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旅した日のこと

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旅の記憶を辿って。
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#旅

風景をつくる人をつくる風景。

風景をつくる人をつくる風景。

自然、建築、標識、看板、信号、公園、路上、そして、道ゆく人々 --。

はじめてのまちを巡るとき、意識的に、あるいは無意識のうちに、この辺りについてをよく観察するようになった。その場に身を投じたときに、感覚的に惹かれるものごとが、私自身が「いい」と感じる風景だから。

何を基準にして「いい」と感じるか、その比較対象はいつだって地元。いや、正確にはいつの間にか地元になっていた。もっとこんな風景が見れ

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それでもわたしは「旅」をしたい。

それでもわたしは「旅」をしたい。

地元・亀岡でコミュニティ・ツーリズム(Community-based Tourism)の基盤づくりを進めている私たちにとっても、厳しい状況であることは変わりないのだけれど、いまは先を見据えて動いていくしかありません。

むしろ、この状況下で提供できる「旅」の要素を洗い出してプログラム化し、現地を訪れなければ得られない「体験」や「出会い」へとつなげていくことが、この1年で取り組んでいくべきことなのだ

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見えない旅路。

見えない旅路。

その向こうに「なに」かあっても、「なに」がなくても、いい。
「なに」は、得ようとして得られるようなものではない。

まだ見ぬどこかへ飛び出して、いつもの生活に戻ったとき、はじめて自分の身体を纏う「なに」かに気づく。

それは、どこかの日常からわたしの日常へ、まるでタイムトラベルをしたかのような記憶の中に、この肌のまわりに、確かに存在している「なに」か。

その正体は、あなただけが知っている。
あな

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山にかかる靄を見て。

山にかかる靄を見て。

地元にも「文化」があることを知ったのは、旅に出てからのことだった。

まるで絵本の世界に迷い込んだような古い街並みに、かつてあった人々の生活を垣間見ることができる歴史的遺産。きれいなものもあれば、目を背けたくなるものもある。

いろんな過去を受け入れたうえで、その土地の「今」というものがあるのだとしたら、その歴史への向き合い方も含めて、人々が育んできた「文化」なんだと、わたしは思う。

それまでの

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窓の向こうに見えた世界。

窓の向こうに見えた世界。

窓の向こうに見えた世界。

確かに見ていたはずの風景も、結局 “向こう側” でしかなくて。その距離にまた、歯がゆさを感じてしまう。

いつになったら、そちらへ行けるのだろうか。
そちらへ行ける日など、来るのだろうか。

焦がれているだけじゃ、その距離は1mmも縮まらない。

何度も諦めそうになったけれど、憧れを、憧れのままで終わらせることなど、できるはずもないんだから。

窓の向こうに見えた世界。

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旅の準備をはじめる頃。

旅の準備をはじめる頃。

普段の生活のなかでふと、『どこでもない場所』へ行きたくなる時がわたしにはある。

その理由を、わたしもずっと探してみてはいたのだけれど、ほぼ日で新しくはじまった連載『ネパールでぼくらは。』の#1につづられている、鴨さんのこのことばに尽きるような気がする。

“けれども旅に出れば必ず、僕は僕でなくなる瞬間に出会う。

自分自身がまとっている、生きるための癖のような何かがまるで通用しなくなり、むき

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土地で育まれる「感性」を訪ねて。

土地で育まれる「感性」を訪ねて。

こころの拠り所とつぎの仕事のヒントを得るために、それらを見つける旅に出る。

今回は、これまでやってきたような【町並みを眺めて暮らしを観察する旅】からすこし、旅の仕方が変わってきたように感じられる滞在だった。なるべく土地の方とお話をしながら、というのは変わらないけれど、よりその土地や文化を理解しようとしたり、わたしが次にやりたいことへのイメージをふくらませたり。

わたしが思い描く【旅】のアテンド

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フィンランドで食べたシナモンロール。

フィンランドで食べたシナモンロール。

ここのところ一段と、朝と夜の空気が冷たくなってきた。

11月頃から昼と夜の寒暖差が大きくなると地元には霧が立ち込めるのですが、最近は朝起きるとすでに外は真っ白で、今年もいよいよこの季節がやってきたんだなぁと窓越しに感じています。

でも、寒いのって案外嫌いじゃないかも。

お芋や栗がおいしいし、山の風景は次第ににぎやかになっていくし、何よりもお気に入りのコートを着てお出かけができる。

もう少し

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たくさんのパワーをもらって。

たくさんのパワーをもらって。

あっという間に元の生活へ。

ネットが普段通り使えるようになった瞬間、いろんなチャットから仕事に関する情報が流れてくる。取り急ぎ返信をするものはないけれど、余裕があるうちに返しておこうかな。

ネット環境さえあればどこでも仕事ができるようになった便利さはあるけれど、改めてメリハリも必要だなぁと感じた旅でした。

脳みそが上手にリフレッシュできたから、今度はまた思いっきり働きたくなってきた。帰路につ

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ことばが通じなくたって。

ことばが通じなくたって。

どんな場所でも、3日ほど歩きまわれば慣れてくるものだと思う。

(なんて言いながらもGoogleマップさまさまだけど)地下鉄は1日乗車券でだいたいのところへ行けるし、初心者にはむずかしいと書いてあったバスも無事に乗れている。

英語のメニューがなくたって、ことばが通じなくたって、地元の人たちが集まるお店はおいしいことを知ってるし、そういうお店はだいたいメインストリートから2,3本入ったところにある

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にんにくの洗礼を受ける。

にんにくの洗礼を受ける。

あぁ、たのしい。知らないまちを歩くのってこんなにたのしかったっけ。

だいたいの地図をあたまに入れて、あとは好きなほうに向かって歩くだけ。

気心の知れた友人と大学ぶりの2人旅。これはもう、なにが起こっても、むしろなにも起こらなくてもおもしろい。

現地の友人に教えてもらったオススメの海鮮鍋屋さんは、店のおばあちゃんがスプーンいっぱいにんにくを入れてくれたものだから、歯磨きするまで口のなかはずっと

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雑多のなかへ。

雑多のなかへ。

きれいに整えられたもの、余分を取り除いたもの、広大な風景、どれも好きなのだけど、時々ごちゃ混ぜのなかに埋もれたくなる。

なにも考えずに、無意識のまま街を歩く。よくもわるくも受け身でいられる雑多な空間。

雑多のなかへ飛び込むときは、なるべく日本語が通じないところがいいと思っている。自分のなかにぐっと「ことば」を閉じこめて、伝わらないもどかしさをたのしみたい。

そういうときは「ことば」じゃなくて

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窓辺に映る、あの日の孤独を。

窓辺に映る、あの日の孤独を。

旅先で生まれていく「わたし」だけの物語。

その物語は、わたしに「つよさ」と「しなやかさ」を与えてくれる。

どんな環境でもたのしめる「つよさ」。
どんな状況でも動じない「しなやかさ」。

このふたつが灯台となり、どんな暗闇をも照らしてくれる。

この物語を知っているのは、世界中で「わたし」だけ。
お父さんも、お母さんも、仲のいいともだちも知らない。

眠れない夜に、そっと開いて大事に読んでいる。

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憧れの景色。

憧れの景色。

3月の雪国でソフトクリームを食べる。

窓の外に雪が積もっていようと、Brynjaに集うアークレイリっ子には関係ない。ここにはただ、ソフトクリームを愛する者だけが集まる。

そういえば、わたしはこの「アイスランド」という国で「憧れの景色」をたくさん見つけたんだっけ。これまで、なにかに強く憧れることはあまりなかったけれど、そこにある暮らしがとても魅力的だった。

・毛糸の帽子をかぶって雪を眺めながら

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