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もう一度よみたい

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noteで出会った、すばらしい作品。
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結婚

結婚

最寄駅の京阪電車「渡辺橋」のふたつも手前の「なにわ橋」で降りてしまったことに気づいたのは外に出てからだった。このあたりは川べりが広々としてヨーロッパの雰囲気(歩いている人は関西弁)。明治、大正、昭和の雰囲気が漂う古いビルが建ち並び、落ち着いて心地よい場所である。

「みなも〜!」
入試が終わって発表まで中一日ある15歳の娘が、淀川の水面の美しさに感激してスマホを取り出す。淀川の水がきれいなわけでは

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【詩】若き詩人の記憶

【詩】若き詩人の記憶

血を吐いて倒れたのに

水溜りの中の雲はただ白くて

これからきっと

良い詩をたくさん書くのに

立派な建物もたくさん造るのに

きっとまた恋をするのに

咳が止まらなくて

息苦しくて

悔しくて

見上げた空は

大雨が去って

もうすっかり青なのに

____
3月29日は、24歳で亡くなった
立原道造(詩人・建築家)の命日なので
彼の心境を想像して書いてみました。

猫と森生と働く椿さん

猫と森生と働く椿さん

私事ですが今年の八月、軽い自動車事故に遭いました。
青信号で横断歩道を渡っていたのですが見通しの悪い交差点のせいか左折してきた車に自転車ごとポーンと飛ばされて転がり、轢かれる寸前で車が止まってくれました。  幸なことに擦り傷程度ですのでご心配なく。。

人に気付いて慌ててブレーキを掛ける車のバンパーが目の前にが迫ってきた時、その一瞬に頭に巡った事柄は「猫に晩ご飯をあげてない」と「コンサートのチケッ

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絵本動画つくりました

絵本動画つくりました

こんばんは、こんにちは。toga.shiです。
先日noteで紹介した、私の手作り絵本の、動画を作ってみましたー。
アンビエントなピアノの曲(フリー音楽素材から拝借しましたよ)をBGMに、静かな気持ちで読める動画になっているので、、よかったら見てくださいね! 
絵本のポストカードもつくろうかしら、と妄想しています。ご意見ご感想、お気軽にどうぞ😺

よろしくお願いします🐥

猫と森生と目白さん

猫と森生と目白さん

わたしが書籍取次書店で働いていた頃、もうずいぶん昔なのですがその頃ですら町の小さな書店がどんどん姿を消していました。

お客さまから注文のあった本を直接買いに来られる町の本屋さんはわたしの親ぐらいの年齢の方が多く(その頃私は二十代だった!)たぶんお店はその方の代で終えるのだろうなと感じてました。
それでも当時のわたしは町から本屋さんが無くなるなんて信じられませんでした。

しかし今は駅ビルに入った

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猫と森生と椿さん

猫と森生と椿さん

前回述べてました下手下手漫画を貼ってみました。・・お恥ずかしい。

押入れを探してたらプリントしてた物が何枚かあったのでスキャナーで読み込んでおります。

漫画ですが1〜5頁ではモクと冴えない店主の森生くんとの出会いを描いてます。
そして椿さんというのは紅い服を着た女性↓で後に活躍予定の人物です。
ちなみにフルネームは「椿カヲル」となっております。

そしてこの下手下手漫画もう少し続きます。 /(

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猫と本屋

猫と本屋

はじめまして。
本屋の猫「モク」と申します。
わたくし、ある閉店寸前の本屋に住みついて書店員をやっています。

しかし本というのはなかなか売れないものですな。
店主である「森生」は全くやる気をなくしておるし。。
ここはわたくしの猫力で何とかしてやるしかないですな。
さてさて、どこから手を付けるかにゃ。

と、いう様なストーリーの漫画もどきを昔、描いていました。
というのも何十年も前ですがわたしも取

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作品帳|大切な人をなくしたあなたに描いた絵本

作品帳|大切な人をなくしたあなたに描いた絵本

10代の自分のために作った絵本を、どこかのあなたへ。

ある絵本コンペに出して落選した作品ですが
可愛い子には旅をさせよということで(?)一般公開しました。

私は中学生の頃家族を失ったのですが、
当時は思春期で、突然の喪失に感情のコントロールができなくなりました。
この作品はそんな10代のころの自分のために作った作品です。

(※PC推奨、リンク先でズームボタンを押していただくと、画面に合わせた

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『ベルリン、天使の詩』 ~人生につまづいた時、君のそばには天使がいるよ~

『ベルリン、天使の詩』 ~人生につまづいた時、君のそばには天使がいるよ~

01.はじまりはじまり
これは天使と人間とそして世界の語り部の物語です

あなたにこの作品から感じてほしい事は、

「悩みがいっぱいな日常でも、子供の頃の純粋な気持ちを思いだせば、とても美しいよ」ということです

「生活に追われる大人になっても、子供の頃の知らないことだらけな、あのドキドキ感をもう一度取り戻せば、楽しくて幸せだと感じるよ」ということです

ちょっとここで、ヨーロッパ映画を簡単にお伝

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【ショートエッセイ】百年後(2008)

【ショートエッセイ】百年後(2008)

百年後

17年前に旅立ったコルカタの義父が、結婚当初心を込めて贈ってくれた一冊の本がある。ラビンドラナート・タゴール(1861~1941)の詩集『ギタンジャリ』(1909)である。

それまで詩と殆ど無縁だった私の、詩との真の出会いであった。

一読するなりその素晴らしさに呆然とするほど感銘を受けた。敬虔でありながら恐れることなく結ばれた神との直接的な関係とそこから溢れる純粋な命の歓喜と愛が、郷

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本当にフランス人は「週35時間」しか働かないのか。

本当にフランス人は「週35時間」しか働かないのか。

よく「フランス人は働かない」とかいわれるけど、実際は本当にそうなのだろうか。

今朝いつものカフェに行ったら、日曜日の午前9時にも関わらず常連客のおばさんがいつものように真ん中の同じテーブル席に座って、そして別のお兄さんがやはりパソコン取り出して真剣に仕事していた。

たしかにフランスでは法律で5週間の有給休暇や週35時間労働が規定されているが、実際には残業する職種も多いし、管理職になると仕事が3

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【仕事なんか生きがいにするな】身体性や感じ方を大事にする生き方

【仕事なんか生きがいにするな】身体性や感じ方を大事にする生き方

私は現在、自営業で一人で事業をやりながら暮らしています。

こういうスタイルになった経緯はいろいろありますが、自分自身の働き方を常に再検討してきた過程があったのは確かです。

その中で影響を受けた本を紹介します。

今回紹介するのは『仕事なんか生きがいにするな』という本です。
タイトルは少しキャッチ―ですが、現代人の働き方、生き方を根底から問い直すようなとてもいい本です。

私が読んだのは少し前で

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