晶文社

東京・神保町にある、文学・芸術を中心とした書籍と各種学校案内書を発行する出版社です。犀…

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東京・神保町にある、文学・芸術を中心とした書籍と各種学校案内書を発行する出版社です。犀🦏のマークが目印です。

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  • 姫乃たまさん『永遠なるものたち』を巡って

    『永遠なるものたち』に関する記事をまとめています。

  • 新刊・既刊・パブ情報

    新刊・既刊をとわず、書評や紹介の情報をアップします。

記事一覧

固定された記事

はじめますので、ご挨拶

こんにちは、わたしたちは晶文社という出版社です。 創業から今年で60周年を迎えます。人文・思想や芸術、文学、ライフスタイル、働き方など、さまざまなジャンルで単行本…

晶文社
4年前
80

【さきよみ・あとがき】尾久守侑『倫理的なサイコパス――ある精神科医の思索』より「あとがき」掲載!

あとがき   いつの間にか精神科医になっていた。もちろん記憶がないわけではない。医学部を受験したことも覚えているし、医師国家試験を受験したことも覚えている。研修…

晶文社
2週間前
28

【さきよみ・表題作】尾久守侑『倫理的なサイコパス――ある精神科医の思索』より「倫理的なサイコパス」全文掲載!

倫理的なサイコパス  特に暇というわけではないが、今やらなければいけないことに取り組む気になれないときにSNSの巡回を50周くらいしてしまう。 それでいくら更新しても…

晶文社
2週間前
41

【さきよみ】近藤銀河『フェミニスト、ゲームやってる』より「#01 かくして私は収奪と救出に失敗する/『ピクミン4』、やって…

かくして私は収奪と救出に失敗する 『ピクミン4』、やってみた ピクミンというあの植物みたいな生き物のことを知っている人は多くても、「ピクミン」というゲームをやった…

晶文社
1か月前
25

【さきよみ】近藤銀河『フェミニスト、ゲームやってる』より「はじめに」全文掲載!

なぜフェミニスト、ゲームやってる ゲームとフェミニズムは相性が悪いのか? 「フェミニストがゲームをやってる」という話をすると、「え? フェミニストとゲーム? す…

晶文社
1か月前
53

立ち読み『RITUAL(リチュアル)──人類を幸福に導く「最古の科学」』

 アレハンドロは73歳の男性で、スペインのサン・ペドロ・マンリケという小さな村の出身だ。10代のころから、家族とともに地元の火渡りの儀式に参加してきた。私は何年もの…

晶文社
2か月前
13

藤井直敬さん『RITUAL(リチュアル)──人類を幸福に導く「最古の科学」』書評

『Ritual(リチュアル)──人類を幸福に導く「最古の科学」』を読んで、儀式について僕がぼんやりと感じていた違和感についてかなり整理できた。  僕は博士号を取ってか…

晶文社
2か月前
16

詳細目次『話が通じない相手と話をする方法』

第1章 会話が不可能に思えるとき  最低なやつとの会話   不可能な会話とは何か?   不可能な会話はなぜ起こるのか?   何ができるのか?   この本で学べること…

晶文社
3か月前
34

たちよみ『話が通じない相手と話をする方法』監訳者解題(by 藤井翔太)

はじめに本書は、Peter Boghossian & James Lindsay, How to Have Impossible Conversations: A Very Practical Guide (Da Capo Lifelong Books, 2019) の全訳である。原…

晶文社
4か月前
79

たちよみ『もし友だちがロボットだったら?』訳者あとがき(by 永井玲衣)

大人たちは、子どもの「哲学的な問い」が大好きです。子どもたちがじっと考え込んでいる姿が大好きです。子どもがこんな「深い」ことを言ったとか、面白いことを言ったとか…

晶文社
6か月前
23

コンテンツ飽和時代、人生を着実に退屈にする「効率重視のパラドックス」を乗り越えるためのたったひとつの冴えたやりかた。

 初めに、いまから200年ほど時をさかのぼって、その時代の天才詩人ゲーテの代表作『ファウスト』を見てみよう。  この疾風怒濤の一大悲劇の主人公ファウスト博士は、…

晶文社
9か月前
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6/13発売『インフルエンサーのママを告発します』作者のことば

作者のことば  子どもが生まれたとき、わたしはミニホームページ[*1]とカカオストーリーに子どもの写真をのせました。かわいくて、おかしな姿をすべて記録にのこしておき…

晶文社
1年前
80

<ない>ものを見つめるということ――角田光代さん×姫乃たまさんトークセッション

2023年2月23日に、芳林堂書店高田馬場店8Fイベントホールにて行われた、『永遠なるものたち』発売記念イベントでの対談をお届けします。角田さんとたまちゃん、と呼び合う…

晶文社
1年前
21

読書感想文コンクール「<わたし>の永遠なるものたち」結果発表!

2023年2月末に募集を締め切らせていただきました、『永遠なるものたち』読書感想文コンクール「<わたし>の永遠なるものたち」ですが、皆さまのご応募、まことにありがと…

晶文社
1年前
22

金井真紀書評『香川にモスクができるまで──在日ムスリム奮闘記』

この本は神がかっている。いろんな意味で。 もちろん全体に漂うのはアッラーの存在感だ。主人公のフィカルさんは15年以上前から香川に暮らすインドネシア人。毎日5回のお祈…

晶文社
1年前
22

【目次】『教室を生きのびる政治学』(岡田憲治著)

序章 大前提:力を抜いて自分を守る――善・悪・社会 ◆教室のなかの安全保障 日々の悩みや不満から始める 「今日からあなたは主権者です」 ◆だれも立派な人にはなれま…

晶文社
1年前
8
はじめますので、ご挨拶

はじめますので、ご挨拶

こんにちは、わたしたちは晶文社という出版社です。

創業から今年で60周年を迎えます。人文・思想や芸術、文学、ライフスタイル、働き方など、さまざまなジャンルで単行本を出版しています。『吉本隆明全集』も継続的に刊行中。学校案内や資格検定の書籍も手がけています。超ロングセラー『考える練習をしよう』(初版1985年)や『数の悪魔』(初版1998年)などでご存じの方もいらっしゃるかもしれません。

目印は

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【さきよみ・あとがき】尾久守侑『倫理的なサイコパス――ある精神科医の思索』より「あとがき」掲載!

【さきよみ・あとがき】尾久守侑『倫理的なサイコパス――ある精神科医の思索』より「あとがき」掲載!

あとがき 
 いつの間にか精神科医になっていた。もちろん記憶がないわけではない。医学部を受験したことも覚えているし、医師国家試験を受験したことも覚えている。研修医のときは忙しかったからかやや記憶が薄れているが、それでもちゃんと脳内に残っている。私は精神科医になりたいと思って精神科医になった、はずであった。

 しかし、こんな仕事だとは正直思っていなかったところはある。現場は怖い。大袈裟な言い方かも

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【さきよみ・表題作】尾久守侑『倫理的なサイコパス――ある精神科医の思索』より「倫理的なサイコパス」全文掲載!

【さきよみ・表題作】尾久守侑『倫理的なサイコパス――ある精神科医の思索』より「倫理的なサイコパス」全文掲載!

倫理的なサイコパス 
特に暇というわけではないが、今やらなければいけないことに取り組む気になれないときにSNSの巡回を50周くらいしてしまう。

それでいくら更新しても誰の新しい投稿もなかったりするとまったく読む必要のないネットニュースを読んだり、Instagramの虫眼鏡の形のアイコンを押してさらに閲覧する必要のない情報、例えば「楽天ポイントだけで生活する夫婦のポイ活のススメ」「レンジでチンする

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【さきよみ】近藤銀河『フェミニスト、ゲームやってる』より「#01 かくして私は収奪と救出に失敗する/『ピクミン4』、やってみた」全文掲載!

【さきよみ】近藤銀河『フェミニスト、ゲームやってる』より「#01 かくして私は収奪と救出に失敗する/『ピクミン4』、やってみた」全文掲載!

かくして私は収奪と救出に失敗する
『ピクミン4』、やってみた ピクミンというあの植物みたいな生き物のことを知っている人は多くても、「ピクミン」というゲームをやったことがある、という人は意外に少ないのかもしれない。
 実際のところ、「ピクミン」シリーズはピクミンの可愛さに惹かれてプレイするには、恐ろしいゲームだと私は思う。そこでは労働という行為がもたらす快楽と破壊が描かれている。
 2023年に発売

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【さきよみ】近藤銀河『フェミニスト、ゲームやってる』より「はじめに」全文掲載!

【さきよみ】近藤銀河『フェミニスト、ゲームやってる』より「はじめに」全文掲載!

なぜフェミニスト、ゲームやってる
ゲームとフェミニズムは相性が悪いのか?

「フェミニストがゲームをやってる」という話をすると、「え? フェミニストとゲーム? すごく取り合わせが悪そう」と言われる。
 たしかに、そうかもしれない。ゲームは昔「ゲームボーイ」というゲーム機が発売されたくらい、当たり前のように【男の子】のものだった。2014年には「ゲーマーゲート事件」と呼ばれる、ゲームファンたちが女性

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立ち読み『RITUAL(リチュアル)──人類を幸福に導く「最古の科学」』

立ち読み『RITUAL(リチュアル)──人類を幸福に導く「最古の科学」』

 アレハンドロは73歳の男性で、スペインのサン・ペドロ・マンリケという小さな村の出身だ。10代のころから、家族とともに地元の火渡りの儀式に参加してきた。私は何年ものあいだに数多くの火渡りの儀式に立ち会ったが、この村の儀式ほど激しいものはほかになかった。2トン以上のオークの木を使って、アルミニウムを溶かすほど熱い火をおこし、参加者は別のひとりを背負い、はだしで火の上を歩く。たいていの人は子どもを背負

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藤井直敬さん『RITUAL(リチュアル)──人類を幸福に導く「最古の科学」』書評

藤井直敬さん『RITUAL(リチュアル)──人類を幸福に導く「最古の科学」』書評

『Ritual(リチュアル)──人類を幸福に導く「最古の科学」』を読んで、儀式について僕がぼんやりと感じていた違和感についてかなり整理できた。

 僕は博士号を取ってからMITのラボでポスドク期間を6年半過ごした。そのラボは、脳内の基底核[きていかく]という場所を中心としたHabit Formation(習慣)ができあがる仕組みの解明を研究テーマの一つに据えていた。簡単に言うと、習慣が身につく仕組

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詳細目次『話が通じない相手と話をする方法』

詳細目次『話が通じない相手と話をする方法』


第1章 会話が不可能に思えるとき  最低なやつとの会話
  不可能な会話とは何か?
  不可能な会話はなぜ起こるのか?
  何ができるのか?
  この本で学べることと、この本の使い方

第2章 入門:よい会話のための7つの基礎──通りすがりの他人から囚人まで、誰とでも会話する方法 #1目標
  なぜその人と会話するのか?
#2パートナーシップ
  パートナーであれ、敵になるな。
#3ラポール

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たちよみ『話が通じない相手と話をする方法』監訳者解題(by 藤井翔太)

たちよみ『話が通じない相手と話をする方法』監訳者解題(by 藤井翔太)


はじめに本書は、Peter Boghossian & James Lindsay, How to Have Impossible Conversations: A Very Practical Guide (Da Capo Lifelong Books, 2019) の全訳である。原著のタイトルを直訳すると、「不可能な会話を行う方法──非常に実践的なガイド」とでもなるだろうが、内容と目的、そして

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たちよみ『もし友だちがロボットだったら?』訳者あとがき(by 永井玲衣)

たちよみ『もし友だちがロボットだったら?』訳者あとがき(by 永井玲衣)

大人たちは、子どもの「哲学的な問い」が大好きです。子どもたちがじっと考え込んでいる姿が大好きです。子どもがこんな「深い」ことを言ったとか、面白いことを言ったとか、そんなエピソードが大好きです。
しかし、この「大好き」という気持ちが、子どもと一緒に考えるということを妨げることがあります。自分がぐっとくるようなことを言わせようとしてしまう。考えてほしい問いを、かれらに押しつけてしまう。
あなたにも、心

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コンテンツ飽和時代、人生を着実に退屈にする「効率重視のパラドックス」を乗り越えるためのたったひとつの冴えたやりかた。

コンテンツ飽和時代、人生を着実に退屈にする「効率重視のパラドックス」を乗り越えるためのたったひとつの冴えたやりかた。

 初めに、いまから200年ほど時をさかのぼって、その時代の天才詩人ゲーテの代表作『ファウスト』を見てみよう。
 この疾風怒濤の一大悲劇の主人公ファウスト博士は、万巻の書を読み尽くし、いくつもの学問を究め、その結果、「何もわからないことに気づいた」人物である。
 かれはその後、悪魔メフィストフェレスをともなって現実世界で快楽や権力を追求することになるのだが、それはともかく、今日の視点でこの『ファウス

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6/13発売『インフルエンサーのママを告発します』作者のことば

6/13発売『インフルエンサーのママを告発します』作者のことば

作者のことば
 子どもが生まれたとき、わたしはミニホームページ[*1]とカカオストーリーに子どもの写真をのせました。かわいくて、おかしな姿をすべて記録にのこしておきたかったのです。子どもがそれなりの年齢になるまで、メッセンジャーのプロフィールにも子どもの写真を使っていました。

 ところがある日、子どもが「SNSに自分の写真をのせないでほしい」と言ってきたのです。わたしとしては、かわいいと思ってし

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<ない>ものを見つめるということ――角田光代さん×姫乃たまさんトークセッション

<ない>ものを見つめるということ――角田光代さん×姫乃たまさんトークセッション

2023年2月23日に、芳林堂書店高田馬場店8Fイベントホールにて行われた、『永遠なるものたち』発売記念イベントでの対談をお届けします。角田さんとたまちゃん、と呼び合う二人には、どのような関係(接点)があったのでしょうか……? 秘密はレモンサワーにあり……⁉ 不思議なリズム感で繰り広げられるトークセッションをぜひお楽しみください。

角田:今日はよろしくお願いします。
姫乃:角田さん! なんと、私

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読書感想文コンクール「<わたし>の永遠なるものたち」結果発表!

読書感想文コンクール「<わたし>の永遠なるものたち」結果発表!

2023年2月末に募集を締め切らせていただきました、『永遠なるものたち』読書感想文コンクール「<わたし>の永遠なるものたち」ですが、皆さまのご応募、まことにありがとうございました。

応募いただいた多数の力作の中から、姫乃さんとの厳密なる審査の結果、下記のように各賞を定める運びとなりました。

姫乃たま賞:はこもりひろみさん
「余所見」

 姫乃賞:えりぽんおじさん
「姫乃たま『永遠なるものたち』

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金井真紀書評『香川にモスクができるまで──在日ムスリム奮闘記』

金井真紀書評『香川にモスクができるまで──在日ムスリム奮闘記』

この本は神がかっている。いろんな意味で。
もちろん全体に漂うのはアッラーの存在感だ。主人公のフィカルさんは15年以上前から香川に暮らすインドネシア人。毎日5回のお祈りを欠かさない敬虔なイスラム教徒で、モスク建立を思い立つくらいだからアッラーへの信仰心が半端ない。神様が随所に出てくるのは当然である。だが、それだけではない。イスラム教徒に言わせれば「アッラーのほかに神はなし」なのだろうけど、あぁわたし

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【目次】『教室を生きのびる政治学』(岡田憲治著)

【目次】『教室を生きのびる政治学』(岡田憲治著)

序章 大前提:力を抜いて自分を守る――善・悪・社会

◆教室のなかの安全保障
日々の悩みや不満から始める
「今日からあなたは主権者です」
◆だれも立派な人にはなれません
自分の足元から考える
天気予報も出口調査もハズれる
頭と身体を動かすために
立派な人になるより切実なこと
◆友だちが100人も必要なワケがない
ゆるくつながること
顔も知らない隣人たちの集まる「社会(ソサエティ)」
僕たちは一人残

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