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排泄

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記事一覧

街灯を歩く

風邪を引いた時の鼻水みたいな臭いがする君を愛していた

いつも同じ子どもみたいな英字の書いてある、いつも同じ黒いスウェットみたいな服を着てご飯粒みたいな白いかたまりをつけて、そのまま美大に行く君を愛していた

おでこや顎のずっと治らないニキビが好きだった

変わってしまう前の、希望と不安が混ざっている君が好きだった

少し弱々しい目も好きだった

それでいて意見をしっかりという時の芯の強い目も好き

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記憶の怪物

まだ17時ほど

西陽が眩しい

そんな綺麗な頃に
君は泣きながら終わりにしようと呟いた

僕はいつもと同じく頷いた

口元で終わりにしようと呟いて
目元の涙は眩しく見えた

真顔で怒って見えていた。
気持ちは言わない頑固者

本当にやってみないかい?
どれだけ辛くても、芽が出なくても
本気で。いいえ、本当で

晴れ渡り何に憎んでいたかも思い出せない。
唯一思い出すのは食べたシャーピンと眠る君

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糞クローン

人間が嫌いだ。でも友が欲しい。ベルサイユ条約の制定から悩んでいた俺は一つの回答を思いついた。クローンを培養すること。
しかし人間が嫌いな俺は人のクローンでは友と呼べない。己と共に暮らしたいともボルヘシアンではないので思わない。それならば好物を培養しよう。糞しかない

それからのことを説明する義理はない。
糞の伝手で文字通り糞以下の奴隷が産まれた。
愛のない部屋に夕陽が差した。
俺たちは人目を嫌い二

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糞舐男

寿司屋の糞舐めは酸っぱい。ガリ、醤油やら赤身やらが混ざっている。それでも一皿130円に値上げした寿司を舐めたい。マグロとか軍艦じゃなくて糞が乗った糞舐寿司がいい。軍艦から海苔で巻くから硬さは求めない。しかし握りの場合はわけが違う。ある程度の硬み、(赤身のように言って失礼)が無ければ握れないのだ。
しかし握れた時の興奮は他とは比べ物にならないそれを一口でトュルンと食べる。懐かしい海の匂い。それは都会

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まゆ

まゆ

まゆ、さよならから始める歌はやめにしよう

まゆ、まだ整えていない

まゆ、整えられないほど薄いきみを手のひらに

まゆ、染められない身体に白は入らない

まゆ、眠そうな唇についた衣を

まゆ、それはエビのしっぽであることを

まゆ、眉、繭、強くならないと

ずっとはいられないってなんとなく

それが今日だってこともなんとなく

どちらにしてもあと少しで卒業の僕らだから

桜より前に散りた

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返せ

返せ

思い出を返せ

自由を返せ

感情を返せ

時間を返せ

かあちゃんを返せ

ばあちゃんを返せ

じいちゃんを返せ

とうちゃんを返せ

咲子を返せ

沖縄を返せ

海を返せ

領土を返せ

言葉を返せ

笑顔を返せ

北方領土を返せ

寒さを返せ

不便を返せ

尖閣を返せ

竹島を返せ

文化を返せ

歴史を返せ

故郷を返せ

愛を返せ

昼間を返せ

絵筆を返せ

唇を返せ

時計

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キキバンダウェイ

AIが作る綺麗な文では私の心は救われない

過去の記憶はもっと、もっと目の前で額を突き合わせてきて反省も謝罪の余地も与えない

そういうの、鬼哭啾々って言うらしいけど

掌の言葉で心臓を突きたい

比喩ってのは現実に、ずっと前にいつか誰かが経験したんだろうね

指の間から砂がこぼれ落ちるなんて、こんなに正しい表現はない

時間を表す砂時計とも関係があるのかな

どうして砂時計の器は壊れちゃったのか

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手を合わせることを祈りというなら

発想はぼうっとしたとき
つまり頭の中が空っぽになった時に出てくるものだと言うが、仏智はどうだ

酷く暗く暑く苦しく、明るくても全てに見られているようで苦しく、寒さは愛無く彩無く余計に苦しく切羽詰まった時。もう題目を唱える他ないほど苦しい時、言葉は降りてくる

祖父のような、いやもっと昔の人に見える白髪の男性がこう言った

「頑張れば報われる。その代わり頑張れよ」

最後の一文に父性を感じ私は涙が止

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超占事略决

私とは何なのだろうか。
広い畑をバイクで走り
黄金色の世界に包まれ答えは出る
三色でできた国旗は三色だけで意味を表す
色を変えると意味が変わる
私はその四角枠

それからあなたは長くおろした髪を一つに縛り
何もなかったようにしている

この美しく暗い道を

これからは一人で歩かなければならないのだ

一人で

どれだけ暗くても

毎日

一人で

毎日一人で

直視すれば過去の写真の渦に飲み込まれ

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八幡の山

八幡の山

木曜日

午前10時

自宅は2階にあるため周囲の畑や山、天気が悪くても富士山が見えるほどの見晴らし

開けていた窓からモンキチョウが入ってくる

荒れた左手の平で迎え入れる

晴れているため電灯をつけていないがその周りをゆったりと飛んでいる

とても初対面には見えないほど馴染む

寧ろずっとこのままで居たい程の景観

モンキチョウは新緑に澄んだ空気によく似合う

そもそもどうしてモンキチョウは入

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畳

信じてもらえないかもしれないけど
二人で会ってた一年半が人生の中で一番幸せな時だった。

いっそ時が止まってくれればいいと思ったけど、あのまま関係を続けていたらあなたが困ることになるのはわかってた。

だからわたしはあなたの前から姿を消したの

信じてもらえないかもしれないけど
俺もそう思ってた

二段目の引き出しの右側のタウンページの下のこと

二段目の引き出しの右側のタウンページの下のこと

太陽の贈り物

媚びへつらう見苦しさは私たちを守るため

朝6時でも5時でもなく4時に起床、ではなく家を出るのを知っている

平らな爪は常に力を入れてる証

その指は家を建てたり修理はできるがキーボードは打てない

ローマ字でサインも書けない

車好きだが好きな車には乗っていない

おしゃれなカレーっていうのは何でもかんでも入れればいいってものじゃない

あんまり話さないのは待っていてほしいから

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あまのがわりゅうせいぐん

あまのがわりゅうせいぐん

きょうはふるにおいがする

すぐわかるにおい
ごまかせない

何が?

そういうしつもんはひんがない

じぶんでかんがえなさい

生意気な事ばかり言いやがって
指一本で簡単に可笑しく成るくせに

そんなことされたらおかしくなっちゃう

可笑しく成っちゃう?

そんなこと言えてる内はまだまだ正常

本当に可笑しく成ったら可笑しく成っちゃうなんて言えないくらい可笑しく成っちゃうんだからそうなってから言

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時間がないの

時間がないの

身体だけ抱きしめて。

そうじゃないって
言ってることわかる?

「身体だけ」って

「ごめん」 とか
「好きだよ」とか
「愛してる」なんて要らないから

ミュンヘン会談みたいに宥和的にしてよ

100点のチェンバレンじゃないわよ

誰が一番近いかな
ドノバン?
デイミアン?
ブッカー?

アッバース朝のカリフはザーヒルだっけ
コエーリョの
ああ、わたしったら変なこと考えちゃった
頭ペシペシ
そう

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