プチ文壇バー 月に吠える

新宿ゴールデン街にある日本一敷居の低い文壇バーです。系列店「ひらづみ」は四谷三丁目にあ…

プチ文壇バー 月に吠える

新宿ゴールデン街にある日本一敷居の低い文壇バーです。系列店「ひらづみ」は四谷三丁目にあります。noteは店主でジャーナリストのコエヌマカズユキやスタッフ、インターン記者たちが執筆しています。

マガジン

  • インターン記者の記事

    月に吠えるのインターン記者たちが企画~取材・執筆まで手掛けた記事です。

  • スタッフコラム

    月に吠える(ゴールデン街店)のスタッフたちによるコラムです。

  • 新宿ゴールデン街 月に吠える日記

    新宿ゴールデン街「月に吠える」店主のコエヌマカズユキが、この街で経験した出来事や、出会った人々について描いたものです。事実をもとにしていますが、あくまでフィクションと認識のうえお読みください。

  • ヤクザ短歌

    2010年~2012年にかけて、一人のヤクザに密着取材をした記録を、短歌&エッセイでつづっています。事実をもとにしていますが、あくまでフィクションと認識のうえお読みください。

記事一覧

固定された記事

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【予約不要・どなたも歓迎】3月20日(水・祝)17時~新宿二丁目のバーで「創作」についてトークします!

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本を買うとき文庫本派?単行本派?アンケートを取ったら共感と発見ばかりだった

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世界チャンピオンから作家へ転身したボクサー、ホセ・トーレス プエルトリコの英雄と呼ばれた男の半生

 プロボクサーの”モンスター”こと井上尚弥による2階級・主要4団体での王座統一や、”神童”と呼ばれたキックボクサー・那須川天心の転向など、ボクシング界に注目が集ま…

全身小説家 ~作家・永沢光雄はいかに生き、死へ向かったか~

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プロローグ「ライターをするのならさ」

 30代後半の週刊誌記者は、酔いでややとろんとした目を僕に向けて言った。深夜2時、新宿ゴールデン街。2010年のことだった。フリーライターになったばかりで、当時30歳の僕に、この本は絶対に読んだ方がいいよ、と彼は著者名とタイトルを挙げていった。沢木耕太郎『深夜特急』、山際淳司『江夏の27球』、本田靖春『誘拐』など、知っていたり知らなかったりするノンフィクシ

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あなたの短歌が皇室で披露される?新年に開催される「歌会始」とは

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 見覚えのある方も多いのではないでしょうか。歌人の岡本真帆さんがSNSで発信すると、人々の関心を集め、瞬く間に「いいね!」が集まりました。SNSが普及した今、自分の思いを31字で気軽に発信できる表現方法として、改めて短歌に注目が集まっています。

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芥川龍之介『煙草と悪魔』から考える、耳への種の収納方法

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 朝の通勤電車、運よく座席に腰を下ろすことができた。昨日の睡眠不足を解消しようかと思ったが、次の駅でおばあさんが乗ってきたので、勇気を出して席を譲る。物珍しそうに筆者を観察しながら、「ありがとうねえ。優しい子だねえ」と目を細め、「お礼にこれをどうぞ」と筆者の手のひらに「何かの植物の種」を乗せた。

 突如として見知らぬおばあさんから「何かの植物の種」をもらった筆者。その場で振り払うわけにもいかず、

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【歌会やります】短歌初級者の方も大歓迎!ゲスト:歌人・三田三郎さん

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歌会とは? 歌会とは、参加者たちが自作の短歌を持ち寄り、感想を言い合う会のことです。ひらづみの歌会は、気軽に短歌に親しんでもらうことが目的なので、ゆるくて楽しい雰囲気を大事にしています。ゴリゴリと厳しく合評をし合いたい方にはあまり向かないかも……。その代わり、初級者の方や、歌会にハードルの高さを感じていた方にピッタリです。

 今回はゲストに歌人の三田三郎さんがお越しくださいます!

どなたも歓迎

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20歳、祝えど嗜めど ~第一回 お酒にまつわるエッセイ大賞 作品紹介~

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はじめに 2021年5月、「プチ文壇バー月に吠える」は「お酒にまつわるエッセイコンテスト」を開催しました。文字数は1200字以内で、お酒や酒場に関するエッセイであれば何でもOK。入賞者には、いつも利用している近所の酒屋さんから購入したお酒を商品として贈る、というものです。

 記憶に新しいかと思いますが、新型コロナウイルスが猛威を振るっていたころ、「密」「不要不急の外出」を避けるようにと国からお触

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カルチャー好きの方歓迎の麻雀交流会やります!

カルチャー好きの方歓迎の麻雀交流会やります!

 ブックバーひらづみ は本がコンセプトですが、「本という枠組みを超えた交流をしたい!」ということで、麻雀での交流イベントを行います。

 当たり前ですが、賭けはナシの健康麻雀。おひとり様&初参加の方も歓迎。ゆるく気楽な雰囲気でゲームを楽しみましょう。

 最低限のルールを知っていればOK。点数計算が怪しくても、麻雀ゲームの経験しかなくても全く問題ないので、気軽にご参加ください!

イベント詳細日時

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一生ものの文章力が身に付く。ライター・編集者志望から社会人まで役立つ文章講座【講師:姫野桂さん】

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\講師メッセージ/ライターの仕事はネタ出しから取材アポ入れ、取材、そして実際に執筆という流れです。取材力も重要ですが、今回の講座では文章力に着目してみます。どうしたらいろんな方に読んでもらえる文章力がつくのかお伝えします。

【講座の特徴】
01:文章力アップに繋がるノウハウ文章は書けば書くほどアップします。どうすれば早く文章力が身につくのかポイントを説明します。

02:的確な文章を書くにはどう

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【読書会】おススメの本を紹介し合いましょう(お題:エッセイ)

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「読書会」とは、本について参加者同士で意見・感想を交わす会です。今回は「ノンフィクション」の本を持ち寄り、一人ずつ紹介していく形式です。自分のおススメしたい本の魅力に「共感」してもらったり、ほかの方のオススメ本から「発見」「気づき」を得られたりする楽しさがあります。 

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よくわからないものが登場する小説3選

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 突然ですが、みなさんは最後に「?(はてな)」が残る小説はお好きでしょうか?

 例えば、ルイス・キャロル作「不思議の国のアリス」のチェシャ猫は物語の中で最高クラスにわけがわからないキャラクターですし、夢野久作の代表作「ドグラ・マグラ」は物語自体の正体がわからない作品です。

 筆者はこのような、明らかにならない存在が登場する物語に、妙な趣を感じてなりません。あれはなんだったのだろうと考えているう

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現代の絶滅危惧種?ある文芸評論家の”書生”をしていた青年の数奇な半生

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 「書生」をしていたという人に会った。この平成の世においてである。

 浪漫派の作家・泉鏡花は尾崎紅葉の書生をやっていた。私小説作家・藤澤淸造も斎藤隆夫という弁護士の書生であった。しかしそれらは明治の話である。

 そんな21世紀において絶滅危惧種である職業の経験者は、世希哲(せきさとる・筆名)さん、47歳。彼は某文芸評論家の書生を10年間やっていた。

君の住むところを確保しといたから 世希さん

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白塗りメイク、学生帽でライブ…アングラ文化を継承したバンド「フーテン族」の実態

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 アングラ演劇で知られる寺山修司の作品を彷彿とさせる、白塗りの妖艶なボーカル、それを取り巻く奇抜なメンバー。彼らは強烈なビジュアルと渋くて重厚なサウンドを兼ね備えているバンド、「フーテン族」だ。2024年2月には、「はっぴいえんど」や「裸のラリーズ」など伝説のロックバンドを輩出してきた渋谷B.Y.Gで初のワンマンを決行。

 数多のバンドが乱立する中、明らかに異彩を放っているフーテン族。彼らの独特

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【予約不要・どなたも歓迎】3月20日(水・祝)17時~新宿二丁目のバーで「創作」についてトークします!

【予約不要・どなたも歓迎】3月20日(水・祝)17時~新宿二丁目のバーで「創作」についてトークします!

 新宿二丁目のゲイバー「A Day In The Life」を拠点に、創作活動を行う「二丁目文芸部」という集まりがあります。

 基本的に誰でも参加OK。活動の一環として、部員たちで同人誌を制作。書きたいものを自由に書いてもいいし、お題に沿ったものを書いてもOK。部長で元編集者のあっきー★さんが、丁寧かつ親切に指導してくれます。
※二丁目文芸部の詳細は以下の記事をご覧ください

 このユニークな活

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本を買うとき文庫本派?単行本派?アンケートを取ったら共感と発見ばかりだった

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 筆者は断然、文庫本派だった。本屋へ行くと真っ先に文庫本コーナーに向かう。書店員の書いたポップを眺めつつ、惹かれた一冊を手に取る。背表紙のあらすじを読んで、「うん。やっぱり面白そう」。小さくて持ち運びしやすいし、価格も単行本に比べれば求めやすい。

 しかし、筆者は今、単行本派に傾こうとしている。きっかけは半年前に始めたバイトだ。今までのバイトより時給が高くて、筆者は貧乏大学生からプチリッチ大学生

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【読書会】おススメの本を紹介し合いましょう(お題:ノンフィクション)

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「読書会」とは、本について参加者同士で意見・感想を交わす会です。今回は「ノンフィクション」の本を持ち寄り、一人ずつ紹介していく形式です。自分のおススメしたい本の魅力に「共感」してもらったり、ほかの方のオススメ本から「発見」「気づき」を得られたりする楽しさがあります。 

大事にしているのは、ゆるくて楽しい雰囲気。激しい議論や知識マウントの取り合いは一切ありません。共通の趣味の人たちと交流しながら、

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ポアロ、ホームズ、金田一耕助……推理小説のような名探偵は本当にいるのか?現役の探偵に聞いてみた。

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 シャーロック・ホームズやエルキュール・ポアロ、金田一耕助など、物語の世界には数多くの名探偵が存在する。誰もが見落とすようなことに気づく着眼点で疑問を抱き、その推理力で瞬時に謎を解き、犯人を追いつめていく……そんな名探偵は実在するのだろうか? 疑問を解決すべく、取材を敢行した。

 協力いただいたのは、今まで数十社の探偵社の立ち上げを手掛け、自身も探偵事務所を運営するSさんだ。

ホームズのような

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世界チャンピオンから作家へ転身したボクサー、ホセ・トーレス プエルトリコの英雄と呼ばれた男の半生

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 プロボクサーの”モンスター”こと井上尚弥による2階級・主要4団体での王座統一や、”神童”と呼ばれたキックボクサー・那須川天心の転向など、ボクシング界に注目が集まっている。

 ボクシングに関する本と言えば、沢木耕太郎が悲運のボクサー・カシアス内藤の半生を描いた名著『一瞬の夏』や、百田尚樹がファイティング原田とライバルたちの激闘を描いた『黄金のバンタムを破った男』、マイク・タイソンによる自伝『真相

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