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わが国の伝統と文化

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記事一覧

米と日本人

米と日本人

はじめに

日本は古来、豊葦原瑞穂国(とよあしはらのみずほのくに)と言われていた。これは豊かな収穫の続く、みずみずしい稲のできるすばらしい国という意味である。
豊葦原瑞穂国は大国主神が治めていたが、国譲りによって天照大御神の御子に譲られ、その見返りとして出雲大社が作られ、そこに大国主神が移り住んだ。
天孫降臨の際、瓊瓊杵尊は天照大御神から、八咫鏡・草薙剣・八坂瓊勾玉を授けられ、それらは皇位のしるし

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高千穂はどこだったのだろうか

高千穂はどこだったのだろうか

二つの高千穂

天孫降臨の地とされている高千穂は、宮崎県高千穂町と鹿児島県霧島市の高千穂峰の二つの候補地がある。
高千穂町には高千穂神社、天岩戸神社および天安河原があり、高千穂神社の御祭神は
高千穂皇神(たかちほすめがみ)、すなわち瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)・木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)、彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)・豊玉姫命(とよたまひめのみこと)、鵜鵝草葦不合尊(うがやふ

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焼酎について

焼酎について

はじめに

以前に國酒のオーバーオールな話を書いた。

今回、鹿児島に行く機会があり、いくつかローカルでしか飲めないような焼酎を飲むことができた。これを機に焼酎についてもう一つ書いてみたいと思う。

焼酎製法のイノベーションは鹿児島で起こった

焼酎という文字は、16世紀の木片にもみられ、500年以上の歴史を持っている國酒である。近代になって鹿児島で麹と主原料を別々に仕込む、二次仕込み法が開発され

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柿

日本らしい果物といったら何を思い浮かべるでしょうか。柿ではないでしょうか。柿は日本以外ではほとんど見たことがありません。昔どこかの果物売り場で一度見たくらいです。ここでは柿を語ってみたいと思います。

柿の実がなっているのを秋にはよく見ます。
柿食へば 鐘が鳴るなり 法隆寺
という、子規の俳句は有名です。

柿は東アジア原産の果物です。日本でもよく見られますが、支那にも多く生えているようです。柿は

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永平寺、禅、仏教

永平寺、禅、仏教

永平寺

2023年10月に永平寺に行く機会があった。永平寺は福井市にある禅の道場で、道元が開いた。曹洞宗の大本山だ。道元は1200年に京都で生まれ、比叡山で修行した後、宋に渡り、坐禅を学んだ。そして帰国した後の1244年に越前で永平寺を開山した。
永平寺には雲水と呼ばれる修行僧が修行をしている。毎年2~3月に志願者が集まってきて修行を開始する。修行期間は決められていない。彼らはそこで早朝から夜ま

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鵜飼い

鵜飼い

長良川で見た鵜飼い

長良川という言葉からまっさきに思い浮かぶのは五木ひろしの長良川艶歌であろう。そしてその次に有名なのは鵜飼いではなかろうか。筆者は2023年10月に長良川に行く機会を得、鵜飼いを見てきた。まずはそこから話を始めたい。

長良川は岐阜にある。岐阜城のある金華山のしたを流れている。岐阜は昭和から時間が止まっているかのような街であった。名古屋の通勤圏であるために再開発の必要がないので

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神武天皇ゆかりの地を訪ねる

神武天皇ゆかりの地を訪ねる

はじめに

以前に天地開闢から神武天皇までの話を書いた。神武天皇は鵜葺草葺不合命と玉依姫の子であり、日向からやってきて橿原に都を築き、八紘一宇の精神をもとにわが国を建国した初代の天皇である。

今回は神武天皇ゆかりの地である奈良の橿原に行く機会があったので、神武天皇が眠る御陵と神武天皇が祀られている橿原神宮を紹介したいと思う。

畝傍山東北陵

橿原は近鉄で行った。御陵の最寄り駅は畝傍御陵前である

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黒部と日本の電力

黒部と日本の電力

黒部川にそびえ立つ壁

2022年10月、黒部ダムを訪れた。黒部ダムは、中部山岳国立公園内にある水力発電専用ダム。日本で最も高い堤高186mを誇り、堤頂長は492m。貯水量は東京ドーム160杯分に匹敵する2億立方mである。

間近で見ると、本当に大きい。大東亜戦争で破壊しつくされたあと、たった10年後の1956年から建設が始まったものとは思えないスケールと完成度である。ビデオで当時の様子を見たが、

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わが国のなりたちを訪ねる

わが国のなりたちを訪ねる

天地開闢

720年に完成した日本書紀は、古事記と並ぶわが国最古の書物であり、歴史書である。日本書紀の書き出しは次のようなものである。

「むかし、天と地とがまだ分かれず、陰と陽ともまだわかれていなかったとき、この世界は混沌として鶏の卵のように形も決まっていなかったし、また、それはほの暗く、広くて、物のきざしはまだその中に含まれたままであった。やがて清く明るい部分はたなびいて天となり、重く濁った部

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國酒

國酒

日本酒と焼酎、みりんは、國酒である。國酒の製造には国菌である麹菌(Aspergillus oryzae)が使われている。麹菌はカビに分類され、菌外にプロテアーゼやアミラーゼを放出し、それによってたんぱく質や糖質を分解してアミノ酸やグルコースを生成し、それらを栄養源として増殖する微生物である。國酒は、アルコール発酵、すなわち微生物が増殖するために主に糖質を分解することでエネルギーを得る際にできるエタ

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城のある街

城のある街

城は江戸時代までのわが国の姿を残しています。城には独特な雰囲気と歴史があり、日本を実感するには非常によい場所であると思います。しかしながら、わが国の城は木造であるために、西洋の石造りの城と異なり保存してゆくことが難しく、また明治維新のときに江戸時代のものを次々破壊したため、当時の姿を保っている城は非常に少ない状況にあります。ただ、天守がなくとも、城の構成や石垣、城下町から感じるもの多いのではないか

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三種の神器のゆかりの地をゆく

三種の神器のゆかりの地をゆく

三種の神器と天皇

三種の神器は、天孫降臨の際に邇邇芸命が持ってきた八咫鏡、草薙剣、八尺瓊勾玉のことである。天皇により、古代よりひきつがれてきた。 崇神天皇の時、鏡と剣は宮中から出され、外で祭られることになったため、形代が作られた。その後、いろいろな経緯を経て、現在では三種の神器は三か所に分かれて代々引き継がれている。八尺瓊勾玉は皇居、八咫鏡は伊勢の神宮、草薙剣は熱田神宮である。

伊勢の神宮

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