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戦略的モラトリアム【大学生活編】(43)
「ごめん、行けそうにないわ……」
弱々しい声、それは電話口の向こう側から。
指導教官の声。それはとてもゆっくりと、そして申し訳なさそうな気持ちが電話口から零れ落ちそうな声で。
ぎっくり腰で起き上がれない。
指導教官に思いもよらぬ災難が降りかかったってわけだ。しかも、それはそのまま自分への災難となって頭から降りかかった。
授業どうする?
給食どうする?
学活どうする?
教頭と数名の先生が職員
戦略的モラトリアム【大学生活編】(42)
深夜まで実家の自分の部屋に閉じこもり4畳半のスペースいっぱいに熱情を滾らせる。教育実習中の自分には当たり前のことと思われれそうだが、自分の中では革命めいた心境の変化に驚いていた。いや、根っこのトコロは何も変わってはいない。
「目のモノ見せてやる」
そんな反骨精神と安っぽいプライドだけが自分の中に地味に深く食い込んでいた。
「まずは要点をまとめて、unitのテーマを明確にして
……解説と練習、
あの日から13年。そして今の大熊町
空間線量が高いため、いまだに立ち入り制限がかけられている場所がある。私は許可をもらい、そこを覗いてきた。
2011年3月11日
あの忌々しい日が至る所からその姿を出す。
11日は卒業式で金曜日。翌週の予定が書きこまれている。
荒れ果てた校庭に朽ち果てたゴールポストがひょっこりと顔を出している。もはやグラウンドの面影はない。ただ、雑草の枯れ草で時間という毛布をかぶった様子。
2024年2月に初
戦略的モラトリアム【大学生活編】(41)
朝8時。田園のど真ん中をチャリンコでどんどん進む。
職員室を挨拶して回り、教室に入る。自分は1学年のクラス。まだ小学生らしさが抜けない数人が教室内を走り回る。
「おはようございます」
そこら中から掛け声のようにこだまする。担任の先生が自分を紹介し、手短な挨拶を終える。
まったくもって心のこもっていない挨拶だ。自分ではっきりと分かるんだ。心にもない言葉を並べて、それなりに振舞っている自分はとても
4年間。すれ違いのままで
自分は大学一年から進学塾で働いていた。スーツで学校に行き、そのまま仕事に向かう毎日。アルバイトとはいうものの、それなりに真面目に働いていた。
教職課程
教員を目指す学生はこれを履修する。大学生活を半分捨ているようなものだ。人よりもたくさんの授業を受け、専門的な知識を詰め込み、大学4年次の教育実習に向かう。
そこに一人飛び切り明るい女の子がいた。
英語の教員を目指す女子大生。
かわいらしく無邪気に
VINTAGE【スーさん、ネギを語る】㉗
大学生は常に倹約を心掛けるものである。とはいうものの、Vintage通いはやめられないのだが。
食事に行くというよりも、豊かな時間を過ごすための費用だと最近は考えるようにしている。大学4年ともなると、3食のうち1食ぐらいは自炊するものだ。そこでいつも悩むのが『ネギ』である。
緑の部分でもなく、根の部分でもない間の部分……
納豆に入れるには肉厚があり、みそ汁に入れるにも少し躊躇う。
包丁を入れたと
あの夏、いちばん静かな海(1991)
北野映画の転換点の映画。それまでの過激なまでの暴力性から、自分の心の奥を突っついてくる。
耳の聞こえない主人公。ゆえに台詞がない。
真木蔵人の若かりし日の非凡な才能の片鱗が見える。
そして幸せにたどり着かない、どこかもどかしいストーリー
そして、どうなったのかすべては読者の心に判断を委ねる結末。
皆さんも是非見ていただきたい作品になっています。
後にも先にもこんな映画は見たことがない。
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