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映画やドラマや本の感想

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映画やドラマや本の感想
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近未来デストピア?あなたはどっちの人間?震撼の「Civil War」

近未来デストピア?あなたはどっちの人間?震撼の「Civil War」

公開日に見てきました!ハズレのないA24の近未来デストピア。
2024年に見て「ああ近未来のSFだよね」ってどっかで思ってるかもしれないけど、あと2年後これを見たら「現実じゃん」っていってるかもしれないところがこわい。

正直もうついもうすぐな気がしてならない。

まぁそういう設定ね。

本当に市民戦争が近日米国で行われるのではないかと。
それに従いかなりのインフレ。300ドルでガソリンを入れられ

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不条理な映画/哀れなるものたち(哀れな造形物)

不条理な映画/哀れなるものたち(哀れな造形物)

(映画感想文なので本当に散文ですみません)

哀れなるものたち。良い邦題である。
Poor Things
これフランス語では Pauvre Créetures
だから、哀れな造形物となる。

この監督は不条理映画『ロブスター』を思い出させる羊とか鶏とか馬車とか。。ああ?妙だよなぁ、この不協和音何よ?というオープニング。長いんだけど全然飽きさせなかった。

ウェスアンダーソンの細々としたかわいさ?っ

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あざとい『パーフェクトデイズ』

あざとい『パーフェクトデイズ』

あざとい映画である。

石川さゆりに百恵ちゃんの旦那さんとかなんですかこれ?昭和のおっさんおばさんホイホイですか?

最初から言っててるように役所広司が美しすぎる。
こんなきれいな男がなんで?しかもトイレ綺麗すぎ。こんなトイレなら顔をひっつけたくなるわよ。正直暑い中この仕事をしてる人のようには見えない。役所広司は嬉しそうな顔より不安そうな顔がうまい。

ただ彼の生活は面白い。

規則正しい生活をし

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《美しすぎる》すばらしき世界

《美しすぎる》すばらしき世界

役所広司があまりにも年齢にしては全てにお手入れをし、美しい男なので、なんとなく現実味に欠けたけど、それでも色々と日本の今の問題をたっぷり盛り込んで。こんな美しい男が元犯罪者?

私が一番心に響いたのは、障害者の真似をする。老人施設の同僚たちで、あのシーンのよくある現実味と残酷さが心に沁みました。

修羅雪姫様(梶芽衣子)が坂本九は歌ってくれたりなかなか。

長澤ともみはいつ見ても大根、安田成美は綺

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ファッション&ツーリズム・船底の人々『逆転のトライアングル』

ファッション&ツーリズム・船底の人々『逆転のトライアングル』

風刺コメディ映画とではなくこれシリアス現実映画でしょ。笑ってられない感が満載でした。

『Triangle of sadness』日本名で『逆転のトライアングル』フランス語は『Sans Filtre (ノーフィルター)』というタイトルがしっかり意訳されているのでこれはなにかのメッセージでは?と思い見てきました。

設定は先日見た『 the menu 』とそっくり。いわゆる現代における社会階層を描い

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容姿コンプレックス(マスクガール)の空虚さと真面目な滑稽さ

容姿コンプレックス(マスクガール)の空虚さと真面目な滑稽さ

また出た私の好きな韓流ドラマ!そこまで韓流推しではないのですが、これはおもしろかった。マスクガール/3つの名前/3つの人生/3つの殺人・・・

コメディとスリラーとルッキズム批判と韓国の男尊女卑と全部まぜて。

女の生き方なのかな?ふーん。韓国なら女性の苦しさちゃんと表現してくれるだろうと期待マックス。日本と同じぐらいおっさんが威張ってる国のイメージあるけど、ジェンダーギャップ指数順位で、韓国99

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ラストタンゴ・イン・パリをパリでもっかいみてみる

ラストタンゴ・イン・パリをパリでもっかいみてみる

若い時に見たのと今見たのとでは全然イメージが違ってて感動した。こういう映画は多い。

もうこの映画ができて、50年も経った。しかし、ファッションなど今ちょうど流行りが来ている。めちゃくちゃクールな服装をしているので、これも見逃すわけにはいかない。

最初のタイトルからしてワクワクする。フランシス・ベーコンの絵。今でこそもう現代アートの巨人になったけど、当時はまだまだ売り出し中だったのではないだろう

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プロミシング・ヤング・ウーマン ;) 2020年代版テルマ&ルイーズ

プロミシング・ヤング・ウーマン ;) 2020年代版テルマ&ルイーズ

パリの映画館のトコジラミが怖いので(今や地下鉄にも映画館にもいるという)自宅で前から見たかったプロミシング・ヤング・ウーマンを鑑賞

これすごくない?

最後の最後の10分までまぁ胸糞悪いんだけど、最後の音楽で救われる不思議な映画・・・ここまで胸糞悪ければ、、(この映画はちょっとでも書いたら全部ネタバレですね)

この映画のすごいところ

キャスティングがすごい

主人公カッサンドラ。
医学生の頃

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フード・ソシオロジー・ホラー『The Menu』

フード・ソシオロジー・ホラー『The Menu』

ほぼひとつのレストランの一室で繰り広げられる会話劇。これはアダム・マッケイ版『深夜食堂』なのです。食の『ミッドサマー』かも。とりあえずもっと失望と風刺と階級社会を利かせたとても興味深い映画でした。

もう後ろの海の合成っぷりとかあまりにも「まんま」すぎたけど、これは決してエンタメだけじゃなくておもいっきりフードソシオロジーの話。食物社会学?の話なのでは。。と思わずにいられません。

↑へんな翻訳で

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ツルンとした世界『アフターヤン』

ツルンとした世界『アフターヤン』

西洋の目から見た「アジア」演出ではない。多分これが現代アジア人のみている世界。

光といい小物といいカメラの位置といいセリフのゆっくりさといい。ポスターの虹とか。。うわああ。でしょ?

いきなり冒頭のファミリーTiktok風ダンスはなんなんだ?!

これを最初に見せられたら、「この映画はおもしろい。。」って思うでしょ?最初のつかみが最高なんだわ。

お茶、蝶々、装飾に見る盆栽。。などいやはや、これ

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微妙な後味『すずめの戸締まり』

微妙な後味『すずめの戸締まり』

『天気の子』が本当に気に入らなかったので、これもどうかなと思ってましたが。

すぐ絵の美しさに引き込まれました。

話の複雑さや結構いつもこの人の映画の根底に流れる、幼稚な、この人好きー!だから死んでもいい、この人のためなら世界が滅んでもいい(男性の妄想でしかない)ーの感情が言葉も交わさない出会ってすぐの男にずっと持ち続けられる。この不条理な幼い盛の付いたメスの恋愛感情がストーリーの骨格というのも

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KIMONO展:着物の魅力が詰まった奇跡の海外発展覧会

KIMONO展:着物の魅力が詰まった奇跡の海外発展覧会

念願のケ・ブランリ美術館の『KIMONO』展に行ってきました。今この大股の着物女性ポスターを見ます。平日午後なので空いてると思ったのですが意外や意外結構な人がいました。

ねえさん喧嘩売ってるんかいな?的な攻めの姿勢です。地に足が吸い付いて胆力に力入れてます。しかも下の方にV&Aのロゴ入ってますよ。あの美術館のキューレーション?!

パリジャンにしか人気のないケ・ブランリ美術館

会場のケ・ブラン

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ポーランド映画が描くLGBTとエネルギー問題の旅『クィーンの帰郷』

ポーランド映画が描くLGBTとエネルギー問題の旅『クィーンの帰郷』

今日もネットフリックスドラマのレビューです。今日は『クィーンの帰郷』まんまのタイトル。

こちらで見られます⇒

ドラァグクイーンものの家族愛といえば、最初は揉めて最後はみんな和解のお決まりのお涙頂戴かと思うかもしれない。トレイラーだけでだいたいのあらすじもわかるぐらい一瞬退屈に見える。ほんま、まんま。クラシックすぎ!

(興味なければほんとうにこれだけで大丈夫)

だからといって、敬遠するのはま

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閉ざされたプロヴァンス─『レアの7つの人生』が描くイメージと違う南仏

閉ざされたプロヴァンス─『レアの7つの人生』が描くイメージと違う南仏

そういえば先日夏至のフェットドラミュージックがあったので、このドラマを思い出しだしたので感想を書きますね。このドラマは夏至のフェットドラミュージックというフランスの全国で繰り広げられる音楽祭の数日前のお話です。

今日のネットフリックスドラマは『レアの7つの人生』
鑑賞はコチラ

よくあるタイムループ、過去に行ってしまうのですが、毎回違う人の体に入ってしまうというもの。7人の違う登場人物にうまいこ

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