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文学

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芥川賞受賞者と最終学歴、雲雀料理、睡蓮の開く音がする月夜から始まる小説、中原中也の詩は短歌的なのか?調べてみた、
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岡本真帆さんの『水上バス浅草行き』に収録されている歌の「ひさかたの」はどこに掛かるのか?考えたみた。

岡本真帆さんの『水上バス浅草行き』に収録されている歌の「ひさかたの」はどこに掛かるのか?考えたみた。

岡本真帆さんの『水上バス浅草行き』が気になって、購入を検討していたところ、


「ひさかたの海を潰して作られた街にあなたも僕も住めない」


という歌に出会った。


「ひさかたの」の次に来ているのは海だけど、「ひさかたの」は都にかかることもあるので街にかかっているのかな?それとも両方だろうか?調べてみても、ちょっとズレてる使い方しか見たことがないので、私には分からなかった。

版元で

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中原中也の詩は短歌的なのか?調べてみた。

中原中也の詩は短歌的なのか?調べてみた。

うちにある『日本詩人全集22 中原中也(新潮社)』の解説(飯島耕一)に、「P.303(前略)中原の詩はやはり何といっても短歌型で、詩の一行の頭部がつよく、脚部は曖昧に消えて行く。」と書いてあるのを読んで、実際にそうなのか?私がそうかもと思える詩二篇、『月の光 その一』、『月の光 その二』(『在りし日の歌(永訣の秋)』)を調べてみた。

「詩の一行の頭部がつよく、脚部は曖昧に消えて行く。」かはともか

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『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』を読んだ後、『ノルウェイの森』を思い出して思ったこと。

『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』を読んだ後、『ノルウェイの森』を思い出して思ったこと。

※『ノルウェイの森』について、少しネタバレが出て来ます。

こないだ、『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』を読んで、村上春樹の『ノルウェイの森』を思い出した。この作品には、同性愛者によって、家庭を、人生を破壊された登場人物が出て来る。私は、『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』を読むまで、そのことについて深く考えたことがなかったのだが、ふと、「これって、同性愛者差別なんじゃ…」と思っ

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芥川賞受賞者と最終学歴⑩

芥川賞受賞者と最終学歴⑩

⑩ 第163回~164回(2020年~)

 第163回(2020上) 『首里の馬』 高山羽根子→多摩美術大学美術学部絵画学科卒業

           『破局』 遠野遥→慶應義塾大学法学部卒業

 第164回(2020下) 『推し、燃ゆ』 宇佐見りん→不明

 第165回(2021上) 『貝に続く場所にて』 石沢麻依→東北大学大学院文学研究科修士課程修了

           『彼岸花が咲く

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芥川賞受賞者と最終学歴⑨

芥川賞受賞者と最終学歴⑨

⑨ 第143回~第162回(2010年~2019年)

 第143回(2010上) 『乙女の密告』 赤染晶子→京都外国語大学外国語学部独語学科卒業、北海道大学大学院文学研究科独文学専攻博士課程中退

 第144回(2010下) 『きことわ』 朝吹真理子→慶應義塾大学大学院文学研究科国文学専攻修士課程修了

           『苦役列車』 西村賢太→町田市立中学校卒業

 第145回(2011

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睡蓮の開く音がする月夜から始まる小説

睡蓮の開く音がする月夜から始まる小説

私にとって、睡蓮の開く音がする月夜から始まる小説といえば、長野まゆみの「少年アリス」だった。伊坂幸太郎の「重力ピエロ」も同じだったらしく、今更ながら、驚いている。2冊とも読んだのに、全く気づかなかった…。

新潮社によると、「重力ピエロ」の単行本の発売日は、 2003年4月22日。「少年アリス」は、河出書房新社よると、1989年1月27日になっている。

こんな事って、あるんですね……。

ちなみ

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芥川賞受賞者と最終学歴⑧

芥川賞受賞者と最終学歴⑧

① 第123回~第142回(2000年~2009年)

 第123回(2000上) 『きれぎれ』 町田康→大阪府立今宮高等学校卒業

            『花腐し』 松浦寿輝→東京大学教養学部教養学科仏文科卒業、同大学院人文科学研究科仏文学専攻博士課程単位取得満期退学

 第124回(2000下) 『聖水』 青来有一→長崎大学教育学部卒業

            『熊の敷石』 堀江敏幸→早稲

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芥川賞受賞者と最終学歴⑦

芥川賞受賞者と最終学歴⑦

⑦ 第103回~第122回(1990年~1999年)

 第103回(1990上) 『村の名前』 辻原登→文化学院専門課程卒業

 第104回(1990下) 『妊娠カレンダー』 小川洋子→早稲田大学第一文学部文芸専修卒業

 第105回(1991上) 『自動起床装置』 辺見庸→早稲田大学第二文学部社会専修卒業(Wikipediaの冒頭に、「この存命人物の記事には検証可能な出典が不足しています。」と

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芥川賞受賞者と最終学歴⑥

芥川賞受賞者と最終学歴⑥

⑥ 第83回~第102回(1980年~1989年)

 第83回(1980上) 該当作なし

 第84回(1980下) 『父が消えた』 尾辻克彦→武蔵野美術学校(現・武蔵野美術大学)油絵学科中退

 第85回(1981上) 『小さな貴婦人』 吉行理恵→早稲田大学第二文学部日本文学専修卒業(Wikipedia)

 第86回(1981下) 該当作なし

 第87回(1982上) 該当作なし

 第8

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雲雀料理

雲雀料理

萩原朔太郎『月に吠える』の「雲雀料理」が好きだ。

雲雀料理
   五月の朝の新緑と薫風は私の生活を貴族にす
   る。したたる空色の窓の下で、私の愛する女
   と共に純銀のふおうくを動かしたい。私の生
   活にもいつかは一度、あの空に光る、雲雀料
   理の愛の皿を盗んで喰べたい。

※ふおうくの上に、、、、

雲雀料理って、何なんだろう?と思って検索してみると、中世ヨーロッパでは、ヒバリを

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芥川賞受賞者と最終学歴⑤

芥川賞受賞者と最終学歴⑤

⑤ 第63回~第82回(1970年~1979年)

 第63回(1970上) 『無明長夜』 吉田知子→名古屋市立女子短期大学経済科卒業

          『プレオー8の夜明け』 古山高麗雄→第三高等学校文科丙類入学。成績劣等と出席日数不足のため進級試験に落第し、同校退学。(Wikipedia)

 第64回(1970下) 『杳子』 吉井由吉→東京大学文科二類文学部独文科卒業、同大学院人文科学研

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芥川賞受賞者と最終学歴④

芥川賞受賞者と最終学歴④

④ 第43回~第62回(1960年~1969年)

 第43回(1960上) 『夜と霧の隅で』 北杜夫→東北大学医学部卒業、慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程修了

 第44回(1960下) 『忍ぶ川』 三浦哲郎→早稲田大学第一文学部仏文科卒業

 第45回(1961上) 該当作なし

 第46回(1961下) 『鯨神』 宇納鴻一郎→東京大学文学部国文学卒業、同学大学院進学文学修士、同学大学院博

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芥川賞受賞者と最終学歴③

芥川賞受賞者と最終学歴③

③ 第23回~第42回(1950年~1959年)

 第23回(1950上) 『異邦人』 辻亮一→早稲田大学文学部仏文科卒

 第24回(1950下) 該当作なし

 第25回(1951上) 『壁S・カルマ氏の犯罪』 安部公房→東京帝国大学医学部医学科卒業

           『春の草 他』 石川利光→法政大学国文科卒業

 第26回(1951下) 『広場の孤独・漢奸 その他』 堀田善衛→慶應

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芥川賞受賞者と最終学歴②

芥川賞受賞者と最終学歴②

② 第11回~第22回(1940年~1949年)

 第11回(1940上) 『歌と門の盾』 高木卓(受賞辞退)→東京帝国大学独文科卒業

 第12回(1940下) 『平賀源内』 櫻田常久→東京帝国大学文学部独文科卒業

 第13回(1941上) 『長江デルタ』 多田裕計→早稲田大学文学部仏文科卒業

 第14回(1941下) 『青果の市』 芝木好子→東京府立第1高等女学校 (現・東京都立白鷗高等

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