晶文社
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【さきよみ】近藤銀河『フェミニスト、ゲームやってる』より「#01 かくして私は収奪と救出に失敗する/『ピクミン4』、やってみた」全文掲載!
かくして私は収奪と救出に失敗する
『ピクミン4』、やってみた ピクミンというあの植物みたいな生き物のことを知っている人は多くても、「ピクミン」というゲームをやったことがある、という人は意外に少ないのかもしれない。
実際のところ、「ピクミン」シリーズはピクミンの可愛さに惹かれてプレイするには、恐ろしいゲームだと私は思う。そこでは労働という行為がもたらす快楽と破壊が描かれている。
2023年に発売
【さきよみ】近藤銀河『フェミニスト、ゲームやってる』より「はじめに」全文掲載!
なぜフェミニスト、ゲームやってる
ゲームとフェミニズムは相性が悪いのか?
「フェミニストがゲームをやってる」という話をすると、「え? フェミニストとゲーム? すごく取り合わせが悪そう」と言われる。
たしかに、そうかもしれない。ゲームは昔「ゲームボーイ」というゲーム機が発売されたくらい、当たり前のように【男の子】のものだった。2014年には「ゲーマーゲート事件」と呼ばれる、ゲームファンたちが女性
立ち読み『RITUAL(リチュアル)──人類を幸福に導く「最古の科学」』
アレハンドロは73歳の男性で、スペインのサン・ペドロ・マンリケという小さな村の出身だ。10代のころから、家族とともに地元の火渡りの儀式に参加してきた。私は何年ものあいだに数多くの火渡りの儀式に立ち会ったが、この村の儀式ほど激しいものはほかになかった。2トン以上のオークの木を使って、アルミニウムを溶かすほど熱い火をおこし、参加者は別のひとりを背負い、はだしで火の上を歩く。たいていの人は子どもを背負
もっとみる藤井直敬さん『RITUAL(リチュアル)──人類を幸福に導く「最古の科学」』書評
『Ritual(リチュアル)──人類を幸福に導く「最古の科学」』を読んで、儀式について僕がぼんやりと感じていた違和感についてかなり整理できた。
僕は博士号を取ってからMITのラボでポスドク期間を6年半過ごした。そのラボは、脳内の基底核[きていかく]という場所を中心としたHabit Formation(習慣)ができあがる仕組みの解明を研究テーマの一つに据えていた。簡単に言うと、習慣が身につく仕組
詳細目次『話が通じない相手と話をする方法』
第1章 会話が不可能に思えるとき 最低なやつとの会話
不可能な会話とは何か?
不可能な会話はなぜ起こるのか?
何ができるのか?
この本で学べることと、この本の使い方
第2章 入門:よい会話のための7つの基礎──通りすがりの他人から囚人まで、誰とでも会話する方法 #1目標
なぜその人と会話するのか?
#2パートナーシップ
パートナーであれ、敵になるな。
#3ラポール
たちよみ『話が通じない相手と話をする方法』監訳者解題(by 藤井翔太)
はじめに本書は、Peter Boghossian & James Lindsay, How to Have Impossible Conversations: A Very Practical Guide (Da Capo Lifelong Books, 2019) の全訳である。原著のタイトルを直訳すると、「不可能な会話を行う方法──非常に実践的なガイド」とでもなるだろうが、内容と目的、そして
コンテンツ飽和時代、人生を着実に退屈にする「効率重視のパラドックス」を乗り越えるためのたったひとつの冴えたやりかた。
初めに、いまから200年ほど時をさかのぼって、その時代の天才詩人ゲーテの代表作『ファウスト』を見てみよう。
この疾風怒濤の一大悲劇の主人公ファウスト博士は、万巻の書を読み尽くし、いくつもの学問を究め、その結果、「何もわからないことに気づいた」人物である。
かれはその後、悪魔メフィストフェレスをともなって現実世界で快楽や権力を追求することになるのだが、それはともかく、今日の視点でこの『ファウス
6/13発売『インフルエンサーのママを告発します』作者のことば
作者のことば
子どもが生まれたとき、わたしはミニホームページ[*1]とカカオストーリーに子どもの写真をのせました。かわいくて、おかしな姿をすべて記録にのこしておきたかったのです。子どもがそれなりの年齢になるまで、メッセンジャーのプロフィールにも子どもの写真を使っていました。
ところがある日、子どもが「SNSに自分の写真をのせないでほしい」と言ってきたのです。わたしとしては、かわいいと思ってし
<ない>ものを見つめるということ――角田光代さん×姫乃たまさんトークセッション
2023年2月23日に、芳林堂書店高田馬場店8Fイベントホールにて行われた、『永遠なるものたち』発売記念イベントでの対談をお届けします。角田さんとたまちゃん、と呼び合う二人には、どのような関係(接点)があったのでしょうか……? 秘密はレモンサワーにあり……⁉ 不思議なリズム感で繰り広げられるトークセッションをぜひお楽しみください。
角田:今日はよろしくお願いします。
姫乃:角田さん! なんと、私
金井真紀書評『香川にモスクができるまで──在日ムスリム奮闘記』
この本は神がかっている。いろんな意味で。
もちろん全体に漂うのはアッラーの存在感だ。主人公のフィカルさんは15年以上前から香川に暮らすインドネシア人。毎日5回のお祈りを欠かさない敬虔なイスラム教徒で、モスク建立を思い立つくらいだからアッラーへの信仰心が半端ない。神様が随所に出てくるのは当然である。だが、それだけではない。イスラム教徒に言わせれば「アッラーのほかに神はなし」なのだろうけど、あぁわたし