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サングラスの世界 (短編小説)
近頃は外出する時サングラスをかけるようになった。白内障の手術を受け六〇年以上酷使してきた目を保護する意味もあってのことだ。散歩の途中で出会う店先の旬野菜が瑞々しい彩りを見せ公園の木々が色づきながら移ろうのを遮光レンズの薄いグレー越しにしか楽しめないのでは一体何の為の手術だったのかと自分で可笑しくなる。行きつけの酒屋ではいつものように店主の奥さんが忙しなくしていて、床に置かれた酒瓶のケースを持ち上げ
もっとみる近頃は外出する時サングラスをかけるようになった。白内障の手術を受け六〇年以上酷使してきた目を保護する意味もあってのことだ。散歩の途中で出会う店先の旬野菜が瑞々しい彩りを見せ公園の木々が色づきながら移ろうのを遮光レンズの薄いグレー越しにしか楽しめないのでは一体何の為の手術だったのかと自分で可笑しくなる。行きつけの酒屋ではいつものように店主の奥さんが忙しなくしていて、床に置かれた酒瓶のケースを持ち上げ
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