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フォトギャラリーからイメージした物語を並べてみました。
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記事一覧

洞窟の奥はお子様ランチ【毎週ショートショート】

洞窟の奥はお子様ランチ【毎週ショートショート】

おれたちは、楽園を目指す!仲間とともに!

まずは、洞窟を進む。雑草をかき分けて行く。吹き付ける強風にも負けることはない。雑草をつかみながら前に進んだ。どんな困難も仲間がいれば、超えていける。

だが、そう簡単にはいかないものだ。

次は、谷が待っていた。どこまでも続く谷。底が見えない。途中、二手に分かれる道があったが、こっちで正解だった。ゆっくりと降りていく。向こうに行ったら、細い道に枝分かれし

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山猫軒でいただきます【フォトギャラリー短編】

山猫軒でいただきます【フォトギャラリー短編】

「いただきまーーーーーす。」

山猫軒では、毎日、おいしいディナーを提供しています。

「本日のおすすめはこちらの3品です。
前菜は、花椒香るドッグのカルパッチョ。
主菜は、ハンターカチャトラ(ハンターの狩人風トマト煮込み)。
デザートは、パンナコッタ鉛の玉添え。」

「ごゆるりとご堪能ください。」

「こちらは、宮澤賢「イーハトーブ名店図鑑」でも紹介されています。」

(お礼)
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行列のできるリモコン【毎週ショートショートnote】

行列のできるリモコン【毎週ショートショートnote】

「田中のやつ、また来てる。吉田もいるぞ。」
「向こうには、安藤もいる。」
「みんな早いなあ。ちょっと出遅れたな。」
おれと白河は、足を急がせた。

ここは最近できた大型家電ショップ「ワイダデンキ」だ。
はじめに見つけたのは、斉藤だった。
「知ってるか、ワイダデンキのテレビコーナーのこと。リモコンを操作すれば、好きなアイドルがすべてのテレビに立体で映し出されるんだぜ。」
「つまりは、推しにかかかか囲

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ダルメシアンカー【フォトギャラリー短編】

ダルメシアンカー【フォトギャラリー短編】

雨の合間、昼の出張。

小雨の中、小走りで駐車場に向かう。
白のワンボックスに乗り込む。
「雨がひどくならないといいけど」曇天をフロントガラス越しに見上げる。
うすい雲が空を暗く覆っている。降水確率は60%。

今は止んでいる。傘はあるから大丈夫だ。

会社から40分ほどで目的地に着く。
山のふもとの農家だ。春に収穫される野菜の買い付けを交渉する。
話は1時間ほどでまとまった。よい契約が次回はでき

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The Blue Bird【フォトギャラリー短編】

The Blue Bird【フォトギャラリー短編】

チルチルは言った。
「幸せになりたい。」
チルチルに続けて、ミチルも言った。
「だったら、こんなところにいないで、幸せの青い鳥を探しに行こう。」
さらに、ミチテルも言った。
「今すぐ探しに行こう。」

三人は、家を出た。

三人の目の前を、たくさんの青い鳥が飛んで行った。

「たくさんいるねーーー」とチルチル。
「大きさや形も違うんだねーーー」とミチル。
「どれをつかまえよう?」とミチテル。

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ツノがある東館【毎週ショートショートnote】

ツノがある東館【毎週ショートショートnote】

支配人赤丸剛士、宿泊部長青野正弘、料理長黄島健太郎、仲居長緑埼優子、バイトリーダー黒川亮介は、心を一つに叫んだ。
「ゴーゴーゴー!レッツメイキング!!合体!いけだや別荘!」

怪獣と戦うため、「いけだや別荘」が合体する。

青野が運転する宿泊棟の東館が、天高く浮き上がった。
次に、赤じゅうたんの廊下とロビーを擁する中央棟が続く。中心部は、赤丸が守る。
そして、お食事処「大正ロマン」とキッチンが立ち

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ケーキ2つ【フォトギャラリー短編】

ケーキ2つ【フォトギャラリー短編】

昨日の夜、母から電話があった。
「あんた、今度、いつ来るの?
 長崎の親戚に送ってほしいものがあるのに・・・」

受話器の向こうから父の声も聞こえる
「それなら、おれがするって、・・・」
母の不機嫌そうな声がそれを遮っている。
「お父さんじゃあてにならんから、あんた、来てよ」

「いや、ちょっと今週は忙しいから、、、来週かな」
「相手が待ってるんだから、早くしてもらわないと、、、」
母はぶつぶつつ

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アリのちょうじょう【フォトギャラリー短編】

アリのちょうじょう【フォトギャラリー短編】

アリのタロウは、今日も行列の真ん中を歩いていた。
昨日も行列の真ん中を歩いていた。
その前の日も行列の真ん中を歩いていた。
もう思い返せない昔の日々も行列の真ん中を歩いていた。

そして、虫の死骸や花びらを見つけると、せっせと運ぶのだ。
仲間と同じように運ぶのだ。

それが、アリのタロウの仕事だった。
それが、アリのタロウの生き方だった。

そのネコに会うまでは。

そのネコは、枝を1本持って、ひ

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2024年の生き方【フォトギャラリー短編】

2024年の生き方【フォトギャラリー短編】

「2024年」
それが、彼の名前だった。

「2023年」でもなく、
「2025年」でもなく
「1024年」でもなく、
「3024年」でもない。

彼は「2024年」だった。

そんな彼は、今年富士山の登頂に挑んでいた。
一歩ずつ山を踏みしめ、進んでいく。
額にうっすらと汗がにじむ。
あと少しで頂上だ。

とうとう、そのときはやって来た。
最後の一歩を踏みしめ、頂上にたどり着いた。
「2024年」

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ドローンの課長【毎週ショートショートnote】

「本日をもって課長職は降格。AIを搭載したドローンを課長職とする」

人件費の削減。AIの導入。
わが社は大変な改革を行った。

課長の人件費をドローンの経費に振り替えたのだから、数十台が導入された。一人に1台のドローンの課長が付いてくる。

出張すると、頭上に課長が浮かんでいる。ルートを変えようとすると、警告音が鳴る。
「すみません。トイレに。」
「行ってきなさい。」パワハラ防止機能も設定されて

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ホットケーキ303号

ホットケーキ303号

今日、わたしは、引っ越した。
ホットケーキの3階。303号室。

上からはバターとはちみつのあまーーーーーい香りが漂ってくる。
もーーーー、サイコーーーー。

床は、ホットケーキ。
天井もホットケーキ。
間に挟まってみる。ふわふわだ。
ちょっとかじってみる。ふわふわでもちもちであまあまだ。

2階の202には、犬が住んでいる。挨拶をしに行ったけど、気持ちよさそうに眠っていた。
1階の101はカエル

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会員制の粉雪【ショートショートnote】

会員制の粉雪【ショートショートnote】

「会員になっちゃってねー」
「ああ、昨日のやつ?」
「そう、そう。会員になるつもりはなかったのに、つい、ねー」

「そんなによかったの、粉雪」
「そうなんだよ、絶妙なんだよ。粉雪が、さすがだね。」
「そうなんだ、ちょっとしか見てなかったから。残念だったよ。」

「さすがなんだよ。心まで白く染められる感じになるんだな、これが。」
「会員になった方がいいのかな。」
「会員の方がお得だと思うよ。あの感じ

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noteのベクトル【フォトギャラリー短編】

noteのベクトル【フォトギャラリー短編】

ベクトルとは、大きさと向きをもった量のことである。

高校の数学に登場する。

一定の長さの直線と矢印で表される。
ああ、記号でも表されたな。OPの上に→。
または、座標でも表されるらしい。このころから、わからなくなってきたのだが、、、。
そのくらいの力を、そっちの方向にね、というイメージ。

さて、note。

スキがたくさんもらえると、とってもよろこぶ。
始めたばかりの初めてのスキは、飛び上が

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北極から南へ、南へ

北極から南へ、南へ

北極に住んでいるシロクマは、暖かい国を夢見ていた。

「南に行けば、暖かい南国というところがあって・・・。」南から戻ってきたシャチが言った。

シャチの話を聞いて、シロクマの心は昂った。
「南国には、バナナという果物があるらしい。お月様のように曲がっているけれど、とてもとても甘いそうだ。」
「南国には、スイカという野菜があるらしい。丸くて大きくて、中は鮭の切り身のように真っ赤だそうだ。」
「南国に

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