マガジンのカバー画像

大学改革

88
運営しているクリエイター

#大学広報

大学のスタンスが見えてくる?実践女子学園のサイトからひもとく、周年記念サイトに込められたメッセージ

大学のスタンスが見えてくる?実践女子学園のサイトからひもとく、周年記念サイトに込められたメッセージ

50周年、100周年、125周年など、大学が大きな節目を迎えるときに、よく周年記念サイトが立ち上げられます。この周年記念サイト、のぞくとその大学が何を大切にしているかが伝わってくるので、大学を知るうえで実はすごく有効なツールだと思うんですね。今回、実践女子学園の創立125周年記念サイトを見て、あらためてそんなことを感じました。

「125th Anniversary for Future」を伝える

もっとみる
全学とキャンパス、複数ブランド化で相乗効果をねらう。立命館の新拠点誕生に見る重層的なアプローチ

全学とキャンパス、複数ブランド化で相乗効果をねらう。立命館の新拠点誕生に見る重層的なアプローチ

大学のブランディング活動を、ものすごく平たく言ってしまうと、その大学がこれまで積み重ねてきたことと、これからやろうとすることを、ターゲットに最も伝わる表現で伝え、浸透させていく営みのように思います。今回、見つけた立命館大学の取り組みは、まさにこれに当たるのですが、他とはちょっと違うんですね。こういった重層的な手法をとれると、より深く、説得力のあるかたちで、社会に大学の価値を伝えられるのかもしれませ

もっとみる
ブランドメッセージを誰にどう伝える?東京工芸大の取り組みを機に考える、大学ブランディングの4つのアプローチ

ブランドメッセージを誰にどう伝える?東京工芸大の取り組みを機に考える、大学ブランディングの4つのアプローチ

新型コロナが5類になり落ち着きを見せたと思ったら、次は生成AIが社会を揺るがす大きなトピックとしてあらわれました。近年、立て続けに、大学や大学教育とは何かを問い直す出来事が続いています。こういったタイミングだからこそ、自分たち大学が何者であり、何をめざすのかといったことを、あらためて考え、具体化していく必要があるのかもしれません。

今回、見つけた東京工芸大学の「ブランドタグライン」と「ブランドス

もっとみる
大学組織をしなやかに鍛える確かな方法。大学のアイデンティティを社会に発信する活動の意味と効能を考える

大学組織をしなやかに鍛える確かな方法。大学のアイデンティティを社会に発信する活動の意味と効能を考える

大学が社会に向けて発信するテーマを、誤解を恐れずに大別してしまうと、研究活動、教育活動、そして大学のアイデンティティに関わる内容のように思います。前者2つと比べると、最後の1つはそこまで重要ではないのでは?と、以前は思っていたのですが、いろいろと考えるなか、少なくともこの3つは同じぐらいに重要だと思うに至りました。今回、東洋大学の特別展のプレスリリースを見て、あらためてそんなことを考えましたので、

もっとみる
愛校心の強化から創造へ。近畿大学の同窓会コミュニティ支援から考える、これからのホームカミングデイの役割

愛校心の強化から創造へ。近畿大学の同窓会コミュニティ支援から考える、これからのホームカミングデイの役割

大学の秋の風物詩といえば、やっぱり学園祭?いえいえ、それもありますが、もう一つあります。そうホームカミングデイです。卒業生たちが大学に訪れるこのイベント、なんで秋に多いんでしょうね。やっぱり気候がいいからでしょうか。今回、近畿大学のホームカミングデイを伝えるプレスリリースを見つけて、ここまでやるのかと驚いてしまいました。卒業生とのつながりづくりは、大学にとってやはり重要トピックなようです。

まる

もっとみる
限られた私立学校法人のみに与えられたアドバンテージ。長期的な一貫教育をどう捉え、どう活かすのか。

限られた私立学校法人のみに与えられたアドバンテージ。長期的な一貫教育をどう捉え、どう活かすのか。

小中高大、場合によっては幼稚園や大学院までを含めた長期的な一貫教育が行えるというのは、限られた私立学校法人にしかできない大きな強みです。学校法人聖学院は、この長期的な一貫教育を伝える新たな取り組みをはじめたようです。聖学院のリリースを見てあらためて思ったのですが、一貫教育の価値をどうアピールするのかって、実はこの先けっこう大事になってくるのかもしれませんね。

組織ごとに異なる一貫教育の価値をどこ

もっとみる
成功の鍵は”しっくり感”!? 日本女子大のリリースから考える、誰にどう伝えるとブランディングは動き出すのか

成功の鍵は”しっくり感”!? 日本女子大のリリースから考える、誰にどう伝えるとブランディングは動き出すのか

大学だけではないのですが、組織の在り方を印象的に伝え、ブランディングに寄与するものとして、タグラインというものがあります。タグライン?という方は、よく大学名や会社名のロゴタイプの上や下についている、アレというとピンとくるかもしれません。

今回、日本女子大学が創立120周年を記念して新たなタグラインと、その意味内容を伝えるステーツメントをつくったようです。タグラインの内容もそうですが、リリースの出

もっとみる
“興味がある人軸”から“興味をもって欲しい人軸”へ。視点を変えないとはじまらない、超少子化時代の入試広報。

“興味がある人軸”から“興味をもって欲しい人軸”へ。視点を変えないとはじまらない、超少子化時代の入試広報。

大学や短大の募集停止のニュースを見る機会も増え、18歳人口減少による「大学、冬の時代」の到来が“少し先の未来”から“いま”に変わりつつあることを、肌感覚で理解できるようになってきました。こういった状況もあり、どの大学も入試広報に必死だと思うのですが、そもそも入試広報に力を入れるって、どういうことを指すんでしょう?流通経済大学が新たに開設した高校生向けウェブサイトを見て、頑張る方向性にとても共感が持

もっとみる
”ジョブ型雇用に対応する”新コース開設告知から考える。広く曖昧なテーマを強く打ち出すことの危うさと難しさ。

”ジョブ型雇用に対応する”新コース開設告知から考える。広く曖昧なテーマを強く打ち出すことの危うさと難しさ。

研究者育成に特化した一部の大学をのぞけば、ほとんどの大学は社会や就職を意識して学生の教育にあたっているように思います。今回、見つけた多摩大学経営情報学部に新設される2コースも、この視点が色濃く出たコースです。ただ、これら新コースの売り文句にある「『ジョブ型雇用』に対応する2コース」というのが、めずらしい視点であるとともに、なんとも考えさせられるフレーズだと思い、今回はこれを取り上げることにしました

もっとみる
伝えるべきは、学問との”壁打ち”の意味と価値。人文・社会科学を、これからの社会に広げるには何が必要かを考える。

伝えるべきは、学問との”壁打ち”の意味と価値。人文・社会科学を、これからの社会に広げるには何が必要かを考える。

仕事を通じて、よく大学の研究広報のお手伝いをさせてもらうのですが、そのなかで、人文・社会科学の学術知の魅力や可能性をどう伝えるか、みたいなことがテーマとして挙がることがあります。これといって明確な答えはないのですが、今回は備忘録も兼ねて、このテーマについて現段階での考えをまとめてみようと思います。なお、人文・社会科学の魅力というと、言い出すとほんとキリがないので、今回は、社会にとって、もっと具体的

もっとみる
制度でも、プログラムでもない?旺盛な商品開発という近畿大学の風土は、これからの大学個性化のヒントになるか。

制度でも、プログラムでもない?旺盛な商品開発という近畿大学の風土は、これからの大学個性化のヒントになるか。

大学広報課の職員さんなら、だいたいがブックマークに入れていそうなサイトに「大学プレスセンター」があります。これは大学に特化したプレスリリース配信サイトで、私も毎日のぞいているんですが、なんか最近、近畿大学の商品開発のプレスリリースがすごく多いんですよね。

1月に配信されたもののみをピックアップしてみても、なんと6件もあります。おそらく秋学期がもうすぐ終わるので、学生が関わる商品開発については成果

もっとみる
大学職員像を改革する、明治大学の職員採用サイトがヤンチャ過ぎて面白い。

大学職員像を改革する、明治大学の職員採用サイトがヤンチャ過ぎて面白い。

年末にオープンしたのを見て、ぜひ紹介したいと思いつつ他の記事をあれこれ書いていたら結局、1月も終わりになってしまいました。やろうと思ったらすぐに手を付けないと、こういうことになるんですよね…。と、何のことかよくわからない反省から書き出してみたのですが、今回、取り上げたいのは、明治大学の職員採用サイトです。このサイト、ものすごくヤンチャなのです。

サイトのトップページのモーショングラフィックがグリ

もっとみる
年末年始だし考えてみた。伝える、よりも大事な大学広報の役割と視点。

年末年始だし考えてみた。伝える、よりも大事な大学広報の役割と視点。

あけましておめでとうございます。年末年始に仕事内容を整理していて、自分のなかでの大学広報に対する考え方が、ここ数年で大きく変わってきたなと、あらためて感じました。また数年たてば戻ったり、違う考えになったりしているかもしれないのですが、記録の意味も兼ねて、現段階での大学広報に対する考えをまとめてみようと思います。

伝えるだけではない、広報の仕事もともと私は、広告関連のライティングや編集の仕事に携わ

もっとみる
先行きが見えない今だからこそ、受験生には“大学さん(=学長)”との対話が必要なのではないかという話。

先行きが見えない今だからこそ、受験生には“大学さん(=学長)”との対話が必要なのではないかという話。

各大学の入試広報は、常に受験生に自大学の魅力を伝えようと試行錯誤しながら取り組んでいます。とくに今年は、コロナ禍ということもあり、どの大学もさらに工夫を凝らしており、その多様なアプローチは見ていると興味深いです。今日、開催された上智大学の受験生向けオンラインイベントも、まさにそんな工夫あるアプローチの一つ。個人的にはこういうイベントがもっと増えたらいいのになと強く思います。

では、いったいどんな

もっとみる