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Noteに書いた記事を編集してクラシック音楽と英語学習に関する本を出版することが今年の…

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Noteに書いた記事を編集してクラシック音楽と英語学習に関する本を出版することが今年の目標。有料記事を売ってNoteにも貢献します。ニュージーランドからオーストラリア移住して、その次にはヨーロッパに向かいます。AI大好き。学び続けることが人生最大の快楽です。

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  • Personal Bookmarks 2023‐2024

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    毎日聴いたり演奏したクラシック音楽のためのノート。どんな音楽に触れて思い書いたかを思い出せば、あの頃の自分を思い出すことができる。もちろん誰に読んでもらえてどんな感想をいただけるとかすれば、ますますノートは意義深いものになる。

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    ジャズとクラシックの源流を探る投稿集です。

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    2021年4月からの覚え書。自分のために書いている、詩のような思索の断片置き場。The Private Paper of Myself...

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こういう印象深いタグがXで流行っていると、わたしがフォローしている方の投稿に書かれていました。 Noteに投稿された、愛してやまない文学作品を挙げてられている方のリ…

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ピアノのバッハ(番外編2):リュートの弦を張ったチェンバロ

今回は短めのお話。 バッハの器楽曲はあらゆる楽器のために編曲され、どんな楽器で演奏されようとも「バッハだから」と許されてしまうのが「音楽の父」バッハの凄さ。 拍…

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ピアノのバッハ(番外編):知られざる楽器「モダンチェンバロ」

「チェンバロ」または「ハープシコード」と呼ばれる楽器は、とても特徴的な鋭い金属的な音色が魅力的です。 狭義ではチェンバロとハープシコードは違う楽器なのだそうです…

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廃坑巡り: 海外生活日記

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Logophile
9日前
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三等当選しました。有料記事は何度か買って頂いたことがあったのですが(英語喉の話など)今回は自分が有料記事を購入したいです。普段からの感謝も込めてフォロワーさんの自信作(有料)を読んでみたいので「ぜひ読んで」という記事があればコメント欄で教えてください。

Logophile
13日前
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完全比の三和音とトルコ行進曲 (後編)

前編と中編では、オクターヴ間の12の半音を完全に整えるピタゴラス音律には三度の不具合のために和音に唸りが生じてしまい、三和音の響きを完璧に整える純正律はオクターヴ…

Logophile
13日前
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完全比の三和音とトルコ行進曲 (中編)

ピタゴラス音律の問題を紹介して終わった前回からの続きです。 今回は表題にした完全比の三和音のお話。 純正律 Just Intonation におけるオクターヴ間の12音の割り出し…

Logophile
2週間前
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完全比の三和音とトルコ行進曲(前編)

音階の音の並びと音階の作り出す色調について前回では語りましたが、今回はドレミファソラシドの成り立ち、つまり音階の科学です。 長調や短調や教会旋法といった異なるド…

Logophile
2週間前
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調性というカラフルな世界: 大ト短調交響曲

西洋音楽には、調性という「色」が存在します。 ハ長調やイ短調などと呼ばれる、ドレミファソラシドのことです。 全部で24種類、長音階と短音階の二つのタイプがあり、そ…

Logophile
2週間前
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山歩き:海外生活日記

最近は余暇にはピアノばかり弾いているので、Noteでもバッハやモーツァルトなど、クラシック音楽のことばかり書いているけれども、今回は一般受けする山歩きのお話。 いつ…

Logophile
3週間前
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十八世紀作曲家たちの創意工夫: 小ト短調交響曲

三十六年弱の短い生涯に数百曲の作品を遺した、ヴォルフガング・モーツァルトの作品の名前はややこしい。 作品数をあげてみても、遺作のレクイエムはいわゆるケッヒェル(…

Logophile
3週間前
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音の回文の言葉遊び:逆さまのメヌエット

言葉遊びはお好きですか? わたしのハンドルネームは Logophile。 意味は「言葉好き」。そういう名前を名乗るほどに、言葉で遊ぶのが大好きです。 子どもはしりとりや替…

Logophile
3週間前
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エッセイ: 美しさについて

南半球なので、四月は秋の始まり。 常緑樹以外の緑陽は深みを帯びた黄や色鮮やかな赤の着物へと衣替えする。 毎年この季節に秋枯れする我が家の裏庭を清楚な白で彩るアネ…

Logophile
1か月前
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映画「ブルー・ジャイアント」と原作漫画と小説「ピアノマン」

ジャズってなんだかわからない… たいていの人がそう呟く。 ジャズはもはや昔の音楽なのだけれども、「古典にしてはならない、ジャズは死んではいない」と、新しいジャズ…

Logophile
1か月前
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ピアノのバッハ 12: バッハは笑う

ゴルドベルク変奏曲の後半部のカノン特集の続きです。 5.6 第六のカノン(六度) 第十八番変奏曲。 拍子はアラ・ブレーヴェ、息の長い二拍子。 Cのような記号に縦線の…

Logophile
1か月前
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ピアノのバッハ 11: カノンの技法

前回からの続きです。 今回はカノン特集。 題して「カノンの技法」。 バッハ最晩年の名作「フーガの技法」のもじりです(笑)。 どの楽器で演奏すればいいのかという楽…

Logophile
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私の最愛海外文学10選

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こういう印象深いタグがXで流行っていると、わたしがフォローしている方の投稿に書かれていました。

Noteに投稿された、愛してやまない文学作品を挙げてられている方のリストを見て、

と思わずため息をつきました。

最近はAIを学ぶのに忙しくて長編小説なんて読めやしないのです。

昔は本当にたくさんの小説を読みました。

小説が自分の人格形成に与えてくれた影響は計り知れないないのですが、たくさん読ん

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ピアノのバッハ(番外編2):リュートの弦を張ったチェンバロ

ピアノのバッハ(番外編2):リュートの弦を張ったチェンバロ

今回は短めのお話。

バッハの器楽曲はあらゆる楽器のために編曲され、どんな楽器で演奏されようとも「バッハだから」と許されてしまうのが「音楽の父」バッハの凄さ。

拍子のリズムを誰よりも重んじるバッハの音楽は規則正しいリズムの躍動感ゆえにどんな楽器で演奏されようとも素晴らしい。

電子楽器でも非西洋楽器の尺八や和笛でも。

あまりの汎用性の高さに脱帽するほかないのですが、やはり個性的な楽曲には楽器と

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ピアノのバッハ(番外編):知られざる楽器「モダンチェンバロ」

ピアノのバッハ(番外編):知られざる楽器「モダンチェンバロ」

「チェンバロ」または「ハープシコード」と呼ばれる楽器は、とても特徴的な鋭い金属的な音色が魅力的です。

狭義ではチェンバロとハープシコードは違う楽器なのだそうですが、一般的には「ハープシコード Harpsichord 」はラテン系言語、「チェンバロ Cembalo 」はドイツ(ゲルマン)系言語での呼び名、つまり同じ構造を持つ同じ楽器をどちらも意味しています。

ちなみに英語読みすると

ややこしい

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廃坑巡り: 海外生活日記

廃坑巡り: 海外生活日記

<1>黄金の国ジパング。

日本について、モンゴル人が中国大陸の北方に打ち立てた元帝国(1271-1368) の首都大都 (現北京) を訪れたヴェニスの商人マルコ=ポーロ (1254-1324)はそう伝えている。

マルコ=ポーロは海を渡って日本を訪れることはなかったのだが、伝聞でそう伝え聞いたそうだ。

しかしながら、海の向こうの黄金の国の噂は実際のところ、まったくのウソではなかった。

日本は

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三等当選しました。有料記事は何度か買って頂いたことがあったのですが(英語喉の話など)今回は自分が有料記事を購入したいです。普段からの感謝も込めてフォロワーさんの自信作(有料)を読んでみたいので「ぜひ読んで」という記事があればコメント欄で教えてください。

完全比の三和音とトルコ行進曲 (後編)

完全比の三和音とトルコ行進曲 (後編)

前編と中編では、オクターヴ間の12の半音を完全に整えるピタゴラス音律には三度の不具合のために和音に唸りが生じてしまい、三和音の響きを完璧に整える純正律はオクターヴ間の12の半音を均等にはできないということがわかりました。

今回は、この二つの調律方法を折衷させることで考案された新しい音律のお話。

最終回です。

中全音律(ミーントーン)の登場純正五度で作られたピタゴラス音律は初期キリスト教会など

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完全比の三和音とトルコ行進曲 (中編)

完全比の三和音とトルコ行進曲 (中編)

ピタゴラス音律の問題を紹介して終わった前回からの続きです。

今回は表題にした完全比の三和音のお話。

純正律 Just Intonation におけるオクターヴ間の12音の割り出し方について。

ピタゴラス音律と純正律の問題点が理解できると、ようやく私が取り上げたいモーツァルトの「トルコ行進曲」を語ることができるようになります。

数式計算を今回も楽しんでいただけると嬉しいです。数式がややこしい

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完全比の三和音とトルコ行進曲(前編)

完全比の三和音とトルコ行進曲(前編)

音階の音の並びと音階の作り出す色調について前回では語りましたが、今回はドレミファソラシドの成り立ち、つまり音階の科学です。

長調や短調や教会旋法といった異なるドレミファソラシドの知識は演奏するうえでとても役立つ実用的な知識ですが、次の疑問をこたえられるようになることであなたの音楽理解はさらなる深化を遂げるのです。

なぜ西洋音楽のオクターヴの中には12音あるのか?
どうして7音でも15音でもない

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調性というカラフルな世界: 大ト短調交響曲

調性というカラフルな世界: 大ト短調交響曲

西洋音楽には、調性という「色」が存在します。

ハ長調やイ短調などと呼ばれる、ドレミファソラシドのことです。

全部で24種類、長音階と短音階の二つのタイプがあり、それぞれ12ずつ。

ハ長調のドレミファソラシドと変イ長調のドレミファソラシドは、同じ音の並びのように聞こえるけれども、音の高さは違うのです。

ハ長調のドレミファソラシドとハ短調のドレミファソラシドは、同じ音から始まるのだけれども、音

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山歩き:海外生活日記

山歩き:海外生活日記

最近は余暇にはピアノばかり弾いているので、Noteでもバッハやモーツァルトなど、クラシック音楽のことばかり書いているけれども、今回は一般受けする山歩きのお話。

いつも家にこもって本を読んで、音楽を聴いてピアノばかりを弾いているわけでもないのです。

アウトドアライフを楽しむには最高の土地に住んでいるのですから。

前の日曜日、車で25分、隣町の山を子供達と一緒に登ってきました。

山道では面白い

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十八世紀作曲家たちの創意工夫: 小ト短調交響曲

十八世紀作曲家たちの創意工夫: 小ト短調交響曲

三十六年弱の短い生涯に数百曲の作品を遺した、ヴォルフガング・モーツァルトの作品の名前はややこしい。

作品数をあげてみても、遺作のレクイエムはいわゆるケッヒェル(ケッヘル)番号で626なので、全部で626曲なのかといえば、そうではない。

ケッヒェル番号は最初に編纂されたときには確かに626曲だったけれども、その後間違えて含まれていた他人の曲が判明したり、含まれていなかった曲なども見つかり、総数は

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音の回文の言葉遊び:逆さまのメヌエット

音の回文の言葉遊び:逆さまのメヌエット

言葉遊びはお好きですか?

わたしのハンドルネームは Logophile。

意味は「言葉好き」。そういう名前を名乗るほどに、言葉で遊ぶのが大好きです。

子どもはしりとりや替え歌やアナグラムなど、言葉遊びが大好きなのですが、大人になるとそういう遊びの価値をあまり評価しなくなるのは残念なことです。

たかが言葉遊び、されど言葉遊び。

言葉遊びは実は非常に奥深いものなのですが、日常的な言葉遊び代表

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エッセイ: 美しさについて

エッセイ: 美しさについて

南半球なので、四月は秋の始まり。

常緑樹以外の緑陽は深みを帯びた黄や色鮮やかな赤の着物へと衣替えする。

毎年この季節に秋枯れする我が家の裏庭を清楚な白で彩るアネモネが昨日咲いた。

夏草が衰え始めた頃に顔を見せる我が家の白いアネモネは我が目を楽しませる。

心踊る。

でもわたしの心を喜ばせる秋枯れの美しさは、誰にでも理解されるというわけでもない。

わたしの子供たちは野の花などに見向きもしな

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映画「ブルー・ジャイアント」と原作漫画と小説「ピアノマン」

映画「ブルー・ジャイアント」と原作漫画と小説「ピアノマン」

ジャズってなんだかわからない…

たいていの人がそう呟く。

ジャズはもはや昔の音楽なのだけれども、「古典にしてはならない、ジャズは死んではいない」と、新しいジャズを創ろうとする若者たちがいる。

そんな物語を描いているのが、石塚真一の漫画「Blue Giant」。

昨年2023年2月、待望のアニメ映画として初めて映像化されたのは嬉しかった。

原作を連載開始直後の2013年からずっと読み続けて

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ピアノのバッハ 12: バッハは笑う

ピアノのバッハ 12: バッハは笑う

ゴルドベルク変奏曲の後半部のカノン特集の続きです。

5.6 第六のカノン(六度)

第十八番変奏曲。

拍子はアラ・ブレーヴェ、息の長い二拍子。

Cのような記号に縦線の入った速度記号はルネサンス時代以来の古い記譜法の名残りなので、おおらかに歌う音楽が拍子記号から求められています。

楽譜も伸びる音の多くてたくさんの余白のあり、非常に声楽的。

だから実はチェンバロで演奏するよりも、よりカンター

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ピアノのバッハ 11: カノンの技法

ピアノのバッハ 11: カノンの技法

前回からの続きです。

今回はカノン特集。

題して「カノンの技法」。

バッハ最晩年の名作「フーガの技法」のもじりです(笑)。

どの楽器で演奏すればいいのかという楽器指定のない、謎めいた大作「フーガの技法」の他にも、「音楽の捧げもの」という極度に難解な曲集がバッハ最晩年の大傑作として知られています。

今回は「音楽の捧げもの」からお話を始めます。

「音楽の捧げもの」の作曲背景は以下のような具

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