォーカシングを、学生や広く一般の方々を対象にご紹介する機会が増えてきた。身体感覚を重視するということはとてもシンプルな一方で、「フェルトセンス」や「体験過程」という用語のとっつきにくさ、中には「一つもピンとこない」こともあったりして、フォーカシングをどうわかりやすくお伝えしていけるかは重要な課題だと思っている。なるべく例を出してわかりやすくしたり、話芸も大事だと痛感するこの頃である。
「フェル活」推進運動!〜 フォーカシングを指し示す社会記号を探して〜
「社会記号」という視点
最近、「社会記号」という言葉を知った。マーケティングのプロである博報堂ケトルCEOの嶋浩一郎さんの造語である。嶋さんの『欲望する「ことば」』(集英社新書)によれば、社会記号とは「女子力、草食男子、美魔女、おひとりさま、イクメン、インスタ映え..」などなど、いつのまにか現れ、社会に一般化して、新しい意味や価値を示すようになった言葉のことを指すようだ。マーケターやPRパーソンは
村上春樹とフォーカシングの交差: 「なぞかけ」をめぐる冒険 【改訂版】
本記事は、過去に日本フォーカシング協会のニューズレターに掲載された下記の記事を大幅に加筆し改訂したものです。
岡村 心平 (2018). 謎かけをめぐる冒険〜村上春樹とフォーカシングの交差〜 日本フォーカシング協会ニュースレター 第20巻 第4号 p. 18-23
本記事は「研究者の数珠つなぎ」という企画で、日本のフォーカシングの研究者がリレー形式で自分の研究についてフランクに紹介するという趣
ボタニカル・クロッシング: 「植物のメタファー」を用いたフォーカシングの提案
はじめに:身体知と「植物知性」
身体知は、植物に似ている。
周囲の環境を、その身を通じて直接的に応答している。根を伸ばし、葉を広げ、その状況に呼応して生きている。
そんな植物の生長や動き、微細な変化に気づく兆しは、毎日じっくり観察していてもなかなか気づけないことも多い。
植物たちは、動物と違う「時間」を生きている。ゆっくりと時をかけて、その状況下での最適な関係性を、「その場でどのように生きたらい
「未知」との遭遇者は逡巡する: 宇宙飛行士・フランクル・村上春樹
はじめに: 宇宙飛行士は、宇宙での体験をどう語るのか
ある人に勧められて、最近文庫化された稲泉連さんの『日本人宇宙飛行士』(ちくま文庫)という本を読んだ。僕自身の専門は臨床心理学と身体論だが、この本の内容があまりに面白く、解説の東工大の伊藤亜沙さんの解説と合わせて、実は自分が関心をもっていることと「宇宙飛行士」というトピックが、実はとても関連しているということに思い立った。
宇宙飛行と心理学に、い
【告知】3/28(火)オンライン鼎談『探究 遊び コトバ』に出演します:イベントに向けての補論、遊びについて
ご好評をいただきました、昨年11月9日にオンラインで行われた鼎談企画、禅僧の藤田一照さん、ボディワーカーの小笠原和葉さんとのイベントが帰ってきます。今回のタイトルは「探究、遊び、コトバ」です。仏教界きっての(?)、稀代の遊び人の一照さん、そして遊びに神経系から迫る、いつも楽しいところにいる和葉さんとまたご一緒します。3月28日(火)の夜開催です。詳細やお申し込みは以下のリンクをご覧ください。
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