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#244 「日本の管理職」が日本社会のボトルネック!?

「企業組織の変革に関する研究会」というのが西村経済再生担当大臣主催で開かれています。ちょっと資料を覗いたらいろいろと衝撃的なデータがあったので、メモ。


1、「企業組織の変化に関する研究会」とは?

この研究会は、経済再生担当西村大臣が主催するもので、日本の経済や企業組織に危機感を持つ若手の議員や民間の方が集まって10月に取りまとめた報告書(プロジェクトT)が契機となっているそうです。

同報告書は、日本の企業組織全体のスピード感のなさ、意思決定の遅さに危機感を持ち、多様な人材を登用し活躍の機会を与えることで組織の変革をすべきであるとした内容です。

その内容を踏まえ、日本の組織、経済全体を変えていく議論をする、という大きなテーマをもった研究会です。

第1回が昨年12月22日に、第2回が今年の3月3日に行われ、参考資料などがHPで公開されています。


2、「日本社会のボトルネック」

第2回の研究会で、早稲田大学政治経済学術院大湾秀雄教授がお話しされた日本社会のボトルネックを解消し、若い世代の登用でより活力のある社会創生をと題する資料が公開されています。

非常に面白かったのでご興味があればご一読を(スライド全23枚と手軽に読める分量です)と思いますが、その中から、いくつか「日本社会のボトルネック」に関してのデータをご紹介します。

☑️「管理職登用はますます遅れている」

まず、厚生労働省の賃金構造基本統計調査を元に作成された、年齢階級ごとの課長比率です。若くして管理職に登用される割合が年々減っていることがわかります。

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なお、この研究会のきっかけとなった「プロジェクトT」の資料に、国別の管理職(課長、部長)への昇進年齢の比較がありましたのでご紹介します。
課長で5〜10歳、部長で7〜15歳、遅くなっていることがわかります。圧倒的な差ですね…

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☑️「中間管理職の指導力」

とはいえ、大事なのは「能力」です。年齢が高いので当然指導力は高いでしょう、と思いきや、主要31カ国との比較では圧倒的な指導力不足が明らかに…
管理職で、「他人の業務計画」、「説得や感化」ができなきゃダメでしょう…
しかも、「自分の業務計画」も弱いって、一体…

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☑️ 「年功制」は遅い昇進とのトレードオフの制度

日本の雇用の大きな特徴である終身雇用、年功序列についての分析です。「我慢して長くいれば、定年まで安心だよ」という制度ということです。
「あの課長、何もしないのになんで給料高いんだよ」というのは、この図で説明できます…

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なお、また「プロジェクトT」の資料からなのですが、従業員の平均年齢の推移をご紹介します。年々高くなっているのがわかります。

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これら資料を読んだ個人的な感想は、終身雇用、年功序列が形作られた頃の人口構成や経済状況を考えると、若い会社が多く、従業員も若手中心だったので、将来の給料を高くすることの見返りに今を安くする、というのは企業戦略上合理性はあったかもしれません。なぜ若手が納得したかといえば、経済全体が成長していたので、給料も毎年実感できるぐらい上がっていた、ということがあります。

ところが、平均年齢が高くなると、それが逆回転し始めるのです。加えて、増えた中高年に与えるポストもなく、どんどん管理職登用のタイミングがズレる…というわけです。

全てがキレイに数字で裏付けられています。


2、まとめ(所感)

いかがでしたでしょうか?

40代のザ中間管理職としては痛すぎるデータの数々でした。

一言でまとめると、「今の管理職が日本社会のボトルネックだ」という主張です。

その通り、と思えるデータです。

一方で、日本は法令上「解雇コスト」が高いという問題もあります。これを解決しないと(もちろんこれだけではないのですが)流行りの「ジョブ型」採用しても、「不良債権化」した人材が社内に沈澱していくことになりかねません。しかし、そのような人材のコストを負担できるほど企業に余裕はありません。結果、「わかっちゃいるけど、今のままで様子見」というのが本当のところでしょう。

でも、何かいい解決策を考えないと、これから就職を考える人は平均年齢40歳を超えた「おじさんの会社」に入ろうとは思わないでしょう。

「茹でガエル」ならぬ「茹でおじさんの会社」に…

いや、不適切な表現ですね。訂正してお詫びします。
書いている人も「おじさん」ということでお許しください。

でも、個人的にはそれくらい、強い危機感を覚えました。


最後までお読みいただきありがとうございました。

お読みいただく方の立場、年齢で全く感じ方が違うかな、というデータのご紹介でしたが、何か参考になるところがあれば嬉しいです。

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