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創造の深淵からこんにちは

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色々な詩や短編小説などです。
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2019年2月の記事一覧

桜涙のつま先濡らし

桜涙のつま先濡らし

これ以上は聞かないで。

そう言って、

きみは

結界のように自分のまわりを涙で濡らす。

これ以上は近寄らないで。

そう言って、

きみは

またぼくの前から散ろうとする。

ぼくは、

いつも背伸びをして

きみの姿をとらえていたい。

雨の日は、

気がつくと靴が中まで濡れている。

桜涙のつま先濡らし。
#雨 #桜 #詩 #ポエム #春 #短編

確認のバス停。

確認のバス停。

仕事が終わり駅からバスに乗る。

はじまりのバス停。

3つめのバス停、大きなウィンドウガラスの前で、弾ける若さを存分に楽しみ、踊り集う者たちの確認。今日は人数が少ない。

5つめのバス停、暗闇に鎮まりかえった白い階段を見つめる。誰もいないお寺の入り口。柳の枝がほんの少し揺れている。

7つめのバス停、小さなお店の中は煌々とした明かりが灯っている。大きな観葉植物の葉っぱが美しく映える優しいアイボリ

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ココロとまるカラダうごく

ココロとまるカラダうごく

カラダとまるココロうごく

ココロとまるカラダうごく

カラダとまるココロとまる

ココロうごくカラダうごく

アタマはみてるみてるみてない

とまるうごくみてる

とまるうごくみてる

とまるとまるみてる

うごくうごくみてる

とまるうごくみてない

とまるうごくみてない

とまるとまるみてない

うごくうごくみてない

さて、

どれがセイで

どれがシか。
#詩 #短編 #セイシ

№33.紫金色の空

№33.紫金色の空

このできあがった色を見てごらん。

どちらもまざりあったこの色を。

これはうずをなし、下へ下へとおりている。

こちらからみていると、おりて見えるね。

しかし、あちらからは

上へ上へとのぼっている。

そのように見えるんだよ。

では

そのまんなかに立ってごらん。

そうそうちょうどそこらへん。

ほら、感じるだろう。

ここがちょうどぐあいのよいところ。

すべてがまざりあった色の

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真実の庭。

真実の庭。

信じこんだ嘘が、真実になる。

この瞬間の繰り返しで、日常は成り立っている。

そんなことはもうみんなわかりきっているから、

どんな嘘を真実にしようかと、

嘘が並べられたデパートでお買い物。

嘘が真実になる。

じゃあ、真実は売られていないの?

真実は売られていない。

真実は創り出すものだから。

真の実になる瞬間のことだから。

それが、人間という果実。

それぞれ違った人間という果実

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月と虹色の龍が名前をもらった日 (創作小説)

月と虹色の龍が名前をもらった日 (創作小説)

ある夜のことでした。

そうくんはお母さんと夜空を眺めていました。

お母さんは言いました。

「今日のお月さまはとっても綺麗だね。ほら、あの雲をみてごらん。なんだか龍のようだね。」

「うん。お月さまの光があたって虹色のドラゴンみたいだ!」

そうくんは、嬉しそうに言いました。

その夜、そうくんは暖かいお布団で眠りにつきました。そして、夢をみました。



えーん。

えーん。

あれれ?誰

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蕚  utena

蕚 utena

不思議なものですね、あなたさまがそのようにお思いになるなんて。いつもなら、それでもまた繰り返し繰り返し、その光る銀の糸をたらしておやりになるのでしょう?

ほら、御覧くださいませ。
潸潸たるあのこもごも蠢く光景を。わたくしに至っては、そのようなお立場ではまず御座いませんから、これでもめっぽう困惑しているのですよ。

いえ、あなたさまがそのようにお思いになることは、少しも可笑しいことでは御座いません

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雌雄同体・夜中歌華

雌雄同体・夜中歌華

ながい。

ながい、ながい。

嗚呼、永い。

ぐにゃりぐにゃりと

繰り返される白濁と暗鬱の明暗意識。

足どりはふらつき、この真っ暗な世界で

どれくらい彷徨っているのだろうか。

遠くのほうに幽かに灯る外灯は

いまにも消えてしまいそうで。

緩やかに栄える易しいはずの

この坂道の

ほんのすこしの傾斜たちが

確実にこの身の生命を削っている。

何処にむかっているのかもわからず

何故こ

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厳峻のち惷かなる来報

厳峻のち惷かなる来報

みなが口を閉ざす中

蠢きながら迫りくる

この真っ白の一切が

溶けて消え去るその刹那

また出逢えたと

戯れ戯曲

乱れ惷れる春を謳う

屡々啼くは代償の

快楽故と承知だろうな
#春 #雪 #詩

Liberal

Liberal

その先端を見つめなさい。触れてみなさい。

そして根元を見つめなさい。触れてみなさい。

その先端を支配したくば、根元を動かしなさい。

内転しておれば、狭き道が深みへと。

外転させれば、壮大な世界が汝を待ち受けよう。

動かして、動かして、調整は世の常と。

管理と支配を放棄し、他人に赦すものは、

その回転力を失うのだ。

宇宙は、そのように。

回転をとめることは、内在宇宙の死を招こうぞ。

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邂逅の仕組み

邂逅の仕組み

始まりは、始まっていると認識したときから、もはや随分と時を経ていたのだと自覚するだろう。

其れで落胆することは無い。始まりは、何時の時も始まりであって、結合を解くならば、明滅するほんの微細な滴にすぎない。

滴をかき集めて其処になにを見ようとも、自由であると我々は、刻まれている記憶を頼りに大海を見る。砂上の楼閣でも善かろうと、そこに許可を出すのが諸行無常。

隣人が息衝くのを感じなさい。同じ結合

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安心の灯り

安心の灯り

文明は安心のためにある。

安心は、生命の存続に直結している。

生命の存続のために、文明を創り出すのが人間。

人間を創り出すのが、人間。

人間は安心を創り続けねばならない。

安心という灯りは、常にともされ続けねばならない。

聖火のような安心を常に身近に感じながら生きていく。

安心に、お金が必要なのだろうか?

安心は、お金がなければ、得られないのだろうか?

文明は、これからお金をどう

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逆さ檸檬の夢幻回転

逆さ檸檬の夢幻回転



青いれもんは、

青空を吸い込みました。

空から降る雨も吸い込みました。

満天の星空も吸い込みました。

闇夜に現れる月光も吸い込みました。

流れる雲も吸い込みました。

爽やかな風も吸い込みました。

透き通る歌声も吸い込みました。

すすり泣く哀しみも吸い込みました。

冷酷な決断も吸い込みました。

淡々と過ぎ去る時間も吸い込みました。

青いれもんは、そろそろ逆さまの青い檸檬を卒

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百花繚乱、全枯死、のち繁茂

百花繚乱、全枯死、のち繁茂

世にも奇妙と、目にも鮮やかな

あらゆる華々は美しく咲き乱れるだろう。

その様態は、とても此の世とは思えぬほどの奇奇怪怪。

発芽してから、もう暫くぶりになるのではなかろうか?

肥料も水やりもせずとも、この渇いた土壌でその根を張り巡らせ、今は倒れまいと必死に食い込む考える葦たちよ。

その根は、頑丈かな?

美しく剪定されることを望み、活けられた華々は、その狭き水瓶の中で必死に水を汲み上げるだ

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