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うつ闘病記 ~~2019年3月から12月まで~~

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ある日突然発症したうつ病の記録。初期(2019年)の体験をまとめました。
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激動の年となった2019年の大晦日 ◇うつ闘病記 その11◇

激動の年となった2019年の大晦日 ◇うつ闘病記 その11◇

2019年3月にうつ病を発症してから心身共に八方塞がりの苦しい日々を過ごす中、5年を共に過ごしたパートナーとうまくいかなくなり、年末に別れてしまった。

うつ病とはこれほど人生に影響を与えるものなのかと愕然とし、それ以降、相手に対する罪悪感、挫折感、未来への恐怖に苛まれる日々が長く続くこととなる。

なだらかな丘が突如として険しい山へと変貌し、その頂上から自分がゴロゴロと音を立てて転がり落ちていく

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ワイングラスにさよならを ◇うつ闘病記 その10◇

ワイングラスにさよならを ◇うつ闘病記 その10◇

毎日のように食べ続けたプリンとは反対に、どうしても受けつけなくなった嗜好品はアルコールだった。
うつを発症した時点でアルコールは匂いを嗅ぐのも、見るのも嫌になり、ほぼ毎晩飲んでいたワインやビールが遠い存在になった。

◆◆◆

相変わらず不眠に苦しむ日々が続き、寝る時間が来るのが怖かったが、寝酒を飲もうとは思わなかった。そして、今後、うつ病が改善したとしても、飲酒はきっぱりやめることにした。
再び

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なめらかプリンに守られて ◇うつ闘病記 その9◇ 

なめらかプリンに守られて ◇うつ闘病記 その9◇ 

2019年3月にうつ病を発症し、それまで通りに仕事を続けられなくなって、5月頃から3か月間、10時から16時までの時短勤務にしてもらった。

給料が減り、通院費用など諸々お金がかかるため、節約のために小さなお握り2つ、ソーセージ2本、ゆで卵1つ、バナナ半分をタッパーに入れて持って行っていたが、相変わらず食べ物がほとんど喉を通らない。

薬を飲むために無理に少し食べて、抗不安薬や漢方薬の入った袋をガ

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ミッドライフクライシスの到来 ◇うつ闘病記 その8◇

ミッドライフクライシスの到来 ◇うつ闘病記 その8◇

眠れない日は続いた。
やがて自分が急激に老けこんだような気持ちが心を浸食してきた。
2019年当時、44歳。
中年の危機、ミッドライフクライシスの到来である。

自分の過去を猛烈に後悔し、現在を嘆き、未来への不安に苛まれるようになった。

◆◆◆

自分の20代を思い出し、職場の若い社員たちが成長していく姿を見るのがつらくなった。
大学卒業後、就職活動をする勇気がなかった私は無職となった。
理由は

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走ると決心→挫折、の繰り返し ◇うつ闘病記 その7◇

走ると決心→挫折、の繰り返し ◇うつ闘病記 その7◇

2019年春にうつを発症し、その後まもなく3か月は10時から16時までの時短勤務にしてもらったが、思い返せばこの期間、やたらと動こうとしていた。

会社は休養をとって早く元気になるようにと時短にしてくれているのに、じっとしていると不安という怪物に羽交い絞めにされているようで、そこから抜け出そうと必死になっていた。

ヨガ教室は1度しか行けずに終わったので、会社の昼休みにウォーキングをすることにした

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ヨガ教室で泣いた日 ◇うつ闘病記 その6◇

ヨガ教室で泣いた日 ◇うつ闘病記 その6◇

時短勤務になり、17時には帰宅するようになったが、早く帰れて時間ができたからといって、心が休まるわけではなかった。
家で布団をかぶって寝ていても、時間の流れがあまりに遅く、それはそれでつらい。

◆◆◆

活字を読むのはきつかったが、うつ改善法を探す時は別だった。血まなこになってスマホで探していると、ヨガで回復した人の体験談を見つけた。

発症前、毎週日曜日にヨガ教室に通っていた。私が受けていた初

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仕事はどうする? ◇うつ闘病記 その5◇

仕事はどうする? ◇うつ闘病記 その5◇

人事部に相談したところ、状況を理解してくれて、休職の話が出た。
たしかにこの状態では、しばらく休むに越したことはない。
電車に乗っていても、会社にいても、不安と恐怖でいてもたってもいられない状態なのだから。

とはいえ、休職には強いためらいがあった。当時(2019年春)の私は契約社員として働いており、翌年に正社員登用のチャンスを控えていた。

この大事な時期に休職したら、どうなる?
どれぐらいの期

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次々と表れる諸症状 ◇うつ闘病記 その4◇

次々と表れる諸症状 ◇うつ闘病記 その4◇

睡眠導入剤を飲んでもほとんど眠れない日が続く中、さまざまな症状が出始めた。

食欲不振と食欲過多。

激しい動悸。

手足の強いしびれ。

頭の血管がドクドクと脈打つ。

背中がバリバリに張る。

喉に何かつまったような異物感。

左耳だけ突発的に聴こえなくなる。

◆◆◆

自律神経が乱れに乱れまくって、体じゅうのあらゆる場所から悲鳴が上がってきた。

子どもの頃から食欲旺盛な私にとって、食べ物

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「睡眠不足気味」から「睡眠障害」へ         ◇うつ闘病記 その3◇

「睡眠不足気味」から「睡眠障害」へ         ◇うつ闘病記 その3◇

うつ病になった原因はやはり、身体的疲労と不調を放置していたこと、そして何よりも、睡眠を軽んじていたことだと思う。

当時は特に深刻な精神的ストレスや悩みを抱えていたわけではなく、それなりに平和に生活していたが、寝つきが良くなかったり、やりたいことがいろいろあったりして、毎日の睡眠時間は5時間ぐらいだった。  

ショートスリーパーの人もいるし、5時間寝ていれば大丈夫だろうと、たかをくくっていたが、

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病院を駆け巡る日々 ◇うつ闘病記 その2◇

病院を駆け巡る日々 ◇うつ闘病記 その2◇

それまで数年にわたり睡眠不足気味で、めまいや立ちくらみの症状があった。とはいえ、生活に支障が出るほどではなかったし、40代ともなればこれぐらいは普通のことと軽く考え、放置していた。
それが異変の原因なのだろうか?
一刻も早く治りたくて、あちこちの病院に駆け込む日々が始まった。

◆◆◆

更年期の症状が出始めたのかもしれないと思い、まずは婦人科へ。
ベテランの男性医師が言う。
「いやぁ、まだ更年期

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緊急事態発生 ◇うつ闘病記 その1◇

緊急事態発生 ◇うつ闘病記 その1◇

2019年3月のある金曜日。その日を境に私の人生は思いもよらぬ方向へ進んでいくことになった。

仕事帰りに自宅の最寄り駅近くで夕飯を食べて帰ることにした。お店に入り、注文する。週末の解放感に浸りながらビールを飲み、運ばれてきた料理に手をつけ始める。

が、明らかにいつもと違う。得体のしれない不安が押し寄せてくる。
何、この感じ?
落ちつけ、落ちつけ。
自分に言い聞かせながら、ゆっくり店内を見回す。

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